第20話 プロポーズ


 私達が今生きているのはハルくんの結界のおかげだ。

 結界が無ければ今頃、私達を囲ってる炎の熱さでへばってるだろう。

 なんなら三人とも一発ずつ良いの貰ってるから結界が無ければ今頃普通に死んでる。

 

 ありがとうハルくん!!


「お、俺もう無理かも……」

「私も……」

「二人共!頑張って!もしかしたらハル君が助けに来てくれるかもだよ!あと少し、耐えるんだよ!!」

「にいさーん!!助けてくれぇ!!」

「早くルイ殿とイチャコラしたいんだー!!」

「そんな事言ってる余裕があるんだったら少しでも攻撃してくんない!?」


 二人が帝都の方向に叫んでいるとドラゴンが攻撃を仕掛けてくる。

 私の魔法で壁を作り、攻撃を耐える。


 私の魔力も少なくなり、魔法の強度も低くなってる。


「私の魔法も次は耐えられない!死ぬ気で避けて!」

「分かりました!!」

「そろそろ死ぬかも!!」


 ルイくんの言ってることも正しい。

 魔力も体力もほぼ無い。ほんとに死ねる。


 ドラゴンはそんなことを気にしてくれるはずも無く、容赦なくブレスが飛んでくる。


「あっ」


 疲労で足がもつれて転んだ。

 終わったかも。目の前には炎。

 魔法発動も間に合わない。


 ハルくんの結界も薄くなってるから耐えられない。


「ハルくん……」


 私は死を覚悟してハルくんの名前を呟いた。


「うおぉぉぉぉ!?!?」

「!?」


 なんかハルくんの声が聞こえた!?

 どこ!?どこに……上!?


 上空からハルくんが落ちてきた。

 なぜに?


「魔法特化結界!!……いってぇ!?」


 ハルくんが私達を囲うように結界を張る。

 そしてハルくんが地面に埋もれる。


「ハルくん!?大丈夫!?」


 頭から突っ込んでるハルくんを引っこ抜く。


「いやぁありがと。でも結界張ってたから痛みは無いぞ。無事だ無事」

「よ、良かった」

「それはこっちのセリフだ。いやぁご都合主義で助かった」

「ご都合主義?」

「あぁいや、何でもない。さて、」


 ハルくんがドラゴンと相対する。

 そして


「ぶち殺す」


 魔法を放った。


「かっこいい……っ!」


 私はハルくんのその姿に子宮が震えた。



──────────────


 いやぁ危なかったな。

 僕の結界も何度も攻撃を受けたせいで次の攻撃を耐えられなかっただろうし、ほんとに間に合って良かった。


 ご都合主義で助かった。ほんとに。


 さて、僕の愛しのアイとマイブラザーとその恋人を痛みつけたこのクソドラゴンはどう処分してやろうか。


「グオオオオ!!」


 ドラゴンは魔法を放ってくる。

 それを結界で跳ね返す。


「グオッ!?」

「さて、楽には死なせないぞ?クソトカゲ。この数時間、お前も同じことやってたんだからな」

「グゥ……」


 ドラゴンが僕の魔力に恐怖したのか後ずさる。

 そして翼を広げ、飛び立とうとした。


「逃がすか」


 僕はクソトカゲを結界で捕らえる。


 それから僕はドラゴンをフルボッコにした。


「は、ハルくん!いつまでやってるの!もういいって!」

「あ……ご、ごめん」

「もう真夜中だよ!」

「兄さん、かっこよかったけどちょっと怖かった……」

「お義兄さんは怒らせてはいけませんね……」


 アイはちょっと怒ってる。

 ルイとルナさんの二人は抱き合ってブルブル震えてる。そんなに怖かった?


「もう、帰ろ?」

「そうだね……帰ろうか」

「ハルくん、助けてくれてありがとうね。子宮が震えちゃった」

「ふ、震えちゃったか……」


 これにはどう返せば良いんだ?何だよ子宮が震えるって。


 僕たちは帝都に飛んで帰った。


 帝都に戻った僕たちはギルドに生存報告をして、宿に戻った。


 ルイとルナさんは疲労と安心で宿に着いた瞬間、倒れるように寝た。

 二人を部屋のベッドに運んで自分の部屋に戻ると、アイがベッドに座っていた。


「アイ、寝ないの?疲れたでしょ?」

「私はまだ寝ないよ。だってハルくん、言いたいことあるんでしょ?」

「えっ」


 な、なぜバレてる!?

