1172 トリコロールのバイクに跨った王子様

 崇秀の手伝いが終了した頃、眞子の元の掛かって来た奈緒さんからの東京ドームでのリハへのお誘い。

そして崇秀との話し合いの結果、奈緒さんの誘いを受ける事にした眞子なのだが。

出て行く前に、崇秀に挨拶をしようとしたら、その姿がなく……悲しみに明け暮れる眞子であった。


***


 なんて思いながら、トホホな状態のままで表に出たら……眩しいばかりのバイクのヘッドライトが、私を照らす。


あっ、これって、まさか……



「オイ、眞子。ドームまで送ってやるからよ。早く、後ろ乗れ」


マスターだぁ♪

あぁ……じゃなくて、崇秀さん!!

店に居ないと思ったら、こんな所で待っててくれたんですね。


……もぉ♪


……けどなぁ。

今日1日で、あれだけの大人数の髪をカットした後なんだから、今現在、相当、疲れてるだろうしなぁ。


嬉しい反面、そんな疲れてる人にドームまで送って貰っても良いものなのかなぁ?


これは悩みどころだなぁ。



「あぁ、いいよ、いいよ。崇秀さん、疲れてるんだしさぁ。ドームまで位だったら、私1人でも電車で行けるから、大丈夫だよ」

「アホタレ。女の夜道は危ねぇから送ってやるって言ってんだよ。ゴチャゴチャ言ってねぇで、サッサと乗れ」

「あぁ、でもさぁ」

「あぁもぉ、イチイチ面倒臭ぇ女だな、オマエわ。乗れ。良いから乗れ。俺を無駄に心配させんな」


あぁ……はい。


そこまで言って貰えるなら、じゃあ大人しく乗ります。

いや寧ろ、乗させて下さい。


そのトリコロールの馬に私を乗せて、どこへ也とも連れ去って下さいませ、マスター。


だって……こんなに疲れてても、こうやって私の身を案じてくれてるんだよ。

そんな優しい崇秀さんを、私なんかの為に心配なんかさせちゃあイケナイもんね。


だから乗せて下さい。



……でも、余韻中。



「ほわ~~~」

「オイ、カラパカ。なにをそんな所で呆けてやがるんだ、オマエわ?」

「えっ?……あぁ、うぅん♪なんでもない。なんでもないもん♪」

「なんだかなぁ。オマエだけは、なにを浮かれてやがんだよ?」

「えへへ……ごめん」


そんな親切な崇秀さんには……不意打ちで『チュ』の刑ですよ。


そんで、もう一回『チュ』です。



「なんだよ?どうしたんだよ急に?」

「あぁ、いや、もぉなんかね。崇秀さんの優しさに我慢出来なくなっちゃったんだよね。……もぉ大好き」

「そっか。そう言う訳な。……んじゃあまぁ。お礼を先渡しして貰っちまったんだから、さっさと東京ドームまで行くか」

「うん♪……いつも気遣ってくれて、ありがとう」


さり気ない優しさが、格好良いですね。

なにをしても絵に成りますね。

崇秀さんは……いつも私の我儘を聞いてくれたり、心配してくれたりしてくれる、私だけの本当の神様ですね。


えへへ……


もぉ……そんな優しい神様には、もう一回『チュ』ですよ。



「アホ。いつまでも馬鹿やってないで、早ぉ乗れ」

「あっ、は~~い♪」


私は、いつもの様にNSRの後部に座りタンデム。


……っで、今度は、後ろから『ぎゅ』ですよ。

わざとオッパイ、強く押し当てて『ぎゅ』ですよ。


そんでこの後は、メットを被って、神様とバイクでランデブー!!


幸せすぎるぅ~~~~♪


***


 いや……神は死んだ。

そして、そこには、神から地獄に身を落とした堕天使が1人居るだけだ。


これが噂の『魔王の創世記』と言うものなのでしょうか?


……ってかね!!今回ばかりは、本当に死ぬかと思ったよ!!

アンタねぇ、公道で、なんちゅう無茶な運転をするのかね!!

減速スピードを極限まで切り詰めて、ほぼ、そのままのスピードで、コーナーに思いっ切り侵入するのヤメテよね。


毎回毎回、地面スレスレだし!!


それと渋滞してる所を、車を縫いながら、結構なスピードで走るのもヤメテよね。

何回、車のバックミラーが当たりそうに成った事か!!


後ねぇ。

フルフェイスだからって言っても、直線で、息苦しくなる様なスピードを出すのもヤメテよね。


いい加減、酸素欠乏症で死んじゃうわ!!


……あのねぇ、それと最後に崇秀さん。

最近の私は、何故か凄いビビリに成っちゃったんだから、その凶暴な運転は、本当に怖くてしょうがないんだよ。


だから、ちょっとは手加減して走ってよね。



あぁ、それと……またアンタ、単車弄ったでしょ。


まぁ確かにね。

今回は、いつもみたいに楽器を背中に背負ってなかったから、多少の加速力が上がったのも理屈上では解らなくも無いけどね。

明らかに、前乗った時よりも馬力と、加速力が数段上がってたよ。


一体、なんなのよ、この単車わ!!


廃車にしたろか!!


……なんて、ズラズラと文句を言っておりますが。

結局は、奈緒ネェとの約束が有るから、急いでくれたんだよね。


眞子も、そこはちゃんと解ってるんだよ♪


そんな無意味に、意地悪する様な人じゃないもんね。


ナンダカンダ言っても……優しいもんね。


……っと言う様な、極論的な結論に至ったので。

上星川の実家に到着した瞬間、素早くバイクから降り。

その勢いで家の中まで入って行き。

ハードケースの中に大切に保管している私の2つの大切な相棒『79 Sting-rayちゃん』『スタファちゃん』を、これまた素早く、ソフトケースに入れ替え。


時間の経過を知るのが怖いので、一切、家にある時計を見ずに、外に戻ろうとした。


……んだけど。

飯綱ちゃん、今日は、家に帰ってないみたいだね。

この様子じゃあ、また真上さんの所に、お泊りしてるのかなぁ?


ちょっと真琴ちゃんに伝言を頼もうかと思ったんだけど……まぁ、居ないなら居ないで、しょうがないかぁ。


そんな風に思いながら、外で待ってくれてる崇秀さんの元に戻って行く。



……っで、また、地獄の公道暴走がスタートする。


だから、もぉヤメテって!!


マジで怖いって!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


なんだかんだ言いながらでも、いつも通り、崇秀に言いくるめられて道教ドームまで送って貰う眞子。

まぁ眞子自身、申し訳なさがありながらも、嬉しさを優先してしまう様な単純な子なので、これはもぉしょうがないですね。


嬉しさのあまり『自然』と人目がある道端であっても2回もキスする位の崇秀大好きっ子ですし(笑)


ですが、だからと言って、崇秀の危険運転が無くなる訳ではなく。

矢張り、地獄を見たようですが……


さてさて、そんな感じで地元から、ベースを取りに上星川を経由して、東京ドームに向かって行った訳なのですが。

到着後、眞子は、またそんな崇秀の運転にブゥブゥ文句を言うのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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