第11話 風邪の流行と小袖君の挑戦

魔法の花の祭りが終わり、桃源郷は再び平和な日常を取り戻していた。しかし、その平和も束の間、村に冬の訪れと共に風邪が流行し始めた。一人また一人と、村人たちが体調を崩し始め、やがては床屋の主人も病床に伏すことになった。


恋歌は父の看病をしながら、小袖君にも助けを求めた。「小袖君、何とかこの風邪を治す方法はないかしら? 村のためにも何かしてあげたいの。」


小袖君は真剣に考えた。彼の魔術は多くの奇跡を起こしてきたが、病気を治すというのは今までにない挑戦だった。しかし、彼は決心し、「分かった、試してみるよ。魔術で何とかしてみせる」と答えた。


彼はまず、村の長老と相談して、風邪に効くと言われるハーブを集めた。これらのハーブを使い、彼は特別な魔法の飲み物を作る計画を立てた。ハーブを魔法の器に入れ、特定の呪文を唱えながら、そのエッセンスを引き出すのだ。


作業は一晩中続いた。小袖君は疲れを知らずに魔法を行い、ついには薬草の力を最大限に引き出した飲み物が完成した。翌朝、彼と恋歌はこの飲み物を村人たちに配り始めた。


最初は少し躊躇する村人もいたが、飲んだ人々がすぐに効果を実感し始めると、その噂はたちまち村中に広がった。病床に伏していた人々も、小袖君が作った飲み物を飲んで次々と回復し始めた。


床屋の主人もこの飲み物を飲み、数日で元気を取り戻した。「小袖君、君のおかげで元気になれたよ。本当にありがとう」と彼は感謝の言葉を述べた。


村の人々からの感謝の言葉は、小袖君にとって何よりの報酬だった。彼は村のためにできることをさらに模索し続ける決意を新たにした。


その夜、小袖君は恋歌と共に星空を眺めながら、「僕たちができることはまだまだあるね」と話した。恋歌は「そうね、一緒にいれば何でも乗り越えられるわ」と答え、二人の絆はさらに深まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る