第34話 面白い

 正直驚いた。


 あの女は、多少の変わり者で新太の生涯に大きく影響を及ぼす人間であるはずがな

いと思っていたが、大衆の前で大胆に姿をさらす胆力に驚愕した。


 夏の旅行の時も、堀田瑠璃子のように新太を見限ると決めつけていたが、立ち直

り、むしろ彼を救ってしまった。


 本当は、もっと新太の心をへし折って、私だけを心のよりどころにしたかった

が…。


 「面白いね、あの子。一瞬で新太の顔つきが変わった」


 加賀美光は興奮冷めやらぬといった具合で、約15分前の峰一縷の登場に震えてい

た。


生徒会の手伝いを始める。


 面白い。


 それならば、相応の試練を与えてやろうじゃないか。


 私の方が、新太のことを知っている。近くにいる。ずっと見ていられる。


 峰一縷。


 私は、あなたを地獄まで叩き落す。それでも新太と一生を添い遂げたいと覚悟でき

るのなら、認めてあげる。あなたの味方になってあげる。


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