第10話 断罪

「脳震盪を起こしてますね

 しばらくは頭痛や集中力の低下、

 イライラなどを起こすと思われますが

 数週間で治るでしょう

 また顎も異常はありません」


「分かりました」


病院に行き特に大きな合併症はなく、

安静と言われた。


学校一応行くか

一応幼馴染連絡しておこう





学校に着いたが4限から入るのはなんか

面倒なので

昼休みの時間になるまで待つことにした。


殴られたことどうしようかなぁ 

正直後々先生に色々聞かれるのは本当に

面倒だ。だがなぁ 流石に今回の件はなぁ

脳震盪起こしてたし…

やっぱり言ったほうがいいかなぁ…

幼馴染に一応聞くか…


そんな事を考えているとチャイムが鳴る。


クラスメイト達は俺が休んだこと

誰も気づいてなさそうだな…と考えながら

クラスに入って見ると…


えっ何? なんでみんな見るの?

えっ?


何故かみんなが俺を見てくる

困惑していると幼馴染がやってきて

クラス外に連れて行かれる。


「なぁ なんでみんなこっち見てたの?」


「あぁ 簡潔にいうぞ

 心して聞け

 お前を殴った先輩が停学処分になった」


「はっ?」


えっ?なんで? 早くないか?

昨日に今日だぞ?


「えっ? 俺まだ誰にも言ってないぞ?

 殴られた時に周りにみてた人でもいたのか?」


「…先輩が自分から先生に言ったそうだ

 いうならば自首だな」


「はっ!? あの不良先輩が自首??」


「あぁ朝先輩が職員室行って自首したのを

 他の生徒が見てたらしい

 で、今さっき処分の内容が噂で広まった」


「えぇなんで?」


「私にも分からん なんでいきなり今なのか

 それに私はあの先輩に

 罪悪感があるようにも思えん」


「えっ?まじでなんで?」


2人で頭を悩ましていると…


「それは私がしました」


声がした方向を見る。

そこにいたのは…


「柊……? どういう事だ?」


「はい 私がお兄ちゃんにする様言いました」


「ん?益々分からん どういう事だ?」


ん? 本当にどういうことだ?


「私が家に帰ってから本気でお兄ちゃんに

 キレました」


「えー…? 何でそれで自首するの?」


「お兄ちゃん私の事溺愛してるんですよね

 本当に鬱陶しいぐらいに…」


あぁまじかあの先輩シスコンだったのか…

あの図体で……

なんか知らんがショックだ

言うなれば昔家族で遊園地行った時に

マスコットキャラに抱きついたら首元から

おっさんの首が見えた時のような…

ん?あってるか?わかんね


「久しぶりにキレました

 中学校時代を思い出すぐらいにキレました

 まあ私が最後に

「お兄ちゃんなんて嫌い!」って言ったのが

一番効いてましたね」


えっ 怖…おとなしそうなのに…怖い…

ん? 今なんて?


「中学生時代??」


柊はハッとした顔をする。


「今の言葉は忘れてください…

 それで!これが全容です」


「あっあぁ それは分かったが…

 それで何で俺がジロジロ見られるんだ?

 殴られた相手が俺ってみんな知ってるのか?」


まあそれなら見られても仕方がないか


しかし

幼馴染は微妙そうな顔をして言う。


「知ってるも何もお前が誰かを守るために

 殴られたって事になってるぞ…」


「はっ!? なんでだよ! そこが一番

 意味分からんぞ! えっ ていうか

 守ろうとしたけど勘違いだった事は?

 そうなら笑い話で済む!」


「一応知っているらしいがそれでも守ろうと

 殴られた事の方がインパクトが強いらしい…」


「えっ最悪」


こういう目立ち方は俺は正直苦手だ

逆転劇みたいのはよく物語であるが

本当に起こるとはな…


「俺正直苦手なんだよなぁ

 クラスの陰キャが実は優しくて

 勇気があって強かった!みたいのは

 俺嫌なんだよな…

 こういう目立ち方は本当に嫌いだ

 別に俺優しくないし強くないし…」


「お前は優しいだろ」


「えっ?」


「えっ?」


目を見合わせる

お互いに何言ってんだこいつという顔をしている。


「まあそんな訳です!

 色々大変かもですが頑張ってください!」


まじかよ 最悪だ…

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