花束を君に NL

荒屋 猫音

第1話

【花束を君に】NL


女1 男2


千歳(ちとせ) 26歳 年上ばかりと付き合っては散々な目にあいがちな可哀想な女


透(とおる)26歳 千歳の友達、距離感が近い。男


和也(かずや) 35歳 至ってシンプルクズ


花束を君にBLver.をNLに改変したものです

BL版をそのままペーストして名前やセリフを変えたため、変更漏れがある可能性があります。


一人称、語尾の変更可

読みづらいと感じたセリフがあれば

世界観を壊さない程度でしたら改変していただいて構いません



文才乏しいもので

場面転換コロコロ入ります


時系列、情景など指定が書かれていません

解釈はお好きなように……



和也と透、それぞれの絡みが交互に入ります

和也の時は回想

透の時は現在進行

と捉えてください。


最後にエンカします


※程よく致してるシーンがあります





______



千歳「…和也さん……今なんて……」


和也「……結婚、するんだ。だから、千歳とはもう一緒にいられない」


千歳「……嘘ですよね?だって、和也さんは私と幸せになるって言ってくれたのに…」


和也「…嘘だったんだ」


千歳「……え?」


和也「千歳が、可愛くて、そばに居たいと思って……だけど、本当は、可哀想なお前に同情してただけなんだ……」


千歳「……」


和也「だから、さよならだ」


千歳「か、ず……っ」



千歳「M/雨の中、傘もささずに別れを告げた彼」


千歳「M/3年の交際期間、ただ、幸せだけをくれた彼は、残酷な一言を残して、どこかに行ってしまった…」



_____


透「……何その顔」


千歳「なんでもない」


透「いやいや、顔真っ赤だし、目ェ腫れてるし、なんなら浮腫んでブッサイクだし」


千歳「ブサイクは余計」


透「……あの人と、別れたの??」


千歳「…」


透「年上ばっかり狙うから、そーゆー事になるんだぞ?」


千歳「うっさい…」


透「手頃なとこにしとけって、何度も言ったよな」


千歳「…」


透也「いつか痛い目見るって、分かってただろ?」


千歳「…!!」


千歳「…っ、それでも、和也さんは……」


透「その和也さん、なんて言って別れを切り出したんだよ」


千歳「……!」


透「……その反応だと、大方結婚でもするって言ってきたな?」


透「分かってたことだろ?」


千歳「アンタに私の気持ちなんか、わからないでしょ………」


透「わかってたまるか」


千歳「……」


透「……」


透「なぁ、千歳」


千歳「…何」


透「お前が傷ついたのは分かる。」


透「あの人にどれだけ大切にされてたのかも、その顔見ればよくわかる。どれだけ好きだったのかもわかる。」


透「でも、これ以上傷つくお前を見るのは嫌だ」


千歳「……何言ってんの?」


透「忘れろとは言わない。でも、忘れさせてみせる。」


千歳「とーる、待った……待って……!」


透「俺と、付き合ってよ」





_____




千歳「あの、」


和也「なに?」


千歳「なんで指輪なんですか?」


和也「大切だから、どこにも行って欲しくないから。」


千歳「……」


和也「嫌だった?」


千歳「……!?そんなことない!」


和也「…なら、そんな顔しないでよ」


千歳「……その顔は、ずるいです」


和也「……ふっ、可愛いね」


千歳「またそうやってからかう!!!」


和也「からかってないよ、可愛いからいじめたくなるんだよ」


千歳「……それは、からかってるのとは違うの…?」


和也「……どうかな」


(軽くキス)


