第23話 救世主になる?

ギルマスのカイルが「リア、ドアに鍵をかけてくれ。」

「はい。」ギルドのお姉さんが言葉を発することなく「カチャ」ドアに鍵をかけた。

パトリ、キャロル、イケに僕ら4人は

「きゃあー」叫んだ。

イケが「おー!魔法だ。」

僕も「リラさん呪文なしの魔法発動、スゴいですね。」

リラさんが「二条さん、普通ですよ。冒険者ギルドでなくても、みんなできますよ。」

イケじゃないけど、本当に来たんだ。

異世界に。

なんか実感してしまうな。

商人ギルドで命をかけて戦うことはないと思うが。何かが、僕のカラダの中で何かが、燃えはじめた。

学校のバスケの、あの試合前の緊張感とカラダの高揚に似ているようだ。

しかしここは学校じゃない。

退屈だと思っていた高校生活。

上崎・・・会いたいよ。

イケが肘で僕をつっつく。

「おい二条、大丈夫か。」

聞こえない。

「おーい、二条君、戻ってこーい。」

「あ、悪いイケ、ちょっとボーっとしてた。

リラさんに見惚れてたか?いや、違うな。

また上崎のことだろう。」

「悪いかイケ、そうだ。会いたい。

今、無性に上崎に会いたいんだ。告白もできない情けない。笑ってくれ。」

「二条、笑わないよ。人間って極端に追い込まれた時に全く別のことを脳内が勝手に本能で、考えるらしいぜ。ここは異世界だが、とりあえず、僕らは人間って言うか、単なる高校生だ。

いつも通りでいいと思うけどなー。それに仕事が終われば、すぐに学校へ帰ればいい。」

反射神経が良く、頭の回転の速いイケが、僕を慰める。

「サンキュー、イケ」

僕はイケの頭を鷲掴みゴシャゴシャにした。

いつも通りのおふざけだ。

僕はギルマスに「カイルさん。鍵をかけて、このまま僕らを捕まえるつもりですか?」カマをかけてみた。

パトリも「そうね。カイルさん、私達を拘束でもする気ですか?」

キャロルが「拘束されても、こわくなんかないわ。」強気の口調と裏腹にキャロルは左手でイケのシャツを引っ張っている。

なんか、キャロルって可愛いかも。

思った瞬間、パトリがわざと僕のシャツを引っ張った?

「ははは。」カイルが大きく笑った。

「君達、そんなに警戒しないでくれ。ウサギ、いるんだろう。出てこい。」

僕の水晶からウサギが出てきた。

「カイル、久しぶりだ。」

「今回の男子は強そうだな。今度こそいけるか。」

「見ての通りだ。あたりだ。パブロ達は着いたか?」

「少し前にな。パブロ!」奥の部屋からパブロとキラ、そして初めましてのダックが出てきた。

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