目を閉じて少しだけ考えをまとめてから氷川さんはむーとくーを見る。

「それは私にもわかりません。竜がいつの時代に生きていて、どんな生活をしていたのか、寿命はどれくらいなのか? 群をなすのか? なにを食べていたのか? 空を飛ぶことはできるのか? ……なぜ、絶滅してしまったのか? なにもわかりません。竜の研究はまだ始まったばかりで、わからないことばかりなのです」氷川さんは言う。

「予測はあります。おそらくは恐竜と同じように気候変動によって食べ物がなくなって、絶滅したのだと思います。でもね、私はきっとそれだけではないと思っているんです。これは考古学者としての私のかんですけどね。これが今の私の答えです。いいですか? くーちゃん」と氷川さんは言った。

「はい。わかりました」と元気よくくーが言った。

 それから氷川さんはむーを見る。

「むーくんはなにか質問が私にありますか?」

 そう聞かれてむーは少し迷ったのだけど思い切って質問してみることにした。

「あります。あの氷川さんはどうして僕たちにこんな風にお忙しい中で、たくさんのお話をしてくれるんですか?」とむーは言った。

「それはくーちゃんに続いてとてもいい質問ですね」と(すごく嬉しそうな顔で)氷川さんは言った。

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