1173 リハに向かう前の少しの時間

 奈緒グリのリハへの誘いを受けた眞子。

そして崇秀に東京ドームまで送って貰ったのだが……矢張り崇秀がバイクを飛ばしまくったので、心の中でブゥブゥと文句を言う眞子(笑)


***


 ……東京ドーム到着。


どうやら、此処が何処だか解ってるみたいだから、まだ私は、この世に存在している様だ。


……けど、その道中は、またしても『生きた心地がしなかった』のは言うでも無い。


多くは語りませんが……

何故か、地面に着いている私の足が、ピッタリと地面に踏みしめている筈なのに『プルプル』と足の震えが止まらないのが、その良い証拠だと思います。


因みにこれって……学術的には、なんていう現象なんですか?


それにしても、あれだよね。

『私って、こんなに根性無かったかな?』って思うぐらい、足がプルプル震えてますな。


なんででしょうかね?


……ってかねぇ!!

毎度毎度アンタは、私を殺す気かぁ!!

なんで背中に楽器を背負ってて普段より危ない状態なのに、さっきと同じスピードのままで公道を走るのよ!!


やる事なす事、さっきと同じままって、どういう事よ!!


死んでまうわ!!



……って、言ってもね♪

急いでくれてるんだよね♪


だからOKOK♪



「あぁ~~~っ、スッキリした!!やっぱ、ストレス解消は、これに限るな」


……ソッチかよ!!


まぁ良いんだけどね。

滅茶苦茶怖いって言っても、もぉ結構、慣れっこに成っちゃった面も多いし。


でも、こんな事だけは出来れば慣れたくないですよぉ。


しくしく。


そして足はプルプル。



「ははっ……」

「んあ?どうしたんだ?なに引き攣ってんだ、オマエ?」

「ハハっ……引キ攣ッテナンカナイヨ。別ニ怖クナンカナカッタモン(棒読み)」

「だよな。オマエなら大丈夫だと思ってるからこそ、あの運転が出来るんだもんな。まぁ、それ以前に、俺の単車の後ろに乗っても騒がないのって、オマエぐらいしかいねぇもんなぁ。マジ、楽しかったぞ。ストレス解消に付き合ってくれて、ありがとうな、眞子」


あぁ……


うんうん♪

そうだよね、そうだよね♪

翌々考えると、凄く楽しかったよね♪


ビュ~~~ンって前に居た筈の車が、アッと言う間に後ろの方に消えて行くのって楽しいよね!!


解る解る。



「いえいえ。私の方こそ、急いで東京ドームまで連れて来てくれて、ありがとうね。凄く助かったよ♪」

「そっか。助かったか。……けど、そう言ってくれるのって、ほんとオマエだけなんだよな。誰かを、何処かに単車で送ってもよぉ。いっつも、みんな、文句ばっかり言いやがるんだよな。だから、ヤッパ、オマエが一番最高だよ」


もぉ……また、そんな普段は見せない様な無邪気な笑顔で笑うぅ~~~。

そんな可愛い奴には、ヘルメット被ったままで、崇秀さんのヘルメットに、5回『コンコンコンコンコン』だからね。


これって『あ・い・し・て・る』のサインだよ。


知ってる?DREAMS COME TRUEの『未来予想図』なんだよ。


でも……ヘルメットで『あ・い・し・て・る』のサインを送るのって『Ⅰ』だったかな『Ⅱ』だったかな?


まぁ、どちらでも良いっか。



「んあ?なんだそりゃあ?」

「うん?きっとね。何年経っても、こうして一緒に居たいって思ってる、私からの合図だよ」

「んあ?……あぁ、なにかと思ったら、ドリカムかよ」

「そうだねぇ。ドリカムだねぇ」


あっ、気付いてくれましたか。


流石、音楽業界に身を置くだけの事はあって、その辺の事に関しては鋭いですね。


他の事でも大概鋭いけど。



「そっか、そっか。それもまた、ありがとな」

「あぁ、いやいや、そんなそんな。私なんかで、ホント、申し訳無いですよ」

「ぷっ!!なんだそりゃあ?」


あっ……また笑ってくれた。


私ね。

崇秀さんの、この笑顔大好きなんだよね♪


なんだか、崇秀さんの笑顔を見てるだけで癒されるぅ~~~♪



「……まぁ、兎に角だ。ドームに着いたから、俺は店の方に戻るけど。向井さんには出来るだけ迷惑を掛けない様に頑張って来いよ」

「あぁ、うん♪そうだね。頑張るよ!!滅茶苦茶頑張ってくるよ!!……その代わりって言っちゃあなんだけど。ヘルメット脱いで、1回だけ私を『ぎゅ』ってして。一回だけで良いから」

