第3話・顔よりさきに

部活のある者、用事がある者が教室から出始める。

「古屋、帰んの?」

「よ!・・・用事がありまして・・・」

「何で敬語?」

「ソンケーシテルカラダヨ」

「嘘つけよ」

今私は清水に嘘は言っていない。本当に清水の事は尊敬している。

自分を持っていて、媚びない、言いたいことは言う、人の顔色は伺わない、男らしい(女だけど)

「まー良いけどよ・・・・・あのよ!」

ガッ!と急に肩を組まれた。ギャ!と変な声出たじゃん。ハズイ。

「望月か?」

「も!・・・誰?」

「今日話してたろーよ」

「あ~いや、その~・・・・・」

「もし望月と一緒にいるなら・・・・気を付けろよ」

「?」

「・・・何かあったらスグ電話でも何でもしろよ」

「??」

よくわかんなかったけど清水が言う事だ、頭のスミに入れておこう。

スミ以外は望月美月姫の胸でいっぱいだから!

教室を出る時清水とクラスメート達のこんな会話が聞こえた。

「古屋さんと何話してたの~?」

「何でもいいだろ」

「私達にも肩組んでよ~」

「お前らなんかにするか」

清水は女子にモテるのである。

17時半 下駄箱

時間ちょうど。望月美月姫はもう居た。

「あー来た~♪」

「そりゃあね・・・」

待っていた望月美月姫の姿は刺激的だった!

制服スカートにTシャツ!しかもTシャツはクラスTシャツ!

もう出来てるんだ。

生地が薄くないかな?しかも白!

ああ、あああ!目が離せない~~!

あなたの魅力を支えるモノの色まで分かりそう!

青か・・・・。

「遠慮なく見るね~」

「遠慮してるよ!」

「それで!?」


帰り道、駅に向かう私達。

望月美月姫は好みの顔じゃないけど綺麗で整った顔をしている。

だからすれ違う人の視線を集める。

それくらい綺麗だ。

しかしそれ以上に視線を奪うモノが顔の下にある!

本人は全然気にしてない感じ。慣れてるのかな。

その状況に私の心には土日とは違うモヤモヤが生まれた。

「あー望月さん、上着ない?」

「あ~忘れた」

「・・・コレ着て。今日使ってないから綺麗だから」

私は時間割を間違えて持ってきた体育ジャージを渡した。

「えーなんで??」

「その・・・・隠して欲しいから」

「あー透けてたかぁ。あ!それとも独占欲的なやつッスか~?」

ニヤニヤとコチラの顔を覗き込んでくる。

まー多分そうなんだけど。

「まー多分そうなんだけど」

あ、声に出ちゃった!

「!・・・・・・ジャージ借りるね、ありがと」

そう言って上着を着るけどギリギリだな。

パツパツでコレはコレでエロくないか?

「彼女ジャージだーワーイ♪」

ニシシと屈託のない笑顔。夕日で頬を赤い。

初めて顔の方をよく見た。


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