第22話 迷子の龍と春の祭り
桃源郷は春の訪れと共に、年に一度の春の祭りの準備で再び活気づいていた。新緑の季節に合わせて、村の中央広場は花々で飾られ、様々な屋台が並び、祭りの楽しみが村全体に広がっていた。しかし、祭りの前日、小袖君の元には予期せぬ訪問者が現れた。
その訪問者は、小袖君が幼い頃に聞いた伝説の生き物、龍だった。龍は美しく、鮮やかな緑色の鱗を持ち、目は古代の秘密を知るかのように深い蒼だった。しかし、この龍は怯えており、どうやら迷子になってしまったようだった。
「こんにちは、大きな魔法使い。僕、ちょっと迷ってしまって…家がどこだか分からなくなってしまったんだ」と龍が言った。小袖君は驚いたが、すぐに心を決め、龍を助けることを決定した。
「大丈夫だよ、一緒に君の家を探そう。でもその前に、僕たちの春の祭りに来ないか? 村の皆もきっと君を歓迎してくれるよ」と小袖君が提案した。龍は少し考えた後、嬉しそうに頷いた。
祭りの日、小袖君は龍を連れて広場に現れた。村人たちは最初は驚いたが、小袖君の説明を聞き、すぐに龍を温かく迎え入れた。龍は子供たちと一緒に遊んだり、屋台の食べ物を試したりして、村の新たな友としてすぐに受け入れられた。
祭りが盛り上がる中、小袖君と恋歌は龍が言ったヒントから、彼の家を探し始めた。彼らは龍が記憶の片隅に残していた古い神社が家の近くにあるという話から、近くの山を目指した。
山の中腹にたどり着くと、彼らは古びた神社を発見し、その奥には大きな池があった。池は神秘的な光を放っており、そこが龍の家、つまり彼の故郷であることが分かった。
龍は喜びに満ちて、小袖君と恋歌に感謝を述べた。「ありがとう、小袖君、そして恋歌さん。あなたたちのおかげで家に帰ることができたよ。これからはいつでも遊びに来るね!」
祭りの最後に、龍は空高く舞い上がり、村人たちに別れを告げた。彼の去った後、小袖君と恋歌は手を取り合い、彼らが経験した冒険を語り合った。村の春の祭りは、龍の訪問という特別な出来事により、桃源郷の伝説として新たな章が加えられたのだった。
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