だから、なに?

鈴ノ木 鈴ノ子

と言われぬように。


 夜中には千差万別に人がいて物語を紡いでいる。

 それは天国のように幸せなもので。

 それは地獄のように酷いもので。

 それぞれの物語を必死に生き抜きながら暮らしているのだ。


 当たり障りのない言葉がそれを包む。

 指図するような言葉がそれを包む。

 傷つけるような言葉がそれを包む。


 生きているということは孤独だ、それは家族の中でさえも孤独なのだ。


 そして枠にはめようとする。

 そして縛ろうとする。

 そして導こうとする。


 他人から見れば不幸で、救わなければならないと考えるだろう。


 その救いの手は思い込みの正義で差し出されていないか。

 その救いの手は思い込みの涙で濡れていないか。

 その救いの手は思い込みの自らだけではないか?


 あるべき姿を想像して手を差し伸べることは不幸なことだ。


 相手の望みから進めること。

 相手の気持ちから始めること。

 相手の今を認識すること。


 相手の想いに寄り添うことを忘れぬように。


 決して、決して、忘れぬように。


 救う助けるではなく手を繋いで共に歩むが良いだろう。


 それはカップルのようで。

 それは夫婦のようで。

 それは睦まじいようで睦まじくない。


 相違し別れの可能性があることを考慮すべきだ。


 こんにちは、さようなら。


 これが世界の大原則なのだから。

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だから、なに? 鈴ノ木 鈴ノ子 @suzunokisuzunoki

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