第3話 ルーカスの屋敷

「お待たせ。行こっか」


そしてエスコートされるがままに私は椅子に座った。


 メイド達によって、たくさんの豪華な料理が机を覆っていくのを目を輝かせながら

(このソテー美味しそう。いやこのテリーヌも、あれも!)


 と不意によだれをこぼしそうになりそうになりながらも(やはり淑女としてちゃんとして!!)と自分を制して綺麗な姿勢に座り直した。


 最近まで平民生活をしていた私にとっては、どの料理も本当に美味しく、ルーカスがこっちを見て笑っていることに何も気づかずに、つい無我夢中に食べすぎていた。


ルーカスの視線に気付き、気まずくなった私は、先に声をかけた。


「あ、えっと、ルアーナの事だけど詳しく教えてもらえる?」

 


 そうするとルーカスから先程のよくわからない笑顔が消え、真剣そうに話し始めた。


「あぁ、君が学園を辞めてから、俺も含めてルイとガイアンでユリアがここまでされたのは、なにかおかしいと気づいていて色々聞き回ったりしてたんだけど、その時に俺たちと同じ意見のやつらが思ったよりも多くて皆んなで協力して、ユリアの無実をはらそうとしてたんだ。それを目の当たりにしてたルアーナが暴走してる。そして味方をもっと作ろうと学園のほとんどの男に色目使って自分の方に引き込もうとしてるね」


「そっか、、、」


 昔からルアーナはそういう人だった。小さい頃から公爵家がルアーナの男爵家に援助していたため、顔見知りではあったが、いつも私を睨むばかりで話すことはなかった。


学園に入った後もわざと悪い噂を流されたり、3人の王子とわざとつるんで、シャルーゼ公爵家だけ贔屓してもらってるだとか、貿易を独占しようとしてるだとか、もはや王家に対して、謀反を企てているだとか。


そのせいで新しい友達は本当にできなかったんだよね。何故か昔から知り合いだった貿易国の王子3人と私の親友のユーリだけは一緒にいてくれた。


——私がかつて住んでいたシャルーゼ公爵家の屋敷が3つの国の境の近くにあったため、シャルーゼ公爵家が主にこの国の貿易を牛耳ってきた。アルベルト国のルーカス王子と同じく、父が貿易相手との接待中に、フラジーナ国のルイ王子とそのいとこのユーリ、アルファンド国のガイアン王子と出会った。


 学園にいた頃はこの四人といつも過ごしていた。


平民になってからは働くことで忙しいし、やっぱり身分の差があって友達と会えないと割り切っていたが、こうしてルーカスは来てくれた。



 私が落ち込んでいる時にいつもそばにいてくれた大親友のユーリ、元気いっぱいで面白いルイ、クールだけど実はゲラなガイアン....


会いたいなぁ

なんで、私ばっかりこんな目に合わないといけないんだろう。神様は不平等だよ、ほんとうに辛い。あの頃に戻りたい。



「あ、、あれ?」

勝手に涙が溢れ出してくる(どうしよう。止まらない)


必死に涙を拭っていると


「大丈夫だよ、今まで辛かったよね、早く迎えに行けなくてごめん。」

と言って私に近づいて手を握ってくれた。


そして少し落ち着いてから


「ううん、なんでルーカスが謝るのよ。ルーカスいつもありがとう。もう友達に一生会えないんじゃないかって、ふと思っちゃって。けどルーカスは会いにきてくれた。」

と涙目になりながら笑顔で話した。


「うん、ユリアがどこへ行っても見つけ出すよ」










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