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「瞬ちゃん!起きてください!」


ペシペシと頬を叩く優しい刺激で浮上した意識は、

いつも見ているはずの、見知らぬ天井を捉えた。

普段、カラオケボックスの天井とか眺めないからな。


「ん・・・いま何時くらいだ・・・?」


眠い目を擦る私の耳に届く遥乃の声は5時20分を告げる。

音も無くプロモーション映像を流し続けるテレビは

私が眠っている1時間もの間ずっとつきっぱなし。


「なら、少し後片付けをしないとな。」


私は立ち上がり、テレビの電源を切ってから

プラグをコンセントから抜く。デンモクも。


上下両フロアの各部屋にあるエアコンが切ってあるかを確認し、

ポカポカしている廊下、ロビー空間に場所も軽く掃き掃除。

大星先輩ともよく話をした、暇つぶしの舞台を清掃する。


「遥乃は今日限りなのか?このカラオケ店は。」

「そうですね。他のお店のバイトもあるので・・・」


大晦日も営業している店は、この駅前には他に無い。


「ここで本格的に働くつもりはないか?

万年人手不足で参ってるところなんだ。」

「えっと・・・」


2つ返事はもらえなかった。まあ、それもそうか。


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