episode6.大きな一歩

ウィスタリアとライラックがヘリクリサム伯爵領を出発してから3日後の夕方、オートルート教国との国境にある街まで辿り着いていた。いつも通り街に入り、宿を取る。




「食材と水、それから大きめのカバンを買いに市場に行きましょうか。他になにか欲しいものはある?」




2人は宿から出て、歩きながら会話を続ける。




「欲しいものは特にないけど、大きいカバンはなんでいるの?」




ライラックは買ったものはマジックバッグに入れれば済むのになぜ、カバンが必要なのかと疑問に思う。




「オートルートには馬車でしか行けないの。入ってくる分には厳しい入国審査をクリアすれば個人でも入れるけれどね。で、他国に行くのにほとんど手ぶらなんて怪しいでしょう?だから、これから買う食材と水を入れてカモフラージュするの。あ、そうだ!服も買いましょう。ライラックの服は2セットしかないから乾ききってないときもあったし、私はもう少し庶民的な服を買わないと、これじゃあ生地が良すぎるわ」




「他人からの視線がある以上、おかしな行動をするわけにはいかないもんね。わかった」




「あー、馬車の予約もしないといけないわね。ライラック、知ってたりする?」




「知らないよ。村から出たことなかったし、馬車に乗る機会がなかったから」




「そうよねえ。どうしましょう......予約しないといけないことだけは知っているのだけど」




「とりあえず市場行こうよ。市場の人に聞いたら教えてくれるでしょ、多分」




「そうね、そうしましょうか」




2人ははぐれないように手を繋いで通りを歩き、市場へ向かう。




「なに買うの?」




「うーん、最近はお肉ばっかりだったからお野菜にしようかなって思ってるわよ」




「野菜かあ。大事なのは分かってるんだけど苦いのとかプチプチしてるのとかあって、苦手なんだよね」




「それが美味しいんじゃない。プチプチしてるトマトも苦いピーマンもそれがその野菜の良さよ」




ウィスタリアが「まだまだおこちゃまね」とライラックの頭を撫でる。ライラックが恥ずかしそうにウィスタリアの手をどかし、唐突に話題を変える。




「そういえば、ここって15年前の戦争の最前線の街だよね?」




「たしか、そうだったと思うわ」




「じゃあ、ここがガザニアさんの......」




「.......ええ。ここが、そうよ」




その話題によって空気が重くなる。そのとき、2人の後ろでボトリと何かが落ちる音がした。




「その、名前........」




ウィスタリアの肩に手が置かれる。ウィスタリアが驚いて振り向くと、そこには40代半ばに見える女性が涙ぐんだ目でウィスタリアを見ている。




「あの人は、今.....どこにいるの!」




ウィスタリアの肩に置かれた手に力が入り、少し痛みが走る。




「え、あ、あの人...?」




ウィスタリアはその女性の肩に手を置き、体を離す。そして、背中をさすり、落ち着かせる。




「落ち着いてください.....それで、どうされたんですか?」




「....きゅ、急にごめんなさいね。知らない人に肩掴まれて問い詰められたら驚くわよね」




「え、ええ。まあ、驚きはしましたけど何か事情があるのでしょう?」




ウィスタリアがそう言いながらポケットから取り出したハンカチで目から溢れた女性の涙を拭く。


落ち着きを取り戻した女性がライラックを見て、口を開いた。




「...はい。さきほど、この子が口にしたガザニアという男は......私の夫なんです」




夫という言葉にウィスタリアもライラックも驚いて口を開ける。




「夫.....そう、だったんですか。それなら.....私からもあなたに、話さなければならないことがあります」




ウィスタリアが悔しさに耐えるように唇を噛み、意を決した真剣な表情で女性に向き合う。




「じゃあ、私の家まで来て話さない?」




「はい、お邪魔させていただきます」




ウィスタリアは女性の提案に賛同し、付いて行くことにした。






