第5話 迷子の子猫と小袖君の決意

祭りの夜が明け、桃源郷は再び平和な日常を迎えていた。小袖君は祭りでの魔術ショーが予想以上の成功を収め、村人たちからの信頼を一層深めることができた。そんなある日、彼のもとに新たな試練が訪れる。


朝の散歩中に、小袖君は一匹の迷子の子猫を見つけた。子猫は怯えているようで、誰にも近づこうとしない。小袖君はそっと子猫に近づき、優しく声をかける。やがて、子猫は彼に心を開き、小さな体を彼の足元に擦り寄せた。


「大丈夫だよ、君を守ってあげるから」と小袖君は子猫を抱き上げ、自分の下宿に連れて帰った。子猫のために、彼は小さなベッドを作り、食事を用意した。子猫はすぐに小袖君になつき、彼の下宿はさらに暖かい場所となった。


しかし、子猫の安全だけが問題ではなかった。子猫の正体が、実はこの村に伝わる神聖な動物であり、何世代にもわたって村を守ってきた存在だという噂が村中に広まったのだ。小袖君は、子猫をただの迷子として扱うことの責任の重さを感じ始める。


この事態を受けて、小袖君は長老と相談を持ち、子猫の適切な扱い方について話し合った。長老は小袖君の誠実な行動を評価し、「小袖君、君の優しさがまた村に新たな風を吹かせてくれた。この子は君が見つけたのだから、君が守るのが最もふさわしい」と言葉をかけた。


その言葉を受け、小袖君は子猫を正式に引き取ることを決意。さらに、自分の魔術を使って、子猫が安全に過ごせるような環境を整えた。村人たちもまた、子猫が小袖君のもとで幸せに暮らしている姿を見て、彼らの絆を心から祝福するようになった。


恋歌は小袖君の行動を見て、「小袖君、あなたって本当に優しいね。この子猫がこれからも村のみんなに愛される存在になるように、一緒に頑張ろうね」と言った。

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