【11/07】コルゴーの屋敷
「おまちどう。ウチがコルゴー・レオブジンや」
門を通り、玄関を超えて、城内のようなエントランスに入ると吹き抜けの階段から赤髪の美女が降りてきた。いわゆるウルフカットと呼ばれる髪型で、肩にはストールをかけており、シャツにズボンと全体的に動きやすい格好となっている。
にんまりと微笑んだその表情は口調通りの曲者であることが伺えた。
「ええと……もしかして掲示板に書き込んでた?」
「ああ! 弟子を名乗ってな! 別にあそこは嘘ついたアカンなんて”縛り”はないし!」
……なるほど。博識ニキは女性。しかも三賢人の一人だったということか。
そりゃあ博識なのも頷ける。
「なんでそんな嘘を?」
「そりゃアンタ、自分が三賢人の一人なんて掲示板で名乗ってたらただの痛いやつやろ。それに信じられるかもわからへん。余計なトラブルを招くだけや」
「…………ま、そりゃそうだ」
掲示板での些細な嘘なんて大したことじゃない。それほど気にすることではないな。
感心していると、隣に立っていたエリィがカツリ、と足を前に進めた。
コルゴー氏と相対する形だ。いったいどうしたんだ?
「やぁ、久しぶりだねコルゴー。と言ってもこの姿だと誰かわかるかな?」
「アンタ、エルリオか? ずいぶん可愛らしくなったなぁ」
と言いつつ、コルゴー氏は訝しげにエリィを睨む。
そういえば若返りの方法を調べていると掲示板で言っていたが……。
「なんか知らん魂が混ざっとるな。やっぱウチが教えた方法は失敗やったようやね」
「おかげさまで色々記憶に歯抜けがあるよ」
「せやけど、実践にこぎつけたのはずいぶんな進歩やで。ウチは理論のみやったからな。どや? 取引せえへんか?」
「取引?」
ククク、とコルゴー氏が笑う。
さながら悪巧みでも思いついたかのような笑みだ。
「ウチに
「いいよ……と言いたいけれど、実は肝心のその研究成果を忘れてしまってねぇ」
その言い分に驚いて俺は思わず声を荒げた。
「はぁ!? おまえ、留置所じゃあ知ってる風な言い方だったのに!」
「ああでも言わないと、治安維持局が協力してくれないと思ったからさ」
カツカツカツ、とコルゴー氏が階段を降りてくる。
このままじゃせっかくやってきたのに聞きたいことも聞けない。
「はぁ……まぁええわ。その体をじっくり調べたら済むことや」
「ちょっ、ちょっとコルゴー氏!? 俺たちは術師狩りの調査で聞きたいことがあって……!」
「ほなウチから無理矢理聞き出してみぃ!」
ダン! とコルゴー氏が足を地面に打ち付けると……。
邸宅の奥から無数の人形が飛び出してきた!
俺が作った土塊とはなどとは違う、金属部品を加工した完璧なオートマタ。その性能はデク共とは比べものにならない!
「くそっ! 本当に
「ああ、完全に記憶から抜けてる。いやそもそもインプットされてないのか……」
「ああ?」
「それよりも……来るよ!」
俺は溜息をつき、懐から拳銃を取り出し構えた。
まさかこんなところでバトることになるとはな。
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