3人で市場の通りを歩き、住宅街に抜ける。数軒の家を通り過ぎ、白い屋根の家に入る。シオンはウィスタリアとライラックを椅子に座らせ、台所に向かう。




「何もなくてごめんなさいね。今、お茶出すわね」




「そんな気にしなくてもいいのに.....ありがとうございます」




シオンがお茶を3人分用意し、自分も椅子に座り、2人と向き合う。




「それじゃあ、何から話しましょうか........」




「話を始める前に私はあなたに謝らねばならないことがあります──」




ウィスタリアが一呼吸置いて、言葉を続ける。




「──ガザニアさんは......もう、この世にいません。私が.....殺しました」




「っ!........そう...あの人は死んだのね」




「.....本当に申し訳ございません。なんの弁解もございません」




「....いいのよ。あなたたちみたいな子どもが理由なしに人を殺したりしないでしょう?夫が...何かしたのよね?」




「そう、ではありますが、そうでもないというのが正解のような気がします」




ウィスタリアが煮えきらない答えを出す。




「なんだか、複雑みたいね。話を聞かせてくれるかしら?」




「わかりました。嘘偽りなく話させていただきます」




ウィスタリアがお茶で喉を潤してから話す。




「ガザニアさんは15年前に貴族殺しに加担した人たちで盗賊になっていました。それも高額の賞金を懸けられた盗賊だそうです。盗賊と言っても、アジトを見た感じ他人から奪った金品で豪遊していたわけではありませんでした。本当に必要最低限の生活だったと思います。しかし、盗賊は盗む以外に食料や水を手に入れる手段がないわけで、とある商会と協力関係にあったそうです。その商会の頼みを聞く代わりに必要物資を貰っていたのでしょう」




「その頼みというのはなんだったの?」




人身売買に関しては伏せて説明したが、シオンはその頼みが気になったようで、質問を投げる。




「.....誘拐です。その商会は法律で禁止された人身売買、奴隷商売を行っていたのです。頻度までは聞いていないので分かりませんが」




「人身売買......私の夫が...あなたたちはそれで襲われたのね?」




シオンが衝撃的な内容に頭を抱える。




「そう、ですね。お昼ごはんを食べ終わった後に.....」




ウィスタリアが肯定したあと、シオンが喪心し始めたため、「ですが」と言ってガザニアの擁護に回る。




「彼らは私の人生と同じ時間を盗賊として生きてきました。貴族殺しの罪と盗賊になってからは誘拐の罪も犯しましたが、彼らは最期まで己が犯した罪に向き合い続けた。それは容易なことではないと思います。私が見た彼らの最期はとても立派で、私は生涯、彼らを忘れることはないでしょう。ガザニアさんを殺した私が言うのもおかしな話ですが、ガザニアさんはシオンさんはもちろん、私とライラックの中でも生き続けます」




ウィスタリアはシオンの目から視線を外さず、話し終えた。




「ガザニアさん.....生ぎて、いだならっ、手紙の1つや2つ、送ってぐれたら、良がったのに...」




大粒の涙がシオンの顎から床に落ちる。息が乱れ、言葉を出すのも難しそうだ。シオンが息を整えようと深呼吸を何度もしている間に数十秒の沈黙が流れる。




「.......盗賊になって人の道を外れても、それでも、あの人はあなたたちに何かを残せたのね?」




シオンが確認するように2人に尋ねる。




「はい。普通では得られない、とても大事なものを、ガザニアさんからもらいました」




「僕もです。ガザニアさんから大切な問いをもらいました。そして僕はこの先、それに対する自分なりの答えを見つけるつもりです」




ウィスタリアとライラックがシオンの問いに答える。




「そうですか。それなら良かったわ.....あの人は、幸せだったと思いますか?」




シオンからさらに問いが投げかけられる。




「......難しい質問ですね。幸せだったのかは私の口から言うことはできません。ただ、断言できるのは、彼らは例外なく、この街に残した大切な人を愛していたことだけです」




