作品2:『喉につかえる紫』 坂本雅・著

抽選日時:4月21日 夜?時 (時間を確認していませんでした)

応募総数:42作品

有効応募数:25作品


喉につかえる紫

坂本雅

https://kakuyomu.jp/works/16818093075764870370


全1話 完結作品

9763文字

ジャンル:恋愛


 この作品を一言で表すなら、ほろ苦い片思いの物語です。


 全編、主人公の女性・告森蛍の目線、一人称視点で描かれています。厳しい家庭に生まれ育ち、恋愛経験の乏しかった少女。高校生になって反抗期を迎え、今までの境遇や人生に疑問を持つようになります。学校が終わったら真っ直ぐに帰って来るように、という親の言いつけを破り、小雨の降る中、歓楽街へと迷い込みます。濡れネズミになって、歩く気力もなく座り込んでいる時に出会った見ず知らずの男性は、ゲイバーのオーナー・ヴァイオレットです。

 恋愛ストーリーで、最初に登場する男性……男性?w 当然のように、この人物が本作の恋愛相手……ではありませんw ずぶ濡れの女性に傘を差し掛け、優しく接するヒーロー役のような立ち位置ではあるのですが、恋愛に発展するではなく、主人公のサポート役に徹します。良き話相手であり、相談相手であり、人生の先輩ですが、お互いに異性として意識する事はありません。では、この物語の恋愛相手は誰なのでしょうか? その辺りはネタバレを控えて、本編をご覧下さい。非常に読み易く、丁寧な描写で綴られた物語です。



▲▽▲ 注意 ▼△▲

 以下は、当初描く予定のなかった「気になった点」について触れます。また、少々のネタバレも含みます。作者本人、及び他の方も、読みたくない場合は飛ばして下さい。

▲▽▲ 注意 ▼△▲


 この作品は恋愛と言いつつ、恋愛相手が物語上ほぼ登場せず、対象への想いがあまり伝わって来ません。結末部分も同じで、結局何だったのだろう? という終わり方になってしまっています。文章や表現は良いのに、全体を見ると話の核心がぼやけて何の話だか分からず、とても勿体なく感じます。これは、物語を紡ぐ上でのストーリー構成、起承転結に問題があるのではないかと思います。物語の承・結の部分が弱く、結末へと至る道筋で迷ってしまっている印象です。「どういう物語なのか?」「どんな結末にするのか?」を最初に考え、結末までの道筋を順序立てて構築してから物語を紡いでいく、というストーリー構成がしっかりすれば、より良い物語が描けるのではないでしょうか。

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