第9話 幼稚な嫌がらせ

「すみません、素材の買取をお願いします」


「かしこまりました。少々お待ちください」


 そう言うと受付嬢は奥に下がって行った、多分レスターさんを呼びに行ったんだろう、そして受付嬢が居なくなるやドスを利かせた声がする。


「おいテメェ」


「なんです?」


「なんです? じゃねーんだよ、この前はライネスさんに止められたがなぁ、テメェが獲物を掻っ攫ってるのは間違いねーんだ、白状しろや!」


 思った通り誘いに引っかかってくれた。


 しかも前に突っ掛かってきたパイクと呼ばれてた男だ、後は冷静に煽るだけだ。


「自分達で倒した魔物を卸してるだけですが?」


「Gランクの雑魚がCランクBランクの魔物なんぞ狩れるわけねーだろが! 嘘つくならもう少しまともな嘘言えや!」


 ゴンッ!!


 ギルド所有の備品を蹴るなよ、弁償云々になったらどうするつもりなんだ。

 それに、今のでギルド内に居る他の冒険者達も、どうしたのかとこちらの様子を窺ってるし。


「嘘じゃなく事実です。そもそも前提がおかしいんですよ、Gランク冒険者だからC・Bランクの魔物が狩れないなんて誰が決めたんです? 狩れる実力者が今まで冒険者になってなかった。それだけの話でしょ」


「うるせぇ! 俺の言ってることに間違いはねーんだよッ! 第一そんなヤツが冒険者にならず生活してるわけがねーだろうが!」


 強ければ即冒険者になるものだと決め込んで疑わないとか、凄まじい程の偏見だな、この世界にだって個人の事情で、力があっても冒険者にならない人だって居るだろうに……数は少なそうだけど。


「あんたがそう思うのならそれで良いんじゃないですか? あんたの中ではね。でもそれをオレ達に押し付けないでくれ、余りにも幼稚な考えだし迷惑だ」


(ナナセさんどうしたのかな?)

(さぁ私にも分からないわ、でもナナセさんがアクションを起こす時は何かしら理由がある事が多いし、このまま話を合わせましょう)


「よ・・・幼稚だと!? テメェふざけた事抜かしてんじゃねーぞ! ぶっ殺されてぇか!!」


「一体何の騒ぎだ!!」


相手の頭に血が上った所でレスターさんが騒ぎを聞いて急いで駆けつけてきた。


「レスターの旦那!」


「丁度いい所に、狩った魔物の買取をお願いしたかったんですけど、またこの人が絡んで来て困ってたんですよ」


 それを聞くとレスターさんは大きく溜息を付いてパイクという男に再度説明をする。


「パイクよぉ、俺が不審に思った物は、納得出来る理由が無いまま預からねぇって知ってるよな?」


「そ…それは知ってッスけど、コイツは」


「知ってんならGランクだろうと何だろうとナナセは俺を納得させた、お前がどう言おうとナナセはCランクBランクを狩れると俺に証明してんだよ」


「だったら……だったら俺にもその証明を見せやがれ!」


「お断りだ。あんたに証明する必要も無ければ義務も無い、レスターさんが認めているのに、何故わざわざあんたに証明しなければならない? 寧ろこっちの方が証明して欲しい側なんだが?」


(姉さん、もしかしてナナセさんの狙いって)

(多分同じような事が起こらないようにする為に一芝居打ってるって感じかしら)

(でもレスターさんは乱闘はダメだって言ってなかった?)

(言ってたわね、あの人達よりもランクを上げて黙らせるのが一番だって)

(それなら今の状況にするのは変じゃない?)