千歳「…!」


和也「行こうか」



______



透「千歳?」


千歳「……なに」


透「……話、聞いてた?」


千歳「……ごめん、考え事してた……」


透「……あの人のこと?」


千歳「……だって!」


千歳「……なんで、指輪なの…」


透「なんで、っていうか、単にアクセサリーとして欲しくてさ。」


透「どーせなら一緒のを買おうかと、思っただけなんだけど…」


千歳「…」


透「……あぁ、その指輪、あの人から貰ったんだっけ」


千歳「……」


透「悪い」


千歳「…謝んな」


透「…なんか食いに行くか」

_


透「千歳ってさ、いつも年上の人ばっかりと付き合うよな」


千歳「…別にいいでしょ」


透「良いけど、なんで自分が傷つくようなことばっかりするの」


千歳「…」


透「俺が知ってる限り、3回目ぐらいだよな」


透「今回は割と長かったけど」


千歳「…年下とか同い年は、子供すぎると言うか、弟みたいに見えちゃって…」


千歳「だったら、自分が傷付いてでも、居心地のいい年上の方がいい」


透「…馬鹿なヤツ」


千歳「…馬鹿で結構」



______



和也「千歳ちゃん、好きな食べ物は?」


千歳「えっと…だいたい何でも食べるんで、特に好きな物って聞かれると悩みます」


和也「そっか、なら俺のオススメでいいかな?イタリアンだけど」


千歳「あ、大丈夫です!」


和也「…君は時々、子犬のような反応をするね」


千歳「…あぁ、よく言われます」


和也「なら、どこにも行かないように、首輪とリードが必要かな?」


千歳「それは完全に犬扱いですよね!?」


和也「はははっ、冗談だよ!」


____


千歳「M/些細な一言。些細な仕草。些細な反応。」


千歳「M/今までの人とは違った温かさ」


千歳「M/きっとこの人も、いつかは離れてしまうだろう。」


千歳「M/それでも、今この時は、幸せな時間だけをくれる。」


千歳「M/それだけで、十分だった…」


____



透「千歳?」


千歳「……」


透「…お前、何泣いてんの……」


千歳「え?」


透也「泣いてる。涙…」


千歳「(驚いて透也の涙を拭おうとする手を払う)……大丈夫だから!!」


千歳「……あっ…」


(払い除けた手が勢い余って透也の顔に当たり、かけていたメガネが飛ぶ)


