1186 さてアレンジを開始しますかね……って、えぇ……

 ディックさんのあまりにも最低な作曲の仕方に呆れ返る眞子。

それでも曲自体は、しっかりとした内容だったので、早速アレンジを開始しようとしたのだが……


***


 ……まぁまぁ、そんな訳でございまして。

ディックさんは、私との話が終わると、即座にステージに逆戻りして行き。


私自身は、アレンジと言うお手伝いをする為に。

敢えて、使い慣れてる『79 Sting-rayちゃん』を使わずに、ソフトケースから『スタファちゃん』の方を取り出す。


理由は言うまでもなく、エリアスさんと同系統のベースを使っても仕方が無いからだ。

そんな単純な理由から、今回は『スタファちゃん』な訳ですね。


まぁ本当の事を言えばは、もう1つちゃんとした理由も有るんですけどね。


***


 ……ってな、お気楽な感じで。

私も厚かましく東京ドームのステージに上がらせて貰ったんですけど。


うわ~~~っ、これは絶景だねぇ。


下からステージを見上げるのと、ステージの上から観客席を見るのとでは、当然の事なんだけど雲泥の差があるね。

此処にお客さんが満員入ると思っただけで、背中が『ゾクゾク』しちゃいますよ。


こりゃあ、本当に凄いや。


……なんて、ちょっと感心していたら。



「ぷぅ」


何故か、横で奈緒ネェが膨らんでいた。


なんで?



「どっ、どうしたんですか奈緒ネェ?なにをそんなに膨れてるんですか?」

「別にぃ~~~。なにも膨れてないけどぉ~~~」

「ちょっと奈緒ネェ、それ、完全に怒ってるじゃないですか。どうしちゃったんですか?」

「ぷぅ」

「いや『ぷぅ』じゃ解んないですよ」


もぉ変な所だけ、子供っぽいんだから。



「ぷぅ……だって眞子がさぁ。デクとの話に参加させてくれなかったんだもん」


そこですか?



「あぁ、いや、でも、あれはですね。ディックさんたっての、お願いだったから……私に決定権は有りませんでしたよ」

「でも、呼んでくれても良いじゃない。ケチ」

「ケチって言われてもぉ……あぁ、じゃあですね。今度からは、なにが有っても奈緒ネェだけは、絶対に呼びますから、許して下さい」

「ホント?仲間外れにしない?」

「しません、しません。……って言うか、元からしてませんよ」

「そっか。じゃあ良いや。……んじゃあ、始めよっか」


ほっ……なんとか凌いだ。


しかし、まぁなんですね。

奈緒ネェも、意外と、そう言うの嫌がるんですね。


知らなかったです。



「そこの2人、ちょっと待とうか。……なに?なんで私はハミ子にされる訳?奈緒を呼ぶんだったら、私も呼ぶのが筋なんじゃないの?」


ゲッ……凌げてないし。



「全くだよ。そりゃあないんじゃないの?僕だって眞子とのミーティングに参加したいんだけど」


この人もですか……



「そうだな。その権利は、我々全員にも有ると思うが。どうなんだ眞子?」


うわっ!!このバンド全員面倒臭ッ!!


『構ってチャン』の群れですか!!



「いや、あの、それを私に言われても。……それに私、元々メンバーに入ってないんですけど……」

「そう言う問題じゃなくて。なんで、あの時、呼んでくれなかったのって聞いてるの?鞍馬が呼んでさえくれれば、デクがなんと言おうと、直ぐにでも行けたのにさぁ」

「あぁ、いや、だから、私には決定権が無くてですね。そう言う話はディックさんに言って下さいよぉ」


納得してたんじゃないんですか?


それを今更『呼んでくれれば良いのに』って言われてもねぇ。


……覆水盆に帰らずですよ。



「そうだな。確かに、その意見も一理有るな」


その意見しか無いですよ。


寧ろ、それ以外に、どんな意見が有るのか教えて欲しいもんですよ。



「ですよね」

「じゃあ、あれだね。『今後のミーティングは抜け駆け無し』でって事で。それで良いかいデク?」

「嫌ッぷぅ。そんなのお断りに決まってんじゃん」

「「「「「飯綱か!!」」」」」


意外と、飯綱ちゃんがバンド内で浸透してますね。


まぁ、あの子は、普通より、かなりインパクトありますからね。

嫌でも記憶に残っちゃいますよね。



「皆ちゃん、なに言っちゃってる訳よ?俺ちゃんの曲は、俺ちゃんのものだろ。だから、俺ちゃんに最優先権が有りなんじゃねぇの?それでも姫ちゃんを独占したきゃ、文句を言わずに、自作の曲を書けば良いじゃんかよ。俺ちゃんは、そうなったら口出しはしないぜ」


まぁ言ってる事は、なにも間違ってないですね。

曲を作ったものにミーティングの決定権があるのであれば、四の五の言わずに曲を作れば良いだけ。


それで、確実に決定権を得れる訳ですからね。


でも、この意見には1つ大きな勘違いがありましてね。

私は……奈緒グリのメンバーじゃないので、通常時は独占出来ません。


序に言えば、私は、崇秀さん専用の生き物なので、本当に私を独占出来るのはマスターの崇秀さんだけなんですよ。


崇秀さん以外は独占禁止法です。



「あぁッそ。んじゃあ、僕は、今さっき、曲を思い付いたから、今から、それを発表するよ」

「あぁ、それなら私も、以前に製作していた曲のストックが何曲もある。出し惜しみ無しに出させて貰おうか」

「それなら、私だって沢山ありますよ。没にした曲も合わせれば、かなりの数になりますけど」


子供か!!


