第21話 奇跡と危機
「ここは……」
「セイン様……教会でしょうか?」
ヨーナさんにつれられていったところはステンドグラスと、十字架のある建物だった。中に入ると、そこには胸の大きい女性をえがいた肖像画が目に入る。
そして、その女性に俺は見覚えがあった。
「これはまさか……ヘスティア様か!! でも、なんで?」
彼女はこの世界では邪悪な存在として扱われているのだ。こんな風に進行されているのはありえないことなのだ。
いや、待った……
「さっき神に祈っているって言ったけど、それってまさか……」
「そう、私たちはこの村でヘスティア様を信仰しているのよ。そして……奇跡がおきたの。見せてあげるわ」
「ああー、ヨーナ。ごめんなさい……畑仕事をしていたら腕をケガしてしまって……」
奥の部屋から腕に包帯を巻いた胸の大きい女性がやってくる。包帯からは血がにじみ出ており何とも痛々しい。
巨乳な女性が苦しんでいるのは見ていられずにヨーナさんに声をかける。
「俺が治療しましょうか?」
「ん? ああ、なるほど……救世主様も使えるんだね。でも、大丈夫だよ。見てなさいな」
ヨーナさんが怪我をした女性の包帯に手を掲げた時だった、優しい光が生み出せれて包んでいく。
そして、治療が終わり包帯をとるとそこには傷一つなかった。
「さっすがヨーナ。ありがとう」
「ああ、今度は気を付けるんだよ!!」
ヨーナさんがけがをした女性を見送ったのを待って、声をかける。まさか彼女もヘスティア様の加護を持つ四人の女性の一人なのか?
「今のは……ヘスティア様の加護ですね!! もしかして夢にヘスティア様が現れたりは……?」
「ごめんごめん、勘違いさせちゃったね。私はシャーロット様みたいに選ばれたとかじゃない。ただ、あのお方の言う通りにヘスティア様に感謝の祈りをしていたらいつの間にか不思議な力がつかえるようになったのさ。そして、力を使えるのは私だけじゃない。さっきの子は少しだけど身体能力をあげられるんだ。まあ、そのせいで今みたいに無茶をしがちなんだけどね」
ヨーナさんが苦笑しているが、今の俺は他のことで頭がいっぱいだった。ヘスティア様は俺にこう言っていたのだ。
力を示し、世間の価値観を変えてくれればヘスティア様が力を取り戻せると……
シャーロット王女はすでにそれを行って実現していたのだ。そうわかると胸が熱くなってくる。
そして、居ても立っても居られなくなってしまった。
「ヨーナさん俺もここで何かできる事はないかな? みんなの力になりたいんだ!」
「そうだねぇ……今みたいにスケベな顔をしてみんなの谷間を見ててくれればいいよ。それだけで私たちはうれしいからね」
「いや、そんな変な顔してみんなの谷間を見て何ていないよ……ね、シグレ」
「……申し訳ありません、セイン様。私からは何も言えません」
あれ、シグレにむっちゃ気まずそうに目を逸らされたんだけど……もしかして無意識に見ていたってこと?
まじで俺、変態じゃん……だけど巨乳の谷間を見るのはもはや本能だから仕方ないよね。
「うう……じゃあ、せっかくだし、農作業とか手伝ってくるよ。男手があった方がいいだろうし」
「ああ、そうしてくれると助かるよ。ついでにスケベな顔で谷間を見ながら可愛いとかいってくれると助かる。みんな自信を取り戻せるからね」
げんなりしているとヨーナさんが意地の悪い笑みを浮かべながらからかってくる。すっかり警戒心が消えているのはうれしいけどやられっぱなしはちょっと悔しいね。
「もちろんだよ。ヨーナさんは優しいし、かわいくて頼りになるね。いい奥さんになりそう」
「な……」
せめてものお返しにと彼女の顔と谷間を見て、笑顔で言った。みんなの中にはヨーナさんも含まれているはずなのだ。
そして、軽口にように言ったが本気だった。皆をまとめ、心配しつつ面倒を見ている彼女は本当に素敵で、頼りになると思ったのだ。
あとはその……スタイルもむっちゃ良いし……
俺の言葉にきょとんとしていたヨーナさんの顔がカーッと赤くなっていく。
「そう言う言葉は他の女の人にいいなさい。ほら、さっさと畑の方にいきなさいな」
「ごめんなさーい、シグレ。いこうか」
ヨーナさんが拳を握りしめて追い出そうとするが、それは照れ隠しだとわかるのでうれしい。
彼女が本当に喜んでくれているとわかったからだ。
「あ、申し訳ありません。ヨーナさんとちょっと話したいことがありまして……」
「あ、そうなの。じゃあ、俺は畑の方にいるね」
珍しいこともあるもんだと思ったが、彼女と同じ巨乳がいるのだ。色々とおはなしをしたいこともあるだろう。そう思って、教会から出ていき畑へと向かおうとした時だった。
遠目にふらふらとしながら歩いてくる人影が見えた。
「あれはまさか……」
今にも倒れそうなその人影にアクセラレーションを使ってかけより支えるとその正体は……シャーロット王女と共に、領主の家でお茶会をしているはずのクロエさんだったのだ。
「ああ、セイン様……お会いできてよかった」
「しゃべらないで? 大丈夫? 顔が真っ青だよ」
毒でも飲んだかのように弱々しく微笑む彼女を治療してもらうために抱えようとするが話を聞いてくれとばかりに抵抗する。
「私の事はどうでもいいんです……あの人を……シャーロット様を助けてください」
いつものようにからかう感じは一切なく震える声でクロエさんはそういったのだった。
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