千歳「ごめん、メガネ……顔も…」


透「…顔?」


千歳「ほっぺ、引っ掻いたみたいで…赤くなってる…」


透「別にいいよ、これぐらい」


千歳「…ごめん」


透「…なら、この後新しいメガネ買うのに付き合ってよ。」


千歳「…え?」


透「もちろんお前が選んでお前が払うんだぞ?」


千歳「え、あの…」


透「(わざとらしく)このメガネ、高かったのになぁぁ」


透「限定モデルだったから、同じのはどこにも売ってないんだよなぁぁ」


千歳「あの、そのメガネ、いくらしたの……」


透「……ん?んーと、5万ぐらい」


千歳「……!?(声にならない声)」


透「(押せば行けるか)」


透「金額なんてどっちでもいいから、千歳が選んだメガネが欲しいなぁぁぁ」


千歳「わわわわかった!わかったから!!」


透「…よし。なら行こ!」


千歳「……とーる、わざとやってた…?」


透「なんの事だ?」


千歳「(絶対わざとだ!!!)」



_____



和也「千歳、誕生日来週だったよな?」


千歳「はい、16日です」


和也「なら、その日は泊まりで出かけようか」


千歳「泊まり…」


千歳「え、泊まり!?」


和也「…都合悪いかな」


千歳「いや、そうじゃなくて、ビックリして…」


和也「嫌ではない?」


千歳「もちろんです!」


和也「なら、1泊でゆっくり出来るところに行こう」


千歳「はい!」


______


透「千歳!」


千歳「わっ、びっくりしたァ、急にのしかかってこないでよ!!」


透「良いだろ?今更恥ずかしがんなよぉ」


千歳「恥ずかしがってない!てか重い!どいて!」


透「はいはい。」


透「でさ、千歳、動物園行こう!小動物モフりたい!!」


千歳「…アンタの家が既に動物園みたいなもんじゃん、小動物だらけなのに…浮気?」


透「言い方が失礼!」


千歳「あの環境にいてまだ足りないと…」


透「あのなぁ!猫飼ってる人が猫カフェ行くようなもんなの!!」


透「うちの子にない匂いとか毛並みとか!何あげたらもっともふもふになるとか!勉強も兼ねて行くの!」


千歳「…言い訳に聞こえる……」


透「……赤ちゃんコーナーもあるよ」


千歳「ぐっ…」


透「今の時期はライオンの赤ちゃんもいるらしいよ」


千歳「やめろ、それ以上言うな…!」


透「写真も一緒に撮れるらしいよ」


千歳「行く!」


透「心変わり早ぁ」


__


千歳「やばい、めっちゃ可愛い…このまま持って帰りたい」


透「しっかり育った頃にはお前が餌になりそうだな」


千歳「そこはちゃんと躾をしてだね」


透「飼うって概念から外れないんだな」


千歳「動物園の飼育員になりたかった…」


透也「…」


千歳「…?とーる?」


透「(真剣に、いい声で)俺のお世話すればいいじゃん?」


千歳「(気持ち照れながら)…なんで私がとーるのお世話しなきゃならないの!?私はお世話されたいの!甘やかされたいの!!」


透「ダメかぁ」


千歳「当たり前でしょ!!」


透「…じゃぁ、千歳を甘やかすだけ甘やかして、俺の言うこと全部聞いてくれるようになるまで懐柔して、俺しか見れないようにしたら、俺のお世話、してくれる?」


千歳「……真面目な顔して何言ってんだバカァァ!!!!!」



____


和也「…千歳、大丈夫か?」


千歳「へい、き………っ」


和也「すまない…余裕がなくて…もっと優しくしてあげたいのに…」


千歳「だい、じょうぶ…んッッまって……」


和也「待たない……可愛い声で煽るからっ……」


千歳「あおって、なぃ……ひゃっ」


和也「千歳ッ…」


千歳「かずやさんっ……!」




______


透の家、2人で飲酒




透「なぁ、あの人と、やったんだよな」


千歳「……急に下世話な話持ってこないでよ…」


透「酒入ってたら何でも聞ける気がした」


千歳「…そりゃ、まぁ。」


透「……何回ぐらい?」


千歳「知らない」


透「……俺と、同じこと、出来る?」


千歳「は?」


(千歳を押し倒す)


透「俺と付き合ってって言ってから、なんでそんなにぎこちないの」


千歳「べつに、そんなつもりは…」


透「嘘つけ、何かある度に考え事して……あの人のこと、思い出してるんじゃねぇの?」


千歳「……!」


透「……ほらな、お前、嘘つくの下手すぎ。顔に出るからすぐわかる」


透「忘れさせるって、言ったよな」


千歳「んっ……!」


(しばらくキス)


_

_

_

_



透「あの人と俺、どっちがキス上手い?」


______



千歳「…バラは贈る本数によってその意味が変わります…」


和也「何を見てるんだい?」


千歳「んわっ、びっくりした!」


和也「…ごめんごめん、ん?薔薇?」


千歳「たまたまネットニュースで見かけて、贈る本数によって相手に対する意味が変わるってあって、面白いなぁって」


和也「そうだね、例えば1輪の薔薇も365本の花束になれば意味は全く別のものになる。」


和也「贈る側も贈られる側も、意味を理解すればただの花束じゃなくなる。」


和也「時間はかかるけど、素敵な事だね」


千歳「…?時間がかかる?」


和也「例えば、毎日1輪の薔薇を贈って、それが365回続いたら……?」


千歳「……!」


和也「まぁ、残念ながら、俺はそこまで器用じゃないから、そこまでロマンチックなことは出来ないけど…」


千歳「…あ、まぁ、そうですよね、保存だって大変だし、1回忘れたらそこから続け直すのも大変ですよね…」


和也「だからね、いつか、千歳に365本のバラの花束をプレゼントするよ」


千歳「……待って、ますね」


_____



透「ブリザーブドフラワー…」


千歳「…?」


透「そうだ!ブリザーブドフラワーだ!!」


千歳「え、なに、怖い……」


透「生花を綺麗に保存できるんだよ!」


千歳「いや、だから!なんで急に?」


透「身内の結婚式で、テーブルに花が飾ってあったんだけど、その花が長期間保存できる加工がしてあるらしくて」


千歳「う、うん?」


透「これならサプライズで花束贈っても枯れないじゃん!ってなって調べたんだよ!」


千歳「うん?」


透「やっと思い出したぁ、スッキリした!」


千歳「いや、言ったらサプライズにならないじゃん」


透「…」


透「千歳、自分に花束贈ってもらえるって思った?」


千歳「ばっ、ちがうよ!!」


透「そうかぁ、千歳は花束をプレゼントされたいのかァ」


千歳「だから!ちがうって!!」


千「……いらないよ、花束なんか…」



______



和也「千歳と付き合ってもう3年か、早いものだな」


千歳「…嫌じゃない?」


和也「?」


千歳「私、料理できないし、不器用だし…」


和也「嫌じゃない、むしろ、この先も、一緒にいたい」


千歳「ほんとに?」


和也「本当だ」


千歳「……嬉しい」


和也「確かに今は料理が苦手で、不器用かもしれない。…でも、そんなことより、俺は千歳と一緒にいたいよ」


千歳「うん」


千歳「私も……和也さんと、一緒に居たい…」



______



透「なぁ、」


千歳「なに


透「結婚って、何だと思う?」


千歳「…」


透「結婚することが人生のゴールじゃない、むしろスタートだと思う。」


千歳「……!?」


透「でも、お前は…」


千歳「お腹空いた!」


透「えっ……」


柊 千歳「とーる、お腹減ったからなんか食べに行こ!」


透「お、おい!」


千歳「先行ってるよー!」


透「……逃げた…?」




(ここから和也、透、千歳の絡みになります)



(逃げるように透から離れ、連絡のつかなくなっていた和也と再開する)