(恐らくそこにナナセさんの思惑があるんでしょうね、今はナナセさんに任せましょう)


「んだと!!」


「あんたがオレに証明する側なんだよ、散々倒せるわけが無い、掻っ攫ってきた物だと言ってるんだから、ソレを証明出来るんだろ?」


「ぐっ……」


(クソガキがぁぁぁ! 調子乗りやがって! こいつが倒せねぇ、盗んだ物って証明出来る物はねーかクソクソクソクソクソォォォォGランクの分際でよぉぉ!………Gランク? あるじゃねーかよ証明出来るもんが、レスターの旦那を騙せたからアイツは虚勢はってるだけだ! 戦えば俺様が勝つ!! フヘヘヘ調子乗り過ぎて墓穴掘っちまったなぁ、雑魚が! ぶっ潰してやるぜ!)


「証明出来ないなら二度と突っ掛かって来ないでくれ」


「いいや出来るぜ」


 オレはその言葉に確信を。

 遠巻きに見ていた冒険者達は各々困惑した表情や驚いた表情を見せる。


「今から証明してやるから訓練場に行こうぜ、行くよなぁ? それとも怖くなっちまったか?」


 アヤカさんユウカさんを見ると成程ね、といった表情だ、オレの思惑が分かったんだろう。


(そう言うことね、私達が証明するのでは無く、相手にソレを証明をさせる)

(でも魔物は自分達で狩ってるから、アイツは倒せない証拠は出せ無いし、盗んだ証拠も出せ無い、そもそも盗んでないし)

(そうなってくると手っ取り早く、そして分かりやすい証明の仕方として、私達と戦って負かすこと)

(それなら少なくとも、アイツらより上のランクの魔物は倒せないって証明も出来るし、痛めつける口実にもなる、ホント脳筋だなー)

(引くに引けなくなったって言うのも有りそうだけどね)


「証明出来るんだな? わかった、行こう」


 訓練場に移動するオレ達の後ろを、これから起こるであろう事に興味津々な冒険者達が続いてくる。

 他のギルド職員達はどうしたらいいのか困惑する者、自分に与えられた仕事を全うする者、数人で集まって相談する者と様々だ。

 そしてそんな職員を見てさっきよりも大きく深く溜息を付くレスターさん。


「取り敢えずお前達は自分の仕事に戻れ、あいつ等には俺が付いて行く」


 後ろの方から統制の乱れたギルド職員を一喝して付いて来てくれるあたり、元々が面倒見のいい人なんだろう。

 訓練場に着くとオレ達はその中央へ、付いて来た者は入口やその周辺に集まっている、何を期待しているかはそれぞれだろうけど、他人の揉め事を面白半分で見るのは余り良い趣味とは言えないな。


「それで、ここでどうするんだ?」


「簡単な事さ、ここで俺達とお前らが戦って、俺らが勝ちゃぁお前らはC・Bランクの魔物を倒せるわけが無いって証明になんだろ、それに俺様を舐めた雑魚の教育にもなる」


 一体教育になるのはどっちなのか。

 だけど脳筋なおかげでこっちの思惑通り事が進んで助かった、誤算としては関係無い冒険者達が付いて来たくらいだな。

 まぁそれもこの一件が片付けば、他の冒険者も口には出して無かった疑念も晴れるだろうし、一石二鳥と思おう。


「わかった、ならこれであんた等が負ければ、今後突っ掛かってくる事は無いって受け取って良いんだな?」


「あぁ、約束してやるよ、勝てればな」


 オレはしっかりと言質を取ったしレスターさんもそれを確認してから2人に説明をする。


「すみませんでした! 2人に相談せずに勝手に突っ走りました!!」


 腰を90度曲げて謝罪をすると2人は呆れ顔で。


「「途中から薄々気付いてました」」


 デスヨネー、煽りの途中で顔を見たら納得したような顔してたもんね。


「それじゃサクッと片しちゃお」


「すぐに油断しない、相手は私達が大怪我しても構わないつもりで来るんだから」


「相手は大斧1 剣1 盾1 弓1 魔1の構成だからアヤカさんは弓使いを、ユウカさんは魔法使いを倒すか行動不能にして欲しい、方法は2人に任せる、オレが残った前衛に圧を掛けるよ」


