第4話 試してみる
その日から俺はエレベーターに対して怪奇的恐怖を覚えて階段を使用していたが、本日、残業をして深夜に帰宅した。アパートの敷地に足を踏み入れた時、エレベーターはちょうど1階に到着して口を開けたのが見えた。いつものように階段にしようか?その一方で、深夜に帰宅したのは一つの機会とも思い、中年男に言われたことを試してみようかとも思った?
迷った俺だが、エレベーターに乗った。4階を押して、閉まるボタンを押す。重い機械の音とともにエレベーターは閉じて上昇、すぐに4階に。やはり扉は開かない。「開く」ボタンを押してみる。でも、開かない。俺は、中年男に教わったように、毅然とことばを発することにした。
俺は、「イタズラはやめろ!」と叫んだ。エレベーター内に俺の声は反響して、すぐに静まり返った。エレベーター内で叫ぶなんて日常で行わない不自然さ、また多少の怖さのせいもあって、上ずった声になった。
機械音とともに、扉は開いた。「開く」ボタンを押してはいないのだけど。叫ぶと同時に開いたことに、何者かと会話した感覚になった。何者か近くに居る?そんな感覚を持って、そろりとエレベーターを降りた。
そして小走りに自室の前へ。何かに追われるような焦りすらを感じつつ、鍵を取り出す。鍵穴にうまく差し込めない。余計に焦る。偶然のように鍵穴にささると、慌てて回してドタバタとドアを開けて部屋に滑り込む。ドアを閉めつつ、部屋の前や廊下に誰もいないことを左右確認。ゆっくり閉じると、廊下の薄明りはシャットアウトされて真っ暗な玄関となる。記憶と手探りで鍵のつまみを見つけて、戸締りをする。俺は、一息ついた。
だがその時。一度、ドン!と玄関扉を外から蹴る音がした。飛び上がる程びっくりした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます