第28話 忘れられた井戸の秘密

夏の初め、桃源郷は新たな謎に包まれた。村の古い地図に記された、今は使われていない井戸の存在が、偶然にも小袖君の手に渡った古文書で再び言及された。この井戸には、古代の力を宿すという伝説があり、小袖君と恋歌はその真実を探る決心をした。


二人は地図と文書を元に、村の北端に位置する森の中へと足を運んだ。長い間人の手が入らなかったために野生の植物で覆われていたその場所は、一見してただの自然の一部にしか見えなかったが、小袖君の魔法によって隠された井戸が現れた。


井戸からは謎の光が漏れ出ており、小袖君と恋歌はそれを探求するために井戸を降りることにした。地下深くに潜ると、そこには古代の祭壇があり、中央には大きな水晶が鎮座していた。水晶からは温かな光が放たれており、触れる者に癒しと力を与えると言われていた。


小袖君は水晶に手を伸ばし、そっと触れた瞬間、彼の頭の中に古代の知識が流れ込んできた。その知識には、水晶がどのようにして村を守り、繁栄させる力を持っているかの説明が含まれていた。


二人は水晶の力を村にもたらす方法を考え、それを実行に移した。小袖君の魔法で水晶のエネルギーを村全体に分配し、それが村の水源にも影響を及ぼし、水がより清らかで健康的なものへと変わった。


この出来事が村に知れ渡ると、村人たちは井戸と水晶の存在に感謝し、小袖君と恋歌を称えた。また、この発見によって村の歴史に新たな一ページが加えられ、井戸は「癒しの井戸」として知られるようになった。


夏の夜、村の広場で開かれた祝賀会で、小袖君は村人たちに水晶の話を共有し、これからも村のために力を尽くすことを約束した。恋歌は彼の隣でその言葉を聞き、彼と共に村の未来を築くことに誇りを感じていた。

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