第13話 巨乳聖女(新キャラ視点)

 豪華な装飾のされたベッドの前で法衣を身にまといヴェールで顔を隠した少女が横たわっている老人の症状を観察しており、その様子を青年が心細そうにみつめている。


「わが父の病は治るでしょうか?」

「これは病ではありません、おそらく毒でしょう。老衰にみせかけるための徐々に体を蝕む毒です。使用人によからぬことを考えているものがいるようですよ」

「いったい誰がそんなことを……弟か……叔父か?」



 少女の言葉に青年が息をのむ。目の前の老人は貴族でも高位にあたる。命を狙うものは多いのだろう。


「ですが、ご安心ください。この程度ならば治療できますよ」

「おお、ありがとうございます」 

「我が神の加護によって毒を浄化せん」



 少女が詠唱しながらその手を老人向けると暖かい光がうまれ、まるで土のようだった老人の顔色がよくなっていく。



「おお、さすがです。巨乳聖女様!! 生死をさまよっていた父を癒すとは……あなたこそ我が国の救世主だ」



 治癒能力……それは本来ヘラの加護による魔法でありえない力に青年が興奮気味に声をあげる。



「気にしないでください。我が神ヘスティア様の加護の前ではこの程度お安い御用ですよ」


 

 巨乳聖女と呼ばれた少女は感謝の言葉を語る男性に微笑む。それはまるで聖母のような慈しみに満ちていた。



「そ、そうですね……ヘスティア……様の加護ですね」



 歓喜に満ちた男だったがヘスティア名前を聞き、はっとした表情で巨乳聖女と呼ばれた少女の大きく膨らんだ胸元を見て、まるでにが虫をかみつぶしたような表情変化する。

 だが、そんなことは慣れているとばかりに表情を変えずに口を開く少女。



「それよりも、治療した報酬代わりの約束を覚えていますね?」

「は、はい。朝昼晩の三回『おっぱい、でかぱい、ヘスティア様』と祈ること、そして、胸の大きい女性がいたら助けることですよね?」

「はい、よろしくお願いいたします。では、失礼いたします」



 青年の言葉にうなづくと、少女はもはや用はないとばかりに去っていく。そして、屋敷の目の前にある馬車に乗ると、乱暴にヴェールを投げ捨てる。



「全くせっかく助けてあげたのに、人の胸を見て何て顔をするのよ、あの男!! 不敬罪よ、不敬罪!! 自分の父の心配だけしてなさいよ」



 銀色の髪に釣り目の美しい顔があらわになるが、その表情は慈愛に満ちた笑みを浮かべていた時とは別人のように怒りに満ちていた。



「まあまあ姫様……じゃなかった巨乳聖女様。落ち着いてください。万が一あなたの本性と正体が漏れたら大変です」

「わかってるわよ。だから、あなたしかいないときに愚痴っているんじゃない」



 先ほどまでとは別人のように巨乳聖女と呼ばれていた少女はしゃべる。その姿にはおしとやかのおの字もなかった。



「信頼していただくならもっと給金がほしいのですが……」

「う、しょうがないでしょう? 味噌っかす王女の私には大したお金がないのよ……好き勝手させてもらうかわりにお姉さまにほとんどの報酬も取られちゃうし……」

「全く仕方ない方ですねぇ……そんなあなたに朗報ですよ」



 ため息をついた巨乳聖女様にクスリと笑ったメイドが手紙を渡す。



「これは……?」

「ヒルダ様からです。どうやら巨乳聖女様が探していた不思議な能力を持つ男性を見つけたそうです。明らかに筋肉量を超えた力を出す能力をもっているそうです」

「ふぅん、こいつがヘスティア様がいっていた救世主様かもしれないのね……でも、本当に信じられるのかしら?」

「わかりません…ですが、私たちの力はまだまだ弱いですからね。仲間は多いに越した方が良いと思いますが…」

「だったら見極めさせてもらおうかしら。期待外れだったら許さないんだからね!! そいつはどんなやつなの?」



 口調こそきついもののどこか嬉しそうに声を上げる巨乳聖女。だが、それもつづきの言葉を聞くまでだった。



「それが……セインという名前でヒルダ様の弟だそうです」

「は……? ヒルダに弟なんていたっけ……」

「いえ……ヒルダ様は一人娘のはずですが……隠し子でもいたのでしょうか?」



 馬車の中を困惑が支配するのだった。




 というわけで次の章『巨乳聖女』編になります。引き続きよろしくお願いいたします。



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