マフラーを編む彼女

坂中祐介

第1話

ここは、東京都心の食品メーカーである。


 2023年11月で、外は、紅葉になっている。


 40代後半になっている会社員のタケルは、顔は男前だが、独り身である。


 そして、ビルの屋上で、スマホのゲーム『ぷよぷよクエスト』をしているが、何だか、退屈をしていた。


 昼ご飯のお寿司を食べて、それで、ぼんやりしていた。


 その時、スマホから目を話して、屋上でぼっとしていたら、一人の30代の女性社員が、来た。


 ナツキが、いた。


 ナツキは、女優の西野七瀬に似ていて、背丈が高い。


 以前、ナツキに「今度、一緒にご飯を食べに行きませんか?」と言って振られた。それきりだった。


 そして、ナツキは、カバンから何かを取り出している。


 見たら、編み物をしている。


 今は、11月で紅葉になっている。ナツキは、屋上でマフラーを編んでいる。


 この時、タケルは、少し思った。


 元々、恋愛下手である。そして、口下手でもある。ただ、今の会社が、タケルを、置いているのは、たまさか、俳優の田中圭に顔が似ていて、営業に回る時、愛想が良かったから、と思う。


 その時、タケルは、魔が指した。


「そうだ、これから、編み物をしたら、ナツキさんと話ができるのではないか」と考えた。


 だが、どう編み物を始めたら良いのか、分からない。


 そして、タケルは、お金が少しあったら、「そうだ、編み物教室へ行こう」と考えた。


 タケルは、JR品川駅から、横須賀線総武線快速で、市川駅まで帰った。タケルは、千葉県市川市に、一人で暮らしている。


 そして、タケルは、会社の仕事が休みの日に、JR総武線市川駅の地元市川市角川町のビルへ向かった。


 そのまま、編み物教室の授業「初めての方のやさしい編み物」を選択した。


 その時だった。


 タケルは、部屋には、中高年の女性が多いと気が付いた。


 ただ、おじいさんもたまにいる。


 周りの中高年の女性は、そのおじいさんを可愛がっていた。


「あ、先生が、来た」


 と、生徒のみんなは、言った。


 タケルは、どんな人が来るのかと思った。


 その時だった。


 何と、ナツキだった。


 同じ会社のナツキだった。


 西野七瀬に似ているナツキだった。


「ナツキさんは、ダブルワークをしているのか」と思った。


 勿論、ナツキだって、じっとタケルを観ていた。


 その日は、授業が、終わって、タケルとナツキは、食事へ行ったらしい。そして、その後、タケルとナツキは、ずっとマフラーを二人で編んでいたようだ。しばらくして、ナツキは、そこの講師をやめて、タケルと付き合ったらしい。<完>


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マフラーを編む彼女 坂中祐介 @simichi0505

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画