11.寝かせないからね

 ――眠い。

 眠い――。


 一言で言ってとにかく眠い。


 千恵ちゃんに『これ、面白いね』って言われたくて、ここのところ寝ないで小説を書いている。


「――鶴ってさ、本当にマゾだよね」

「えっ! なんで?」

「……だって、そんなになってまで、あたしの為に小説を書いてるじゃん。そんなの変態じゃなきゃ無理だよ」


 若干、引いてます。

 そんな素振りだ。


 ――でも、自分が書いた小説を『面白い』って言って貰えるのは変な中毒性があるんだ。仕方ないじゃないか。


「……まだまだ書きたい。そんな顔してるよ」


 そして、千恵ちゃんは蠱惑的な笑顔でこう言った。


 〝今日も寝かせないからね〟

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