「なんだよ、それ」

「ダメ……かな?」

「はいはい、あいよ。この我儘女」

「えへへ……我儘女で、ごめんね」


そう言いながら、崇秀さんはヘルメットを脱いだ後、さっと自分の髪をかき上げる。

そのたった一回の髪をかき上げる仕草だけで、見事なまでに髪がセットされて整ってる。


うん、流石ですね。


そんでその後、私のヘルメットも脱がしてくれ。

これまた、一回で髪を綺麗に整えてくれてから、私の髪の中を首筋から通り越してくれた腕で、首元から……『ぎゅ』ってしてくれた。


あぁ……ダメだ、これ。

あの崇秀さん特有の柑橘系の良い香りが間近で感じられるし、なんか凄い安心感が漂ってくる。


このまま、死んじゃいそぉ。


……ってか、人目も憚らず、ズッと、このままで居たいですぅ~~~♪



「こんで良いか?」


……もぉちょっと。


嘘です。

十分『ぎゅ』っとして頂きましたので、これ以上の満足はございません。


もぉ、贅沢は申しません。



「うん♪ありがとう。これで、もぉ滅茶苦茶頑張れるよ。リハだろうが、なんだろうが【奈緒グリ】全員を喰ってやるもんね♪」

「おっ!!なんだ、なんだ。それ、良いじゃんかよ。リハとは言え、ガッツリ奈緒グリの連中を全部喰っちまって、シッカリ自分の糧にしちまえよ」


来た来た!!

こう言う明白な目標を崇秀さんから出して貰ったら、テンションがガンガンに上がるんだよね。


けど、知らないぞぉ。

私は単純な女だから、そんな事を崇秀さんに頼まれたら、なにをしでかすか解らないよ(笑)



「うん!!……あっ、あの、それってさぁ。もし上手く行ったら、私、崇秀さんに自慢して貰えるかな?」

「当然だろ。今全米で大人気の【奈緒グリ】を1人で喰っちまえば、それは大したもんだ。だから、残さず、全部シッカリ喰っちまえな」

「うんうん!!だったら超食べちゃうよ。もぉモリモリ食べちゃうよ」


私って、本当に単細胞の単純人間だね。

またこうやって崇秀さんに乗せられちゃったよ。


でも、良いんですよ。

崇秀さんに頼まれた事を実行するだけで、後々、そんな私の事を自慢して貰えるんだもん♪



「OKだ。じゃあ、結果を期待してっぞ」

「あい」

「おぅ、良い返事だ。……さてさて、これ以上、此処で油売って、向井さんを待たせるのも、なんだし。オマエも、そろそろ向井さんの所へ行って来いよ。俺も、一旦、店に戻るからよ」


もぉ、行っちゃうんですか?


もぉ、ちょっとだけ此処で一緒に居てみたりしませんか?


……なんてね。

忙しい人が、こうやって送ってくれてるのに、これ以上わがままを言っちゃいけませんね。



「あぁ、はい。じゃあ、私も行って来るね」

「おぅ。気を付けてな」

「うん♪」

「……っと、そうだ、オマエ」

「うん?」

「向井さんとのリハが終わったら、俺に連絡しろよ。それまでには仕事を片付けといて迎えに来てやっからよ」


……神様ですね。


私の為だったら、本当に自分が仕事で疲れてるのなんて、お構い無しなんだね。


私って……ドンだけ大切にして貰ってるのよ。


だからね、もぉこの有り難い提案を断る気なんて更々ないんだぁ。

どうせ此処で下手に断わろうとしても、ナンダカンダと崇秀さんに言い包められて迎えに来てもらうのが、私のオチだろうしね。


だったら素直に『迎えに来てくれる事』を、お願いする方が、お互いにとっては一番気持ちが良い筈。


だから私は……



「うん♪じゃあ、申し訳ないけど【奈緒グリ】のリハが終わったら連絡させて貰うね。崇秀さんが来てくれるまでズッと待ってる」

「そっか。今日は、物分りの良い子だな。……じゃあな、眞子。また後でな」

「うん♪崇秀さんも、帰り道、気を付けてね。絶対に無理しちゃダメだよ」

「あいよ」


そう言いながら、崇秀さんはバイクのエンジンに火を入れ。

その場でジャック・ナイフ・ターンを綺麗にかまし、そのまま公道を走り去って行く。


……っと思ったんだけど。

バイクが、私の視界に入ってる内に、テールランプを5回点滅させてくれた。


これって……さっきのドリカム返し?


……本当に漫画の主人公みたいな人だね。


超格好良いんですけど!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


チョロイ……

事、崇秀との関係の話になると、眞子は本当にチョロイですね(笑)

いつも、崇秀の思惑通りに、掌の上でコロコロコロコロ転がされてます。


まぁでも、本人が、それを喜んでるみたいですし。

なにより、これから奈緒グリのリハにの手伝いをしなきゃいけないのですから、これ位テンションが上がってる方が良い結果が出せるのかもしれませんがね。


さてさて、そんな風にご機嫌で絶好調な状態の眞子なのですが。

次回は、東京ドーム内で待つ奈緒さんに会うまでに、ちょっとしたハプニングが起こりますので、そこを書いて行きたいと思います。


かなりレアなキャラ(ただ単に忘れられてるだけののキャラ)も出てきますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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