……いや、どう見ても、負けず嫌いな子供の群れですね。


言ってる事が、丸っきり小学生レベルじゃないですか!!


本当に、この人達って面倒臭い人達だなぁ。



もぉ帰ろうかなぁ。



「あのさぁ……私、弾き専門で、曲書けないんだけど」


そうなんだ。



「またまた、なに言っちゃってる訳?この間、ピコポコピコポコ言う、日本のアイドルが歌いそうな可愛らしい曲を作ってたじゃんよ。十分作れてるじゃん」

「いや、あれは……」


あらら、顔が真っ赤っかに成っちゃいましたね。


けど、エリアスさんって、実はソッチ系が志望の人だったんですね。


普段のド派手な演奏をかましてる姿からは、想像出来ませんでしたよ。


驚きですよ。


でも……エリアスさんだったら、あぁ言う可愛らしい衣装が似合いそうでは有りますよね。


良かったら今度、3B-GULDとコラボってみたらどうですか?


意外と面白いかも知れませんよ。



「へぇ~~~、エリアスって、そう言う感じなんだ。ふ~~~ん。知らなかったなぁ」


出たよ悪乗り女王。


隙を見せた者や、獲物を見付けたら100%の確率で、絶対にからかう人。


その名は奈緒ネェ。



「いやいや、そう言うんじゃなくてさ。偶々だよ偶々。偶々、適当に曲を弾いてたら、そこをデクに見られただけだから。あぁ言う曲を弾いてたのには他意はないって、他意は」

「だが、エリアス。それを曲作りしてるっと言うのではないのか?」

「うぐっ」

「そぉそぉ、それに、折角作った曲を、恥ずかしがって人に聞かせられない様じゃ意味ないよ。……っで、どんな曲だったの?聞かせてよ」

「……いっ、嫌ッぷぅ」

「うん。飯綱みたいだね。……っで、どんな曲?」

「うぐっ」


うわ~~~……酷いボケ潰しの仕方だ。


あれは、幾らなんでも可哀想だよ。


……って言うか。

エリアスさんは意地悪される様な事を、元から何もしてないんだけどね。



「あの~~~、お話が続く様でしたら、帰って良いですか?アレンジ忘れちゃいそうなんですけど」

「鞍馬ぁ~~~」


あぁ……抱き付かれた。



「あぁ、よしよし。可哀想ですね」

「こら、眞子。また私に反抗して、面白いネタの人を庇ったなぁ」

「いやいやいやいや、冷静に成りましょうよ、奈緒ネェ。今すべき事は、エリアスさんを、からかう事じゃありませんよ。明日のライブを成功させる為にも、曲の完成をさせるのが最優先じゃないんですか?だから、もぉ辞めてあげて下さい」

「鞍馬ぁ~~~」

「あぁ、よしよし。大丈夫ですよ」


うわっ!!本当に可愛いな、この人。


持って帰って、家に飾ろうかなぁ。



「そうだぞ、奈緒。曲を完成させなきゃいけない時に、遊んでる時間なんて無いぞ。眞子の言う通り、先にアレンジを済ませるべきだ」


裏切ったぁ!!


骸さんのSHOPで私を裏切った時同様、ホランドさんが、アッサリと奈緒ネェを裏切ったよ!!


おのれ【奈緒グリ】に潜む、呂布奉先めぇ~~!!



「確かに言えたね。子供じゃないんだからさぁ。やる事やってから、遊ばなきゃね」

「全くだぜ。奈緒ちゃんの我儘にも困ったもんだな。俺ちゃん、姫ちゃんのアレンジを早く聞きたくて、チ○コがビンビンになって待ってるのによぉ」


……うん。


けど、もぉそろそろヤバそうだから、此処で、恒例の忠告を1回だけして置きますからね。


『……それ以上は、ヤメた方が良いよ』


これ以上下手な事を言って、鬼が起きても知らないよ。



「う~ぬ~~れ~~~等。よぉも、そんな言葉ほざきよんのぉ……」

「「「「「えっ?」」」」」


あぁヤバイ!!

絶対に起しちゃいけない鬼が、こんな短時間で目を覚ましかけてるよぉ!!


これは流石に、マズイ!!


……っと言っても。

元を正せば、エリアスさんをからかった、奈緒ネェが悪いんだけどね。


俗に言う、逆ギレって奴なんだよね。


でも、本格的に鬼が起きちゃマズイんで、此処は私めが『鬼鎮めの儀式』を執り行いますね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


アッサリとアレンジが開始されると思いきや。

先程決まったルールに不満な奈緒さんが、ブゥブゥと文句を言ってきましたね(笑)


そんで、奈緒グリのメンバーも、それに同調してルールの改正をディックさんに求めたまでは良かったのですが。

奈緒さんが余計な所(エリアスさんがアイドル志望だった事)に反応してからかい始めたのが間違いの始まり。


そこを逆手に取られて、逆ギレしてしまいましたね(笑)


さぁさぁ眞子は、この困った鬼をどうやって鎮めるのか?


「いい加減、サッサとアレンジを開始しろよ!!」っと読者さんに言われそうな中。

次回も懲りずに、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る