「「了解」」


 役割を決めた後に向き直ると下卑た笑いを浮かべるパイクと疑問の表情を浮かべてるメンバー達。

 それとは別に真剣な顔で警告をするレスターさん。


「剣を交える前に幾つか言っておく、訓練場を使う以上殺し合いはなしだ、もし俺が殺し合いだと判断した場合、どんな手を使ってでも即座に止める」


 恐らく訓練場に来る前に声を掛けていたんだろう、別の職員がレスターさんに剣を渡していた。

 オレ達にそのつもりは無いが相手…というよりパイクがどうか分からないから、念の為といったところだろうか。


「そして怪我や武器の破損は全て自己責任だ、ギルドでは一切責任は持たん、お互いそれでいいな?」


「いいッスよ、まぁこの大斧使いのパイク様が、Gランク相手に怪我も破損もありえねーッスけどね」


「それでいいです」


「よし、ならパイク、相手は3人だからお前達はパーティーの中から3人選出しろ」


 公平に3対3の戦いにする為かレスターさんの提案だけど………だが断る!

 ここまで煽ったんだ、徹底的に煽る。


「あー5人のままでいいですよ、正直3人も5人も変わらないので」


「あ゙あ゙ぁ? テメェマジでぶっ殺されてぇのか!!」


「出来ない事を言うなよ、それよりもさっさと始めよう、こっちは昼に何も食べてないんで腹が減ってるんですよ」


 トドメの煽りでレスターさんに若干睨まれた、終わった後で怒られそう。


「はぁ、それでは両者構えて………始めッ!!」


「死ねやクソガ『ぐあぁぁぁぁ!!』


 ドサッ!


 開始の合図と同時にユウカさんの無詠唱中級雷魔法(ライトニングバインド)が相手魔法使いを捕らえてそのまま電撃を流して戦闘不能に。


 剣:「ヨーゼフ!? おい起きろ!」


 盾:「いつ詠唱したんだ!?」


 弓:「いや! 見てたが魔法の詠唱はしていない!!」


 弓師の視線がそれたその瞬間をアヤカさんは見逃さなかった、すぐさま剣を鞭形態にして攻撃を繰り出す。


 シュッ!!


 仲間が倒れて一瞬気を取られたせいか、それとも間合いがあいて油断してたせいか簡単に武器に到達していた


 弓:「え? なっ! なんだこれは!」


 盾:「どうしたクフィール! …ってなんだそれは!?」


「クソッ! オ レ の 弓 か ら 離 れ……あっ!」


 そして奪った弓をそのままオレ達の後ろの方に放り投げる。


「これで一人は戦闘不能、もう一人が行動不能」


 パ:「ぐっ!まだだ!ゴライアス突っ込め!」


 呼ばれたと同時にゴライアスが大盾を構えて突進して来た。

 あれはゲームで言ったらシールドチャージって技だったか、視界を塞がない様に突進して来てるから、避けた所で追ってくるな、追われるのも面倒だし攻撃自体利用させてもらおう。

