一年前

 一年前の自分はまだ君たちのことを知らない。

 また混ぜられたクラスの中で、チラリと隣をみていた。臆病な自分に呆れ返った。

 やがて去ってしまう先輩を、代わる世代を惜しがり不安がるだけだった。



 あの日の自分はまだ知らない。



 部活に入ってきた、一つ下の後輩たちのことを。

 年齢など無視してふざけ笑う君たちのことを。


 また違う友達とそれなりに上手くやれることも。

 新しく話す様になるクラスメイトのことも。



 留学生がやってくること。

 部活仲間とあんなに仲良くなること。

 修学旅行があんなに楽しいこと。

 先生と本の話をすること。



 一年前の自分は何も知らない。

 怯える一年前の自分に言ってやりたい。



 この一年は、宝物になるくらい楽しいんだから勿体無いぞと。



 後輩だった自分が先輩になって、先輩が卒業して。

 そして今がやって来た。

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