シオンが手指を絡ませて少し戸惑っている様子を見せ、意を決したように口を開く。




「.....それならどうして、私たちは置いていかれたの?」




「ガザニアさんは家族を犯罪者の家族にしないために街から出ていったそうです。ガザニアさんがそう言いました。でもですね、それだと15年前の貴族殺しの犯人が誰か判明していないことに確信を持っていないと言えないことなんです。でも、さっき貴族を殺したのがガザニアさんと言ったときに特に驚く様子を見せなかったからシオンさんは知っていた。ここで疑問なんだけど、街の人はガザニアさんが犯人だと知ってるの?」




ライラックがシオンに訊く。




「.....いいえ、知らないわ」




シオンが首を横に振って、詳しいことを話す。




「夫が帰ってきた次の日の朝、台所に1枚の置き手紙があったの。それに『当主を殺す』とだけ書かれていて、その時は何がなんだか分からなかったのだけど、その昼、街中に当主が殺されたという噂が流れた。そのときに私は思ったわ。あの書き置きは冗談でもなんでもなくて、夫が...ガザニアが殺したんだって。怖くなったわ。これから犯罪者の嫁って後ろ指差されるんじゃないかって。でも、肝心の犯人が誰かというのは何年経っても発表されなかった。だから今も未解決事件のままなの」




シオンが湯呑みを手で包むようにして持ち、お茶の水面を見ながら話した。話し終えると、顔を上げて「これがあの事件のこの街での認識よ」と告げる。




「やっぱりね。これは僕の推測でしかないけど、ガザニアさんたちは夜に帰ってきて、当主が女性に対しての非道な行いを知ったんじゃない?」




「......たしかに、夜に帰ってきたし、当主からされたことを話したら家を出たけど?」




「それに憤慨したガザニアさんはすぐに戦争で生き残った人たちの家に向かった。あの人たちの誰も後悔してなかったから当主殺害は全会一致だったんだろうね。そして、誰かに自分たちの姿を見られる前に殺して、戦場で死んだことにするためにこの街を去った。犯人が見つからないのも納得だよね。だって、この街の人からしたら犯人は戦場で死んでいるんだから。ガザニアさんたちの判断力と行動力はすごいよ。家族以外の街の住人を欺いて、自分たちの潔白ガザニアを証明してみせたんだから」




「まさか.....そういうことだったなんて」




シオンがそういえば、とその日のことを思い出し、シオンの中でライラックの推理の信憑性が高まる。そして、シオンの目が何かを決心したような、鋭い目に変わる。




「最後にもう1度言っておくけど、これはあくまで僕の推理だから。当事者が誰一人いない今、真実は永遠に闇の中だよ」




ライラックは釘を刺す。その決心がこれ以上、大きく、固くならないように削る。




「ガザニアさんもお姉ちゃんも同じ。大切な存在のためなら、なんだってやってしまう人なんだ」




「......あなたもそうなの?」




視線を向けられたウィスタリアはゆっくりと頷く。




「....はい。私も、大切な存在を守るために人を殺しましたから」




ウィスタリアが隣に座っているライラックの肩に手を置く。




「そうだったの。あなたは、あの人のようにはならないでね。悪い例を真似してはダメよ?」




「ガザニアさんは悪い例であり、良い例でもあります。ガザニアさんを尊敬しているところがありますので、その点に関しては真似させていただきます」




「そう.....そう言ってもらえるだけであの人も、私も救われるわ」




シオンが安心したような笑顔で「夫のことを教えてくれてありがとう」と感謝を述べた。




「ご家族には伝えるべき話ですし、最低限の贖罪です」




「.....そんなに罪悪感に苛まれなくていいわよ。あなたたちは襲われたのでしょう?それなら殺されても文句は言えないわ。だから、あなたはその重荷をここに置いていきなさい」




