第14話 俺、ルールを知る

 普段、学園で見るサラは結構地味な女の子って感じだ。けど今は……全然雰囲気が違う。華やかで魅力的に感じる。

 どうやら化粧もしているようだし、それに制服じゃなくてドレスだからっていうのもあるのだろう。

 でも黒色のドレスか……何か悪役令嬢みたいだな。単なる偏見だけど。


「さあ遠慮せず入ってくれたまえ」


 門を潜ったその先はまるで別世界。

 庭園に咲く花々が彩り、鳥は幸せそうに鳴いている。流れる水の音、心地いい風、花の香り。そのすべてが俺に癒しを与えてくれるのだ。

 そんな庭園を横切ってすぐの場所にあるテラスに案内された。普通、屋敷に招いたりするんだろうけど、わけがあるのかもしれない。


「すまないね、こんな場所で。私の名はルイハム・アルデンティ。このアルデンティ家の当主、それにサラの父親でもある」

「俺はネオと言います。隣は姉のリリスです。わけあって家名はないですが……」

「気にしないでくれたまえ。本来なら屋敷に招き入れたいところなのだが、それも少し適わなくてね」

「いえいえ、お気になさらず。姉ちゃんもいいよね?」

「ネオ君がいいならお姉ちゃんはオッケーよ」

「だがしかし不思議なお姉さんだ。訓練を受けた兵をこうもあっさりと。どういう魔術を行使されたので?」

「それは秘密」

「あはははっ、それは失礼した。すぐに茶を用意させよう」


 ルイハムさんが背後に控えているメイドに片手を上げた。

 するとメイドは手際よく茶と菓子を机に並べる。


「ネオごめんなさい。お母さん今、病気で……移すわけにいかないから外でって話に」

「そうなのか……でも大丈夫なのか?」

「あと数日もしたら治るだろうってお医者さんは言ってるけど、まだ熱も下がらないし、食欲もないみたいで」

「きっと大丈夫だよ。サラがここまで心配してるんだ。その気持ちはきっとお母さんに届いてると思うから」


 年甲斐もなく結構恥ずかしいことを言ってしまった。


「ネオがきたのって一週間後に開かれる魔剣大会のこと?」

「ああ、ルールをいまいち理解してなくて」

「そうなの、では説明しますね」


 サラは今大会に関するルール、さらには出場者の情報をあらかた教えてくれた。

 ルールは昔から行われている大会だけあってシンプルだ。出場者本人とその契約獣がバディを組み、対戦相手を戦闘不能、それか戦意喪失――所謂、リタイアさせた方が勝利する。

 脳筋でも覚えられる単純なルールだ。


 で、出場者に関しては、現段階で二百組が決定しているそうだ。高位の魔術師だったり、Sランク冒険者だったりと強者揃い。


 てっきり学園主催だから、生徒だけで行うイベントの一種だと思っていたが、王国を活性化するイベントだそうだ。他国からも参加者を集い、人をどんどん王国に引き入れる、そういう仕組みらしい。

 もちろん試合だけを見にくる観客もいる。その観客には観戦料として金を幾らか徴収しているみたいだ。そんな感じで国は一大イベントを開いて、観客は国に金を落とし、経済が潤う。

 ようはそんな感じだ。


「サラ助かったよ」

「いいえ、ネオもありがとう。わざわざ会いにきてくれて」

「うん? じゃあな」


 サラが最後に言った言葉の意味があまり理解できなかった。


 もしかしてサラって俺のこと好きなんじゃ!?

 

 アルデンティ家を出た俺と姉ちゃんは、ぶらぶらそこら辺を歩き回っていた。


「姉ちゃん将来の奥さん見つかったかも」

「ふーん、それってお姉ちゃんでしょ? もう~ネオ君ったら気づくの遅いよ」

「いや、そうじゃないんだ。サラは多分、俺のこと好きだと思う」

「最後、彼女が言った言葉よね? 『わざわざ会いにきてくれてありがとう』っていう」

「そうそう、そうなんだ姉ちゃん!」

「あれは社交辞令じゃない? 大抵の貴族はみんな――確か『わざわざお越しいただきありがとう』的な言葉を相手に伝えるの。それを子供っぽく言っただけよ、きっと」

「ええ~そうなのか?」

「でも奥さんなんていらないよね? もうお姉ちゃんがいるじゃない」


 そんな勘違いと姉ちゃんのヤンデレっぷりで一日が幕を閉じたのだった。


――――――――――――――

姉ちゃんのヤンデレっぷりがヤバいですよね

これから先、ネオがどうなるのか?

愛の重い重圧に耐えられるのかが心配です


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