第16話  剣を作りましょう(2)精霊と同化

 ロアンは女なので、大槌を何回の叩く力がなかった。

 そこで彼女は、魔法使いらしく大地の精霊エーレに助けを求めた。

 精霊は、ロアンに大分、魔力を持っていかれて、ボロボロであった。

 簡単には、良いとは言わない。


 <謝れよ!! オレも風や水の精霊エーレは中位だったんだぜ。それを魔力をを削がれていって、今じゃあ下位に近い方だ。本当は、お前なんかとの契約は切りたいくらいなんだからな!!>


 いつも無理やり力技でねじ伏せてきた。

 契約精霊エーレたちと話したことも無かった。

 精霊たちが怒っているのは、無理のないことである。


 ここに至ってロアンは、自分が精霊という存在の大きさを知った。


「御免……御免なさい……あたしが悪かったよ……みんなが力を貸してくれるから喜んでるのかと思ってた……御免なさい」


 ロアンの愁傷な物言彼女の精霊エーレたちは、顔を見合わせて驚いていた。


 彼女の大地の精霊エーレは、ロアンの謝罪を受け入れた。


 <……分かった。それで、女の身で鍛冶をするんだな?>


「うん。私の力じゃあ、大槌を振れないよ」


 半透明の大地の精霊は、「フ~ム」と考えた。


 <オレと同化すれば良くねぇか?>


「精霊の力を身体に取り入れるの?」


 大地の精霊エーレは、頷いた。


 <ロアは、魔力だけならSSSランクだ。正しく教育されていけば、神殿所属のエリート魔法使いにだってなれたのに、ロアには別の道が用意されてしまった。女のロアにこの役が与えられたのは、今現代男で火竜に対処できる人物がいないってことだ>


 大地の精霊の言葉に、ロアンはハッとした。

 運悪く、押し付けられたとばかり思っていたが、本当にロアンしか火竜と向き合える人間がいなかったとしたら……


 <オレが、ロアの身体と同化して、魔力で身対能力を上げるんだよ>


 ロアンは、二つ返事で頷いた。


 そして、はぐれ谷の広い場所で、ロアンは、大地の精霊エーレを身体の中に取り込むことにしたのである。

 と、同時に大地の精霊の気配は消えた。全て、ロアンの魔力となったのである。


 二日後から、ロアンの剣作りが始まった。

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