二年後の流れ星

ゆ〜

流れ星

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―― ✕✕年ぶりの巨大な流星群が今夜!△△の夜空いっぱいに見えるということで、沢山の人々がすでに場所取りを行っています!!――


テレビから少し前に有名だったアナウンサーの声がする。

流星群。

流れ星。

大好きだったなぁ。

もう5年生か。

今はもう見に行きたいとも思えないけれど、僕は本当に大好きだった。

好きだったその時に、父と母と集めた鉱石やきれいな石。

どこにやったっけ?

捨ててしまったかな。

いまは記憶が曖昧なくらい嫌いになっている。



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今年もまた今日が始まる。


あの日から、決まって毎年の今日に、僕は近くの天文博物館に行く。

そこで僕は隕石を見る。

それは小学校3年生の手のひらにすっぽりと収まるくらいの小さな隕石。


―― 〇〇年〇月〇日△△で発見された隕石

   発見者はその日、両親と観測に来ていた小学校3年生男児。

   発見当初は ――

  

少し見慣れてしまった紹介文。

あの日から2年。

2年も経った。



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あの日はとても珍しいくらいの流星群が見れる日だった。

みんながおやつ時から星の見える丘に場所取りをするくらいに、みんな楽しみにしていた。


夜になり、あたりが暗くなる。

ふと空を見上げると、天体好きだった僕ですら見たことの無いくらい星が瞬き、美しい。

あの感動は一生忘れないはずだった。


火の不始末だった

皆が星を眺めている中、芝生が燃えた。

知らぬ間に地上も明るくなり、火の手が回る。


その時だった。


――ドンッ


流れ星が落ちた。

隕石、だとは知らなかった。

危ないと分かっていなかったのかもしれない。

周りが赤く輝るひかる中、2年前の僕はそこに向け一心不乱に走り出す。


辿り着いて、ふと我に返るとそこにはもう両親の姿は無い。

前代未聞のこの事件は、全国にニュースとして流れた。


―― 流星群とともに悲惨な事件!?

   隕石が発見も!? ――


その事件では、僕とほんの少しの人だけが生き残った。

僕が見つけた隕石は寄贈した。

その石ころを僕は見ていたくなかった。

子供ながらにも辛いとでも想ったのだろう。



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なんで君だけが生き残ってしまったと思う?

君は生き残りたく無かったかい?


この隕石は毎年僕に問いかけてくる。


2年前のあの悲劇を思い出せ、と言わんばかりに。


石に刻まれた2年前の思い出は、僕にとって手紙…

いや、呪いのように届けられている。

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二年後の流れ星 ゆ〜 @MainitiNichiyo-bi

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