和也「千歳!!」


千歳「……(期待と絶望の表情)」


千歳「和也さん…」


和也「千歳、ごめんな?俺の事、ずっと待ってたんだよな?」


千歳「…?何言ってるの」


和也「…何って…あの時の言葉は嘘だったんだ、お前が俺をどれだけ好きか試したくて……嘘をついたんだ」


千歳「……は?今更なに?」


千歳「そんな言葉で片付けられると思ってるの?」


千歳「別れるって言ってから、どれだけ連絡しても返信来ないし!既読もつかない!関わってたアカウントも全部消えてた!」


千歳「それなのに、今更なんなんですか!?」


和也「片付けるって…」


千歳「それに…連絡してきたと思ったら…口を開けば私を試してた?ふざけんないで!!私がどれだけ…!」


和也「ごめん、ごめんな」


千歳「……(苛立ちで声が出ない)」


透「(走って追いつく)千歳……足はえぇよ……って」


千歳「……とーる」


和也「…」


千歳「……」


透「(あぁ、この人が…)」


透「えっと、俺の千歳に、何か用ですか?」


千歳「…!?」


和也「なっ!」


千歳「とーる!何言ってるの!」


透「あぁ、あなたが噂の!千歳にどえらい一言かまして別れたって言う和也さんですか!初めましてぇ!」


透「(圧強めで)千歳の彼氏です」


和也「千歳……」


千歳「……」


透「結婚するとか仰ってたみたいですけど、その後いかがですか?まさかもう別れたとか言いませんよね?」


透「千歳がどれだけあなたを慕っていたか、一番近くで見てたんで」


透「あんたがどんな目で千歳を見てたかは知らないけど、傷付いて、泣いて、ボロボロになった千歳に対して、同情なんか、俺は一切してない」


透「あんたはどうだ」


和也「……」


透「どんな言葉で、どんな触り方で、どんな愛情を向けてたかは知らないけど、嘘でも同情なんて言葉を、俺は使ったことは無い」



千歳「……透」


和也「千歳……お前は、俺を待ってたんだよな?花束だって、待ってるって、言ったよな……だからっ!」


千歳「和也さん!!」


千歳「ごめんなさい」


和也「……!」


千歳「和也さんと一緒にいた時間は、たしかに楽しくて、ずっと一緒に居たいって確かに思った……」


千歳「でも、あの時言われた一言が、ずっと頭から離れなかった……同情で一緒にいたって」


千歳「でも透は、ずっと自然だった……」


和也「千歳…?」


千歳「和也さんとの時間を、少しずつ忘れさせてくれた。」


千歳「同情なんかじゃなく、ちゃんと俺を見てくれた…」


千歳「だから、和也さんとは、さよならです。」


透「……だそうです」


透「えっと、和也さん、でしたっけ?」


透「千歳は責任もって俺が幸せにするんで、御安心ください」


和也「……くそ!体(てい)のいい玩具だと思って相手してたらこれかよ!」


和也「会社に見限られた腹いせにガキなんか相手にするんじゃなかった!」


千歳「……!?」


和也「あぁそうだよ!お前は俺のストレス発散だよ!何が一緒にいたいだよ!コロッと騙されて馬鹿なヤツ!」


和也「こんなガキでも、お前みたいなバカを相手できた俺も俺だ!クソが!!」


透「おいオッサン」


(圧強めの低い声で)


透「千歳の前で何ほざいてんだ、てめぇのやった事だろうがよ、こいつのせいにするんじゃねぇ」


和也「……ひっ!」


和也「だ、だって、こいつが!!」


透「あ?」


透「こいつが……?」


千歳「……とーる、もういいよ」


透「……千歳?」


千歳「和也さん、今までありがとう」


千歳「えっと、スマホ、貸してくれる?私の番号、自分で消したいから」


和也「…(震えながらスマホを渡す)」


千歳「ありがとう」



ぽーい。



(投げたスマホはそのままと通りがかったトラックの下敷きになり粉砕)


和也「な!何すんだ!」


千歳「人の人生で遊んだ報いだよ。」


千歳「さようなら。」


千歳「今まで大切にしてたコレも、もう要らない。」


千歳「幸せだけをくれて、ありがとう」


(和也から貰った指輪を捨てる)


和也「か、、会社の番号、、、他の女の番号も、何もかも入ってたのに、、、あ、、、ああ、、、」


(和也は項垂れてその場に座り込む)


千歳「……行こ」


透「……」


_______


透「良いのか?あのおっさんほっといて」


千歳「いいよ、あれが本心だったって、よく分かったし。」


透「……」


千歳「それに、透の気持ちも、ちゃんと分かったし」


千歳「私、今まで逃げてたんだ」


千歳「とーるが優しいから」


透「……」


千歳「ずっと、和也さんの優しさと重ねてた」


透「知ってる」


千歳「でも、今のやり取りでちゃんと分かったことがある」


透「……!」(不意打ちにキスされる)