 アヤカさん達は攻撃の標的がオレと分かると距離を取る。


「うお゙お゙ぉぉぉぉ!」


 パ:「ぶっ飛ばせゴライアス!!」


闘気Ⅰスキル】を発動させ、構える盾の重心から下辺りを利き足左脚で思い切り踏み抜くように斜めに蹴り下ろす。

 お互いの攻撃が当たった瞬間、ゴライアスだけがまるでバイクの衝突事故の様に弧を描いて飛んでいく、地面に激突してからも何メートルか吹っ飛んでいった。

 そしてそれを唖然とした表情で眺めるパイクと集まった冒険者達。

 動かないゴライアスを見て、レスターさんが駆け寄り状態を確認する。


「衝撃で気絶してるな、お前達! ゴライアスを壁際まで避難させてくれ!」


 入口周りで見ている冒険者達に声をかけ移動させる。


「蹴りだけで重装備の人間を吹っ飛ばすのかよ…」


「当たり所によっちゃ良くて大ケガ、下手すりゃ死ぬぞ」


「急ごうぜ! もたもたしてたら巻き込まれちまうよ!」


 地面に打ちつけた背中は痣が出来たかもしれないが、それ以外は何ともないはず、なんせオレは盾しか蹴り飛ばしてないから直接体への衝撃はほぼ無い……と思いたい。

 オレの蹴りの威力の方が圧倒してた為、そこを支点に軌道が強制的に変えられて、ほぼ自分の突進力で吹っ飛んだだけなんだから。

 だがそれを見た残りの相手は仲間内でケンカを始めだした。


 剣:「やっぱり魔物はあいつ等が実力で狩った物じゃねーか!! こんなこと出来るヤツGランクどころか俺達のランクにだって居ねぇぞ!!」


「うっせーんだよガリウス! 黙れや!」


(一体どうなってやがんだよ!なんで新顔のGランクがこんなにつえぇんだ!チクショウ!!調子に乗った雑魚を狩って体のいい下僕にするつもりが!クソがぁぁぁぁ!!)


「こうなったらあの野郎だけでもぶちのめす! いくぞガリウス!!」


「……嫌だね」


 ん?


「はあぁぁぁ!? こんな時に何言ってんだオメェ!」


 おやおやおや?


「こんな時だからだ! もうお前みたいな傲慢なヤツとはやってられるか! その性格のせいでどれだけメンバーが振り回されたと思ってる! 今回だって旦那が認めてるのに横槍入れて騒ぎやがって!」


 急な内輪揉めとは、向こうの雲行きが更に怪しくなってきたな。

 あの傲慢な感じは下のランクに対しての驕りだけじゃなく、パイク自身の性格も含めてか、確かに他のメンバーは疑念こそあれど口には出して無かったな。

 しかもそれがメンバーの悩みって、どれだけ傍若無人なんだ、そりゃストレスも溜まるよな……良く今まで我慢していたと思う。

 それが今回の件で限界を振り切って大爆発したってことか。


「パーティーリーダーは俺様だ! メンバーなら黙って俺に従え!!」


「だったら今この瞬間パーティーを抜けさせてもらう! クフィールお前どうする?」


「俺も抜ける、もう付いてけねぇよ」


「だそうだ、他の2人も恐らく同じ意見だと思うぜ、クフィール、ヨーゼフを頼む、俺は他の冒険者の手を借りてゴライアスを連れてく」


「わかった」


「おい待ちやがれ!」


「待たねぇよ、じゃあなクソ野郎」


「ぐっっっっ!」


 さっきのがトドメの煽りと思ったが面白そうなのでダメ押しにもう一度。


「メンバーにも見捨てられたな、失礼【元】メンバーだな、あんたとパーティーメンバーなんて、今のあの人達は不快にしか思わないだろうし、【元】を付けた方がいいな」


「………ッ!」


「どうした? 事実を指摘されてお顔真っ赤っ赤にでもなったか?」


「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!! 殺す! 殺す! 殺す!! どいつもこいつも散々俺様をコケにしやがってぇぇぇ! ぜってぇにテメェはぶっ殺してやるぅぅぅあ゙あ゙あ゙あ゙!」


 ぶ ち き れ た


「おいパイク止めろ! お前じゃ絶対に敵う相手じゃねーんだ!! 止まれ!!」


 止めようとするレスターさんをオレは2人に下がらせてもらってパイクとの一騎打ちをさせてもらう。

 周囲の冒険者も完全にブチ切れて、常軌を逸したパイクをどう止めるのか気になってるのが伝わってくる、一番伝わりやすいのはやはり真正面から止める事だろう、小細工無し、且つ一方的に叩きのめした方が力の差を伝えるのに良いだろう。

