第14話3回目飯盒炊飯
やがてゴールデンウィークを迎え、南海電車に乗ってみさき公園へ。妹の遊園地デビューであった。妹は初めて見る遊園地の乗り物に興味津々であった。ただ、幼いために乗れない乗り物も多く、少々残念だったかもしれない。私と姉はジェットコースターなどにのって、キャーキャー言いながら楽しく過ごしていた。
遊園地で遊んだ後は海にも行った。大阪府南部はまだあまり開発や埋め立てがおこなれていなかったので、手軽な行楽地として人気があったのである。
ゴールデンウィークが終わってしばらくすると学校全体の行事として飯盒炊飯が行われる。行く先はこの年も南海電車沿線の箱作海岸。この年も以前と変わらず、カレーを作るのであるが、マッチは先生が用意するが、火を起こすのに使う薪や木の枝は海岸に打ち寄せられているものを使う。これは大規模な災害が起きた時にも、生き抜いていくすべを学ぶためで、授業の一環であった。
ほかの班が火を起こして大きくするのに悪戦苦闘している中で、私と姉のいた班は、山口で家の風呂の焚き付けを経験していて、火のおこしかたや火力を大きくする方法を知っていたので他の班よりも出来上がるのが早かった。ご飯もいい具合に炊けて、カレーもおいしくできて、きれいに片づけた後は海へ。大はしゃぎして自然を満喫して、電車に乗って帰るときは皆遊び疲れて夢の中へ。
学校に帰りついて各班ごとに点呼を取り、家に帰ってその日の日記を書くわけであるが、こういったイベントがあると、日記を書くのにも苦労はしないのにと思いながら書いていた。
飯盒炊飯が終わってしばらくは大きな行事もない日が過ぎていった。ただ、クラスの中には気の強い女子がいて、私のこともあまりよく思っていなかったのか、次第に険悪なムードが漂い始めていた。久保という女子であったが、私は正直
「一緒の班にはなりたくないな」
と思っていた。そう思うと不思議なもので、なぜか一緒の班として過ごすことになったのである。久保は男子にも気に食わないことがあると食って掛かっていたし、話す言葉も少々荒っぽいところがあって、そんな感じから私はなるべく久保の感情を逆なでしないようにおとなしくしていた。それでも学芸会の練習や学習発表会の時などは、放課後に班のメンバーが集まるときがあって、そんなときは
「マジでやりたくない。できれば早く家に帰りたい」
そう思っていた。それでもまじめに取り組まないと怒りを買うし、私にとって付き合いにくい久保と一緒の班だった1学期後半は、あまり楽しいものではなかった。
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