第8話 小屋での生活
数日たち、デュール谷の中の一つにはぐれ谷というものがある。
名前通り、人間の住んでるところから随分と離れていて、周りからも隠れているようなところである。
『気に入ったわ。優しいのですね。デュール谷の人達は』
ロアンは、知っている。全部自分に押し付けるためにこの小屋を豪華にしたんだと。パーシアは、知ってか、知らずか無邪気に喜んでいる。
大きく息をついたロアンは、持って来た荷物を小屋の中に入れた。
カバンを開けて唖然とした。
男物の作業着に着る服しか入っていないのだ。
すぐに、爺に双子石(連絡用通信石)で文句を言ったら、
「お前は、鍛冶士になるのだろう?ドレスを着て、剣が鍛えられるのか?
火傷をするのがオチだぞ」
と、返される始末だ。
ロアンは、決しておしゃれではなかったが、女の子としての自覚はあった。
だから、学び舎のの制服もスカートをはいていたのだ。(ズボン着用許可アリ)
ロアンの行動が突飛過ぎて、周りからズボンの着用を促されようと、パンツの上にスパッツをはいて周囲の声を無視をした。
「ンモォ~~!! あたしは女よ~~!! あんたみたいな火竜を押し付けられた挙句に、剣を作れとは何事よ~~!!」
小屋には、村からは離れているので、パーシア以外ロアンの声が誰にも届いていない。
パーシアは、ロアンの怒りを物ともせずに、ニッコリ笑って椅子に座り、人間用の香草茶を飲んでいた。
「ロアン……ロアで良いですわね? この時代の剣は何で出来てますか?」
(おかしなことを聞いてくるな?)と思ったが、パーシアはこの時代の竜ではなかった。現代の情報に疎いのだ。
「鉄……鋼じゃないの?銀の森のは、鋼の剣に風や、火の魔法の付加価値をつける鍛冶士もいるって聞いたことがあるもん」
「てつ? 銅剣ではないのですね!!鉄なんて、あんなに固いものを溶かす技術を人間は手に入れたのですね」
パーシアは涙ながらに言う。
調子の狂うロアンである。
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