「それは.....罪から逃げることになりませんか?」




ウィスタリアがシオンに問う。




「ならないわ。正当防衛だもの。あなたに罪はないわよ」




「.....では、お言葉に甘えて、置いていくことにします」




何かをこらえるようにシオンの言葉を受け入れたウィスタリアに罪悪感が生まれる。




「そうしなさい。あなたはまだ子どもなの。大人になっても、この重荷を背負いたくなったらここに来てちょうだい。そのときは返してあげる。それまで私が預かっておくわね」




シオンが微笑む。それは母親が娘に向けるような、優しい微笑みだった。




「わかりました。必ずここに戻ってきます」




「ええ、待ってるわ。それじゃあ、話はここまでにしておきましょうか。あなたたちにも予定があるでしょうし」




「あ、1つ聞きたいことがあるのですが......」




「なに?私が知ってることなら教えてあげれるわよ」




「オートルート教国に行くための乗合馬車の予約ってどうやるんですか?」




ウィスタリアが市場の人に聞こうとしていたことをシオンに尋ねる。




「あなたたち、オートルートに行くの?」




シオンが面食らった顔をして、逆に質問をする。




「経由するだけですけどね」




「そう。気をつけなさいね。それで、乗合馬車の予約ね?予約は入ってきた門とは反対側にある門に行ったら馬の看板があるから、そこの建物に入るの。そこで、チケットを買うのよ」




「ありがとうございます。では、私たちはこれで失礼します」




ウィスタリアとライラックは椅子から立ち上がり、シオンにお辞儀する。




「こちらこそ話してくれてありがとう。それから、打ち明けてくれてありがとう」




「...いえ、気にしないでください」




そう言ってウィスタリアとライラックは外に出て、もう1度お辞儀して、乗合馬車のチケットを買いに門に向かう。




「...シオンさん、お邪魔しました」




シオンは笑顔で手を振りながら2人を見送る。




「...ねえ、ライラック」




シオンの家がどれか分からなくなるくらい歩いたとき、ウィスタリアがおもむろに口を開いた。




「なに?お姉ちゃん」




ライラックがウィスタリアの顔を見上げ、応える。




「ガザニアさんを殺したときの状況で騙してる気分になったんだけど、私の話を聞いててどう思った?」




「襲われていたときに殺したわけじゃないから正当防衛ではないと思ったけど」




「.....私はそこで罪悪感が襲ってきて、騙してる気分になってしまったの」




ウィスタリアが眉と口角を下げ、不服そうな顔をする。




「たしかに、ガザニアさんを殺したときの状況を言ってなかったから騙した感じになっちゃったね」




「そうなの。それに、『打ち明けてくれてありがとう』って言われたときも......正当防衛ではないから心にチクリと来て...」




「でも、これで良かったんじゃない?シオンさんも満足そうだったし」




ライラックがフォローを入れる。満足していたかどうかは置いておいても、マイナスに思われているということはないだろう。




「かもしれないけれど、やっぱり罪悪感が......」




ウィスタリアが両手を重ねて胸に当てながら「トホホ」と呟く。




「でさ、お姉ちゃん」




今度はライラックがウィスタリアに話題を振る。




「なあに?ライラック」




「シオンさんは...ガザニアさんの罪を自警団に報告すると思う?」




「そうねえ......なんとも言えないわ。ライラックの推理を聞いたときはなんだか雰囲気が固くなっていたけど、その後は元に戻っていたから。ところで、あの推理は合ってるの?」




「さあね。推理は推理でしかない。本人の前で推理を披露するなら推理が真実になるけど、今回は本人がいないんだもん。所詮は推理、確定はできないよ。でも、かなり正解に近いと思う。ガザニアさんの話の内容とこの街の状況に合致するのが僕の頭にはこれしか浮かばなかったから」




「...そう、ちゃんと考えた推理ならいいのよ。それに、私もライラックの推理を聞いて納得しちゃったのよね。それで、どうしてライラックはシオンさんが自警団に報告すると思ったの?」




「お姉ちゃんが言った雰囲気だよ。あのとき、シオンさんの目に決意が宿った気がするんだ。だから、釘を刺した」




「あれはそういう意図だったのね。でも、報告するかもって思ったなら話さなければよかったんじゃない?」




「....シオンさんは、自分はガザニアさんに愛されてなかったから置いていかれたんじゃないかって頭によぎったから、あの質問をしたと思うんだ。その考えを払拭するためだよ」




