第11話 お弁当

「おいーなんでだよー全く…」


「まあ頑張れとしか言えんな

 お前とは長い付き合いだ お前はこういう

 目立つのが苦手だったな まあファイト!」


「つらたん」


ジロジロ見られるのは昔のトラウマを

思い出すから辛い

無視や気に留められないぐらいがちょうどいい


「まあ切り替えていけ

 ていうかもう昼休みではないか

 お弁当でも3人で食べよう

 そしてお前は荷物を置いてこい」


「あぁそうするよ」


そういや病院から直接来たから

お弁当ないな 購買行くかー…

うん…やっぱりクラス入りにくい…

うーん…いつも通りいこう

いつもなら気づかれないし…


ガラッ


うっみんなやっぱり見てくるな…

パッと荷物置いてパッと出よう

幸いみんな、いつも俺と喋らないから

何話せばいいか分からないっぽい様子だ。

パっと置いてパッと出るぞ、よし!


「おいっ 良一?だっけ?」


「はっはい!」


びっくりした…いきなり話しかけられて

心臓が止まったかもしれん…


誰かと思ったらクラスのギャル 清田だった。


あれっ?またちゃんと名前覚えられてない?

まあ今はそんなことどうでもいいか


「お前確か私に借りがあったよな?」


??

あ、そういやそうだったそうだった

殴られたりですっかり忘れていた


「えっえぇありますけど…」


「ここじゃ面倒だし

 放課後教室待ってて」


「えっ」


「じゃあよろー」


まじかよ…次から次へと色々あるな…

今度は一体何があるんだろか、



「よし荷物置いてきたな

 よし行くぞ!」


「おい 待てよ今日お弁当持ってきてねぇから

 購買行かんと…」


「ん」


「??なにこれ?」


差し出されたのは…四角い…袋?


「お弁当」


「えっ」


「お弁当」


「えっ」


「お弁当 …って何回目だ!

 早く取れ! 腕が疲れる!」


「おっおぉ…すまんな でもお弁当作るのは

 明後日って言ってなかったか?」


今日来ると連絡したが

したのは3限あたりだ。

どう考えても間に合わないが…


「……私が2つ食べようと思っただけだ…」


「流石にその嘘は分かるぞ

 もし本当だったら太るぞ」


「うるさいな!察しろ!バカ!」


幼馴染は来ると分かってたのか?

なんかそんな勘でもしたのだろうか

それとも本当に2つ食べようとしたのか


「まあ ありがとうな頂くわ

 で? どこで食べるの?

 人がいないところがいいんだけど…」


「わっ私も人がいるところはちょっと…」


「あぁ言ってなかったな 屋上」


「「えっ?」」


「屋上 って流石にやりすぎだ!」


「いやだって

 遂にお前の頭がどうにでもなったのかと…」


「どういう意味だ! ていうか遂にってなんだ?

 あ? いつかなると???」


「あっはい失言でした…

 でも屋上は入れないだろ?」


「そっそうですよ! 鍵が必要で…」


「お前たち私が誰か覚えているか?」


「「2年生のマドンナで優しくて頭が良くて

 可愛い先輩(幼馴染)」」


「うんあってるな つまりそういうことだ」


「どういう事だよ!」


「はぁ 

 それにプラスしてもう一個あっただろうが…

 私は生徒会所属だぞ…」


「「あっ」」


「つまり鍵を持っている

 ほら行くぞ」


幼馴染は優等生だという事をすっかりと

2人とも忘れていた。



「わあ綺麗な景色ですねー」


「あぁそうだな」


「だが風が少し強くないか?」


「お前みたいにヒョロヒョロなら

 飛んだ行くかもな」


「逆にお前なら重くて安心だな…

 っておいやめろ 屋上から落とそうとするな!」


「このヒョロガリめ!男子だろ!」


「男女差別はいけませんよーだ!」


「それとこれとは別だ!

 昔から握力で私に負けてるくせに!

 女子に負けるってなんだよ!」


「今やったら勝てるわ!

