LaTeX形式

 さて、 LaTeX文書は例えば以下のような形式で書かれます。


================


\documentclass[uplatex, a4j]{jsarticle}

%

\newcommand{\zou}{ぞうの卵はおいしいぞう}

%

\begin{document}

%

\section{伝統的な \LaTeX{}文書}

これはテスト文書です。

\par{}改行テスト

\subsection{はじめに}

従来、哺乳類である象は胎生であり、放卵することはないと考えられてきた。

しかし、

Ornithorhynchus anatinu

に見られるように、一部の哺乳類は卵生であることが近年の研究で明らかになってきた。

このことは、

哺乳類の動物が

卵生と胎生のどちらの形態で繁殖をするかは一意に決定できないことを強く示唆している。

ここで

地上最大の哺乳類である象について考えると、

象のような巨大な動物は胎児を抱えるよりも、卵として放卵してしまった方が母体にかかるストレスは低くなることが期待される。

%

また、

土家の報告\cite{kawaisou}によれば、

象は人間の飼育下にあって殺傷されるリスクが存在する。

このリスク下においては象が卵生を選択することは自然であると考えられる。この研究では

以上の考察から象の卵が存在することを仮定し、その利用法について考察する。

\subsection{象の卵に期待されること}

まず、象はデカイ。めっっちゃデカイ。

% 要出典

なので、

その卵の殻も相応の強度が予想される。

この強度のメカニズムを解明することで、新しい建築材料の開発に関する知見を得ることが期待される。

%

また、

象は草食動物なので、美味しいはずである。

鮭とイクラのアナロジーから、象の卵も美味しいだろう。

\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}、\zou{}

\ldots

%

\begin{thebibliography}{99}

\bibitem{kawaisou} かわいそうなぞう, 土家由岐雄, 1951, 愛の学校・二年生

\end{thebibliography}

%

\end{document}

================


 \documentclassやbegin{...}の詳細については実際に使う際に各自調べてもらうことにしますが、これらの「\」が頭に付いた文字列がHTMLにおけるタグと同じ役割をしており、文書中の文字列がどのような意味を持つかを示しています。


 例えば「\section{hoge}」と言う文字列はその行から「hoge」という章が始まることを示していますし、「\subsection{hoga}」はその行から「hoga」という節が始まることを示しています。更に下の区分には小節を示す[「\subsubseciton」や上の区分として部を表す「\chapter」等も存在します。


 もしもLaTeX環境が整っていれば、上の書面をコピペしてuplatexでコンパイル(し、dvipdfmxでPDFに変換)すると、体裁が整った文書が出力されるはずです。


 ですが、脳内のヴァーチャルなマシンで作業をしている方(もしくはコピペするのも面倒な方)は以降の話についてなんとなくそんなものだと受け入れてください。


 この文字列を実際の文書にした際に驚くべきことの1つは、「\subsection{はじめに}」から「\subsection{象の卵に期待されること}」の間にある改行が全て消え、 1つの段落として一続きに表示されていることでしょう。もちろん、あなたがコピペの際に改行を全て削除していなければですが。


 一方で、「\section{...}」の下にある「これはテスト文書です。」と「改行テスト」の間には改行が挟まっているはずです。


 この2つの差はなんでしょうか。


 あなたに子と予の形の違いを見分けるだけの注意力があるならば、このページ内の「テスト文章です。」と「改行テスト」の間に「\par」という指示が入っていることに気がつくことができるでしょう。


 この\parはその部分で段落を変更させる指示であり、逆に言えばこのように改行させるような指示を行わない限り、文書としては1つの段落として扱われるということです。


 もちろん、文書としては 2つの \subsection{...} の間の文章が「はじめに」で述べる一塊として一段落にまとめられることに問題はありません。しかし、例えば「従来、哺乳類……」から始まる行と、その下の「しかし、」以下の文章は明らかに正反対の主張をしています。


 つまり、文章の意図としては別の内容ということです。


 Markup言語を用いる最大の利点はまさにこの部分です。言い換えると、文書としての意図(つまり段落分けや章立て)と文章に与えられた内容としての意図(この例で言えば象の卵の議論)を視覚的に分けて管理することができるのです。

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