「そうだったのね。私にはそこまでは分からなかったわ」




ウィスタリアがライラックに「すごいね」と声をかけ、ライラックは「別に」と素っ気ない返事をする。




「シオンさんが自警団に報告するかどうかだけれど、報告するもしないもシオンさんの選択で、私たちがどうこう言えることではないわ。それに、報告するつもりならとっくの昔にしていると思うわよ」




ウィスタリアの答えを聞いて、ライラックは胸を撫で下ろす。


自分のせいでガザニアが守ったものが崩壊するのは避けたかったようだ。




「たしかに、報告してたらガザニアさんたちは僕が生まれる前には処刑されていたかもしれないね」




「...ええ。本当なら私も、今ごろ牢屋かあの世よ」




ウィスタリアがオレンジ色に染まり始めた南西の空を見上げる。




「本当なら僕もあの森で野垂れ死んでるよ」




ライラックがダークウルフに襲われたときのことを思い出しているのか、遠い目をする。




「.....たしかに、あのままなら....そうね。確実に死んでると思うわ」




ウィスタリアはあの血生臭い状況を思い出す。




「...だよね」




ライラックが笑う。それは死にかけたときのことを話しているとは思えないほど無邪気で、実に子供らしいものだった。






その後、2人はつつがなく乗合馬車のチケットを買い、大きめのカバンを2つ買って宿に戻った。




お風呂と食事を済ませた2人は少し魔道具の勉強をしたあと、ベッドに横になる。




「明日の馬車に遅れないように今日は早く寝ましょう」




「うん」




ウィスタリアが照明を消し、部屋は窓から差し込む月の光だけが照らす。




「おやすみなさい」




「おやすみお姉ちゃん」




就寝の挨拶を交わしたあと、ものの数分で部屋は2つの寝息だけの静かな空間になった。






翌朝、カバンに食材や水、服を詰め込んだ大きめのカバンを肩に提げた2人は乗合馬車の乗車場所に出発の時間より少し早く着いた。




「とりあえず間に合ってよかったね」




「...ええ」




ウィスタリアが王都がある南西に目をやりながら頷く。




「やっぱり、この国を離れるのはさみしい?」




ライラックが心配そうにウィスタリアの顔を覗き込む。




「そうね.....いざ離れるとなると、案外さみしく感じるわ」




ウィスタリアがライラックを安心させるように頭を撫で、しみじみと呟く。


その時にちょうど、乗合馬車の御者が馬の看板の店から現れ、馬車を引いてやってくる。


チケットを持った人たちが御者にチケットを渡し、次々に乗り込んでいく。




「でも、私はもうこの国にはいられない。王子や伯爵家の令嬢、それからガザニアさんたちを殺した私が生きたいと思うなんて生意気かもしれない。それでも、私は生きていたい.....」




ウィスタリアが目を瞑り、カバンを持っていない左手を胸に当てる。深呼吸をして、目を開く。




「行きましょう、ライラック。私は生きて、魔道具で世界中の人の生活を豊かにするの」




ウィスタリアが気持ちに区切りを付け、歩き出した。それにライラックが後ろから付いて行く。


2人も同様にチケットを御者に手渡し、馬車に乗る。空いている席に座り、カバンを太ももの上に置く。




しばらくして馬車は動き出し、ターンパイク王国とオートルート教国の国境線を超える。




「国、出ちゃったね」




「....出たわね。でも、罪を背負って生きると決めたんだもの。ガザニアさんのように貫き通すわ」




上空は雲のない天色あまいろの空だが、これから2人を待ち受ける障害があるかのように進行方向に雲が浮かんでいる。




ウィスタリアとライラックという2人の天才は世界にとって、とても大きな一歩を踏み出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

婚約者の王子を殺した天才令嬢は野茨の道を征く 野生くん @gudfkvgudugiydfjc

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