第23挑☆さらばヘーアンの国 シロと稲妻を追いかけて 後

「ミョウギの国は、商業が盛んな港町です。出店がたくさん並んでいて、食料も衣料も安く取引されています。珍しいものが売ってあることもあるので、掘り出し物を見つけるにも良いところです」




「チョーもカイソンも、新しい服買ったら? いつまでも初心者Tシャツじゃ恥ずかしいでしょ」




 蕾に言われて、俺とカイソンはお互いのTシャツを見た。けっこうボロボロだし、替え時か。




「珍しい商品があるってことは、珍しいバタフライもいるってことか?」




 俺が訊くと、藤花はうなずいた。




「いると思いますよ。バタフライを連れたプレイヤーも、珍しい武器や防具を求めてミョウギの国に訪れますしね。たくさんのバタフライを見ることができると思います」




「よおし、じゃあ、行くか! ミョウギの国に」




 俺が言うと、カイソンとポワロンがうなずいた。




 東の国境付近まで、藤花と蕾が見送りについてきた。




「藤花と蕾は、これからどうすんだ?」




 そう訊ねると、蕾が答えた。




「私、カンダの国に行ってモデルのオーディションを受けてみることにしたんだ。藤花が紹介してくれるって」




「そうか! いよいよ夢への第一歩だな」




「うん! 藤花はすっかり人気モデルで、今は遠い存在だけど。私、追いかけていくよ。もう、無理だって決めつけない。精いっぱい、頑張ってみる」




 蕾は上を向いている。




「私はいつも蕾ちゃんの近くにいるよ」




 藤花は蕾に微笑んだ。この二人、すっかり仲直りしたんだな。もう大丈夫そうだ。




 東の国境にそびえたつ山の入り口で、俺たちは立ち止まった。




「この山を越えたら、ミョウギの国です」




 藤花は山の向こうを指さした。山っていってもひとつじゃなくて連なっているし、ふもとからじゃ頂上は見えねえ。けっこうでかい山だ。入り口から見える道も、でこぼこしていて大きな石が転がっている。




 まあ、越えられねえ山ではないだろうけどな。




 俺たちは蕾と藤花に礼を言った。




「蕾、藤花、世話になったな」




「ううん、こっちこそ! チョー、カイソン、ありがとう」




 蕾は俺たちに笑顔を向けたあと、モコに抱きついた。




「モコ、元気でね」




 モコも触手を動かして、蕾を抱きしめている。




「本当に、ありがとうございました」




 藤花が深々と頭を下げた。カイソンは、




「こっちこそ。二人とも、モデルの仕事頑張って」




 と答えた。




 俺たちが山の入り口に入り、しばらく進むまで、蕾と藤花が見送ってくれた。




「またね、チョー、カイソン!」




「ああ」




 そうだな、また。今度ヘーアンの国に来るときには、きっともっと自由な国になってる。蕾と藤花がいっしょにランウェイを歩く姿を見る日も、きっとそう遠くねえよな!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

チョウチョ革命☆大一文字挑!! eden @eden0731

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