 僕言ったっけ?


「顔に書いてあるよ」

「そ、そうか……」


 僕も腹をくくるか。

 

 僕は部屋に置いてあった指輪を取り出して、アイの前で膝を付く。


「……アイさん、僕と……ハルと結婚してくだしゃっい」


 やっべ噛んだ!

 は、恥ずかしい……。


 僕の顔が赤くなるのが分かる。


「ふふっ……ハルくん可愛い」

「うぅ……」

「それで、返事だけどね。もちろん良いよ」

「!ほん──」

「ただし!」

「?」

「私の唇にキスしてくれたらね?」

「分かったキスだな任せろ」


 僕は自分にかけている結界を解き、アイに近づく。

 キスすると決めてた僕は慌てたりしない。


「え?えっ?」


 なんか困惑してるアイの腰に手を回し、抱き寄せる。

 そして、僕はアイの唇にキスをした。


「……どう?これでいい?」

「ひゃ、ひゃい!」


 アイが顔を真っ赤にして返事をする。

 呂律が回ってない。


「かわい」


 アイの耳元で囁くとボフッと更に顔を赤くしてベッドに倒れた。

 

「あっ……」


 倒れたアイを見て、冷静になる。


 ……僕、凄くね?ヘタレな僕があんな事言えるなんて……驚きだわ。

 まさか耳元で囁くイケメンムーブをするとは思わなかった。

 もうあんなの二度とできんわ。恥ずかしくて無理。


 ま、まあプロポーズは成功って事で!


 僕は顔を赤くして、アイと同じベッドで寝た。




「なぁルイ殿、見た?」

「見たよルナさん。ヘタレな兄さんがアイさんの耳元で囁いたとこを!凄い男っぽかった!」

「……私もやってほしいな」

「えっ」


 部屋の外でコソコソと見ていた二人も顔を赤くしながら眠りに付いた。


 そして翌朝……


「んぅ……」


チュ


「へ?」


 僕の唇に柔らかい物が当たった。


「ふへへ、ハルくん。おはよ」

「え、お、おはよ……き、キスだよね?」

「うん。昨日ハルくんからしてくれたでしょ?それのお返し」

「そ、そうか。ありがと……あっ。そういえば指輪嵌めて無かったね」 

「指輪……私が気絶しちゃったから。ごめんね」

「いいよ。あやまんなくて。今からつけるね」


 僕はアイの左手の薬指に指輪を嵌めた。


「じゃあハルくんも」

「ん」


 僕の指輪をアイに渡す。

 それを嬉しそうに受け取り、僕の左手の薬指に嵌めた。


「んふふ。これからよろしくね?」

「うん。よろしく」

「そ・れ・で」

「?」

「えいっ」

「!?」


 アイが僕に跨る。


「え、ア、アイさん?」

「今まで私、我慢してたんだよ?もう、良いよね」

「えっいや、あの……」

「いただきま〜す」


 僕はアイに食べられた。そりゃもう美味しく。

 因みにしっかり認識阻害と防音の結界は張ってあるので普通ならバレないと思うのだが……


「「ニヤニヤ」」


 部屋の外にいた二人にニヤニヤされた。

 バッチリバレてた。


 それに顔を赤くしながら僕たちはギルドに向かった。


「そろそろ帝都を出ようか」

「そうだね。もう2週間くらいいるもんね」

「兄さん、だったら護衛依頼を受けてこうよ。俺とルナさんとアイさんはまだ受けれないけどパーティーを組んだら行けるだろ?」

「いけるな。よし、そうしようか」

「ねえねえ姫様。どうでした?初めては」

「聞かないで!どうせルイくんとやるんだから!!」


 

 僕らの笑いが絶えない旅が、始まった。






─────────


はい終わり!!ちょうど20話で終わったねぇ。

いやぁ最後の書き方的にさ、ちょうど一章終わったぁみたいな感じじゃん?

でもこれで終わりね。続けたらいつボロが出るか分からんからね。

てか多分もう出てるよね。


僕は恐らく長期連載には向いてない。そもそも書くこと自体向いてないと思うんだよねぇ。まあ楽しいから書くけど。


少ししたら新しいの投稿するかもね。それは僕の気分次第ってことで。

さらばだ読者諸君!!またいつか会いましょう!!








はぁ……僕も美少女に食われたい。

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婚約破棄されちゃった転生貴族のお話 九城オウカ @mtzksum0401-

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