闘気Ⅰスキル】を使い準備を整える。


「死゛ねやぁぁぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙!!」


 闇雲に、しかも力任せに何度も大斧を振るうが、動作が大きすぎるので避けるのは難しくない、と言うより攻撃毎に大声を出すからタイミングが丸わかりだ。

 回避中に周りの様子を見るとユウカさんが「私お腹空いてるんですけど?」といった表情をしていた。

 はい、すぐに切り上げます。


「避けんじゃねえぇぇええええ!」


 目を血走らせてパイクは尚も攻撃を続けてくる、そのタイミングの一つに合わせて右拳を鼻っ面に思い切り叩き込む、勿論死なないように力を抑えてだ。

 それでも当たった瞬間、拳にグチョっと何かが潰れる感触と、硬く固定されていた物が奥にズレ込む感覚が伝わって来たが、構わずに拳を振り抜く。

 この一撃でパイクの体は思い切り吹き飛び、衝撃で主人の手を離れた大斧はドガッ!と音を立て地面に突き刺さる。


 先程までとは変わって辺りが静けさに包まれ様々な視線が向けられる。

 オレはその視線を気にせず茫然としてるレスターさんに声を掛ける。


「終わりでいいですよね?」


「え?……あっ! あぁこいつも十分理解しただろう!」


「では魔物の買取もお願いしたいのでこのまま解体所に行きましょう、今回分は中々びっくりすると思いますよ」


 事が片付いた後にアヤカさんが本来の目的である買取の件を話す、かなり回り道になったがこれで軌道修正して元の道に戻ることが出来た。


「わかった、俺は別の職員にコイツの手当てなんかを頼んでから向かうから、先に行っててくれ」


 そう言って職員を呼びに行ってしまった、オレ達は解体所に移動しようすると事を見ていた冒険者達に声を掛けられた。


「あ……なぁ、これから解体所に向かうんだよな?」


「? ええ、元々そのつもりだったんで」


「ならどんな魔物を狩ったか見せてもらう事は出来ないか? もちろん狩った魔物に対して俺達は一切口を挟まないし口外もしないと約束する! 出来るだろみんな?」


「ああ!」「もちろんだ!」「約束する!」

と様々な声が聞こえてくる、でも正直その狩った魔物の事で言い掛かりを付けられる原因になった、オレ達の居る所では何も言わなくても、見えない所でどうかなんて分からないし。

 そもそもこの件だってオレ達に関わらせない為にやった事だから、これ以上自分達の情報を出したくない……2人はどうだろう。

 視線を送ると2人も気付いてくれた、だがやはりいい顔はしていない、それに見せる時に絶対にアヤカさんのスキル、【ストレージ・スペース】の存在を知られることになる、これはもう一択だな。


「すみませんが見せる事は出来ません」


「えっ!?」


 恐らく横槍を入れない事と、口外をしない事を約束すれば見せてもらえると思っていたんだろう、ほぼ全員が驚いてる、その中から別の冒険者が声を上げる。


「どうしてだ!? 見た物、聞いた事、それら一切を喋らないと約束してるのに!」


 確かに約束はしてくれるだろう、でもそれはあくまで口約束なだけであって、何の強制力も法的な効果も無いだろうし、今知り合った人間に対して、それで信用出来る程オレは出来た人間じゃない。

 何より、見た冒険者に出来るかは別として、魔物からオレ達のスキルの一部やステータスを近い値まで探られたくない。


「約束がなんであれ、少なくとも貴方達に、オレ達がどれくらいの魔物まで狩れるは伝わるってことですよね?」


「そ…それは、そうだが……」


「言い換えれば、自分達の情報は出さずに相手の情報を得る、それも、口外しないという口約束なだけの非常に緩い条件で」


「うっ…」


「冒険者に取って情報は生命線、それが自分達に関係する情報となれば尚更、違いますか?」


「…その通りだ、だがどうしても気になるんだ! 頼む!」


 力強く頼み込んでくるがオレ達は既に答えを出してる。


「同じ事、もう一度話しますか?」


 その回答に対して肩を落とす冒険者達を後にして解体所へと向かう、横には空腹で殺気立ってるユウカさんと、それを見て苦笑いをしているアヤカさん。

 オレはどうやったら機嫌を直してもらえるか、脳内CPUをフル稼働させて考える、空腹で殺気立ってる女の子なんて怖ぇ以外の感情しかでない。

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