千歳「透、ありがとう、好きって気付かせてくれて、ありがとう!」


透「……おまえ、それは反則だろ!」


千歳「前はとーるからキスしたんだからおあいこでしょ?」


透「……帰ったら覚えとけ!!」


千歳「……楽しみにしてるね」


______


千歳「M/その後、和也さんは勤めていた会社で次々浮気が発覚…老いも若いも往々に手を出しまくった挙句、社長の娘に手を出したこともバレてクビになったらしい」


千歳「M/慰謝料請求で多額の借金を抱え、今の職業を続けることも叶わず、今は借金返済の為にマグロ漁船に乗り込んでいるのだと、風の噂で聞いた」


千歳「俺と透はその後、結婚を視野に入れた同棲を始め、それぞれ仕事に就いて生活している」


透「……よし、今日の配達終わり!」


透「後は……」


千歳「……透!」


透「千歳!おつかれ!」


千歳「おつかれ、営業で近く来たから……これ、差し入れ!」


透「助かるぅ!」


千歳「今日、透がご飯当番だよね?」


透「ん?何かリクエスト?」


柊千歳えっと、この後会社戻ったら業務報告して終わりなんだよね」


千歳「だから、久しぶりに一緒に買い物してご飯作りたいな……と」


透「……あぁ、新婚さんの気持ちってこれかな……」


千歳「え、何それキモい」


透「おい!」


千歳「終わったら連絡するから!」


千歳「頑張っねぇ!」


透「……まったく。」


透「……」


千歳「M/透は急に花屋で仕事をすると言い出した。」


千歳「M/私は小さな輸入雑貨店で仕事をしている」


千歳「M/ちょうど今日は、とーるから付き合ってと言われた日……だから、それを形にしたくて、張り切って仕事を終わらせる」


千歳「M/幸せを教えてくれた透に、感謝を伝えるために…」



____



透「おつかれ!」


千歳「おつかれさま!」


透「んで?千歳ちゃん、張り切って仕事を終わらせてくれて、何をするつもりなんだ?」


千歳「……アンタさぁ、なんでそうやって台無しにするわけ…?」


透「わかりやすいから、からかいたくなるんだよ」


千歳「……」


透「ん?」


千歳「これ…」


透「…………指輪?」


千歳「あ、あれから!ちゃんと、ありがとうって、言えてないし…」


千歳「私なりに、形にしたくて……」


透「i miss you every day……毎日、あなたが恋しい…」


透「千歳!これって!」


千歳「365本の、バラの花束の意味…」


千歳「とーるなら、知ってるでしょ?」


千歳「はぁ……家に帰ってから渡すつもりだったのに……」


透「……あぁ、もう。」


透「……からかってた俺がバカみたいじゃん……」


千歳「とーる?」


透「……」


(袋から何かを取り出す)


(そこには、小さなバラのブリザーブドフラワーで作られた花束)


千歳「……とーる、これ」


透「…同じこと、考えてたんだな」


千歳「…」


透「千歳?」


千歳「なんだよ、2人して、同じサプライズって」


透「いつだったか、花束の話ししたじゃん」


透「あれからずっと考えてたんだ。」


千歳「…」


透「ちゃんと伝わるように、形にしたくて。」


私「…俺も。」


透「…なぁ、千歳」


透「この先、喧嘩したり、ちょっとした事で俺のことが嫌になるかもしれない…それでも、そうやって喧嘩しても、次の日には笑って過ごせるような家族になりたい」


透「嘘でも、同情でもない。心から、千歳と一緒に居たい」


透「俺と……」


千歳「待った!」


千歳「ちょっと、ここじゃ恥ずかしい…」


透「場所、関係ある?」


千歳「いや、人の目が…」


透「千歳?」


千歳「…」


千歳「……!!!」


千歳「居るよ!一緒に!」


千歳「好きだから!!」


也「……」


透「俺も、千歳が好き!」


____


千歳「M/街ゆく人の目も気にせず、私たちはそのままキスをした」


透「M/拍手をしてくれる人が沢山居た……」


千歳「M/良かったね、幸せになってね!と、声をかけてくれる人もいた」


千歳「M/幸せの形は人それぞれ……透との幸せを願うこの瞬間、そして未来が」


千歳「M/幸せで溢れていることに感謝しながら、私達はお互いの左薬指に指輪をはめた」


透「M/今日も、明日も、明後日も」


千歳「M/この先もずっと、透と……」



______,

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