ン
ぬるりと湿った木。
私は知ってほしいのです。
ひどい、ひどい、あまりにひどい。
ごつごつと強情な枝振りの木。
私のすべては彼のものです。
私のすべては彼のものです。
血のように紅葉した木。
ですから彼は私のものです。
私だけのものなのです。
苔むして年を経た木。
彼は私だけを見るべきです。
他の女を見るなんて。
他の女に見られるなんて。
決して許されることではありません。
病気の動物の尿のような甘い匂いの木。
正義とはいったい何でしょう。
邪なるものを滅する働きです。
神はご存じです。
ご存じのはずです。
そう、間違っていることは、間違っています。
当然。あの女は私の彼を見てはいけなかった。
卑しく厭らしい、あの目。
あんなものはこの世から無くしてしまわなければ。
無くしてしまわなければなりません。
神よ。
私の願いをお聞き届けください。
あの女の目をつぶしてください。
卑しい女の厭らしい、あの目を。
この世から無くしてしまってください。
あの女が二度と彼を見ないように。
すべての明かり、美しいものを二度と目にすることもないように。
私は願います。
正義を。
神よ、正義をもたらして下さい。
邪なまなざしを滅して、私の元に彼を戻して下さい。
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