 なんなら今やるか?あ?」


「やってやろうじゃんかよ おら!」


「2人とも昼ごはんという事を

 忘れないでください!」


「「あっ」」


いかんいかん すっかり忘れていた


風が当たらない位置に移動して

3人で囲う様にする。


ふと思い出したんだが幼馴染の料理って

大丈夫かな?

昔から幼馴染は料理が大の苦手だ。

そのくせ よく作る。

そのため昔から俺が

試食という名の毒味をよくしていた…

俺の昔のトラウマの一つだ…


「幼馴染の料理か…」


「ん 不安なのか? 大丈夫だ 安心しろ

 お前をよく吐かせていたのは昔の事だ

 今は違う 私だって成長するのさ」


「それが不安なんだよ」


おそるおそるお弁当の蓋を開ける


「おぉなんか美味そうだな

 変な色じゃない」


「変な色?昔は変な色だったりしたんですか?」


「あぁそれに

 昔の幼馴染の料理は思い出しただけでも

 目眩がするぐらいの料理だ」


「いっ意外ですね…」


「お前ら失礼だぞ 早く食べろ」


緊張で冷や汗が出る。


怖いなぁ とりあえず卵焼きから食べよう

色は大丈夫そうだが…

おそるおそる口へ運ぶ…


「おっ美味い!」


「そうだろう?

 私だって今と昔じゃ違うのさ」


「そうだよなお前だって流石に中身以外は

 成長するよな」


「そうだろ…おい中身って今いったか?」


卵焼きなかなか美味いな

このタコさんウインナーも食べよ…


「ぎゃっ!?」


「どうしたんですか?

 この美味しそうなタコさんウインナーを

 食べて?」


「くってみな…」


「えっ?でしたらお一つ…」


柊はタコさんウインナーをひょいと

一個つまみ上げて…


「きゃっ!?」


「どうしたんだ?2人とも

 そんなに美味しかったのか?

 にしてはなんか変だな?

 私も一つ食べて…」


「ぐっ!?」


「まっまず……いや美味しくない…」


「ですね…」


「…そうだな」


「お前どうやったらタコさんウインナーを

 こんな味に出来るんだよ!?」


「私だって知らん!」


「なんで焼いたり混ぜたりする卵焼きが

 美味くて、焼くだけのタコさんウインナーが

 美味しくないんだよ!」


「私だって何故かは本当に分からん!

 だがまあ食えないと言うほどじゃないしな

 頑張れ!」


「ちくしょうまじかよ…

 お前がせっかく作ってくれたから食うけどさ…」


2人とも黙々と食べ始める。


やはり美味しくないのもあるが

幼馴染が作ったものだ残すわけにはいかない


「そういやさ」


「ん?」


「クラスの清田に放課後

 呼び出されてるんだよね」


「ごっほ!ごほごほ… はっ!?

 清田ってあの清田?ギャルの?」


「そうその清田 あいつに借りがあってさ」


「そんなのあったのか!?」


「お前…お前のせいで借りができたんだぞ…

 すっかり忘れやがって…」


「あっ!? しまった…私はなんという事を…」


幼馴染は深刻そうな顔をしている。


「なんだよ?何かあるのか?」


「いや無い 私の話だ…なんで…あぁ」


幼馴染がよく分からない事をしているが

まあそれは置いておこう


「なんの話だろう…

 やっぱり今回の事件の話かな?」


「このタイミングだとそれが自然ですね」


「わっ私も行こうか?」


幼馴染が前のめりになって言ってくる。


「お前が来ても仕方がないだろ…」


「そっそうだが…お前が心配で(ぼそぼそ)」

 

「ん?」


「うーんまあ生きて帰ってこい!」


「なんだその応援は…

 殺されるわけでもあるまいし…」


お弁当を片付けて、教室へ戻る。

幼馴染はなんか悩んでる様子だ。


ていうか教室戻りたくねぇな


まああと5、6限だけだ、頑張ろう



 幼馴染視点

あいつが私のお弁当を全部食べてくれたのは

嬉しかった…嬉しかったが!!

清田に放課後呼び出されるって!?

まあ大丈夫だろうが…なんか不安だ…

嫌な予感がする…

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