断罪されて平民に成り下がりました。いつのまにか貿易国のヤンデレ王子の手中です
@yonetuki
第1話 断罪されて自由になりましたが
《やっと自由だ〜!!!》
誰にも邪魔されず、利用もされない。しかもこの国は全体的にも栄えているし、私が来た所も自然豊かで良いところだ。
そしてなぜか私には500年前を生きた記憶があって、その時は平民だったけど商人だったから、正直今の平民と同じような暮らしだった。
ということで最近まで公爵令嬢だったのに、普通に平民として生きていけるのだ。
平民生活を楽しんでいたのも束の間、最近やたらと私の家の周りに高身長の異国の王子がうろうろしている。
明らかに見たことのある顔....
——いや忘れるわけないあんな顔の整った人、アルベリア国の王子だ。と思いながらも
まぁ、もう私は平民になったのだから、公爵家にいた時のように貿易国の相手などしなくていいし、関係ない!と水を汲みに外へ出て、異国の王子を素通りする。
「わっ!」
突然腕を掴まれた。びっくりして淑女らしからぬ声を出してしまった。
咄嗟に「申し訳ございません!」と謝ったが、私の声は届いてないみたいでじっと私の顔を見てくる。
さすがにこれ以上見られると恥ずかしいので
「あの、、ルーカス様?」
「やっぱりユリアだ。」と嬉しそうな顔をして話を続けた。
「ユリア本当に心配したよ。僕ら三人が帰国してる時に、あいつと婚約破棄したんだろう?しかも公爵からも...」
と言いかけて口をつぐんだ。
「心配かけてすいません。でももう平気です!ここの村の人は皆んな優しくて今の生活に満足していて、今までありがとうございました。」
「まってユリア、やっと君を見つけたんだ。誰も君の場所を教えてくれないし、本当に苦労したんだよ。それなのにそのまま君を返すと思う?」
「そんなに気を使わなくても大丈夫ですよ。では」
「まって、ごめん僕の言い方が悪かった。あと敬語も辞めて、距離を感じるよ。ちゃんと話を聞いて欲しいんだ。」
この人は隣国のアルベリア国の王子で、私は平民なのに敬語使わないなんて失敬にもほどがある。だが、この王子との繋がりは長くここで断るともっとめんどくさいことになってしまうということは分かりきっている。
——私がシャルーゼ公爵家にいた時に父が貿易国の接待をしてた時に出会ったのがこのルーカス王子。当時は5歳で普通に友達として接していたが、7歳くらいになってから教養を身につけ、王子として接するようになった。すると王子は私がそう言った態度をとるにつれて、とても辛いクッキーを食べさせてきたんだっけなぁ。
すごく辛くて泣きながら食べて、その時はフッと笑って、もうしないでね?と優しく言ってきてた。
本当に意地悪だ。
その時から私はずっとこの王子のことを裏で腹黒王子と呼んでいる。またさらにこの整いすぎた顔も含めて余計怖い。
そして私は素直に敬語をやめた
「うん、分かった。ちゃんと話聞くね」
「ルアーナが君の生活を脅かすかもしれない」
「え???どういう意味?」
ルアーナは私の婚約者を奪い、それから私は傷物として公爵から『この国でうちが貿易を牛耳ってるのに、お前が婚約破棄され、王子にシャルーゼ公爵家が謀反を企てていると疑われている。お前はもう表に上がるな!金だけはくれてやるからさっさと出て行け!』と言われ勘当され、学園からも除籍された。いや追い出されたが正しいだろう。
そして今に至るのだ。
まぁ正直今の生活の方が公爵家にいた時よりも、自由で楽しんでいるため、もうルアーナのことは恨んでもいない。
なのに私の全てを奪ったルアーナはまだ私が気に入らないっていうの?
私の頭の中は混乱していた。
すると王子が真面目そうな顔をして
「だから俺と来て欲しいんだ。俺の住んでる屋敷なら部屋も余ってるし、君に護衛もつけれるし、お願い。心配なんだ。」
と言った。
さすがに私もこの王子の様子を見て、本当なんだと自覚するにつれ少し不安になってきた。
「ごめんね、ルーカスの事少しでも疑って、ルーカスは単に私の心配してくれてただけなのに。けどちゃんと話してくれて、ありがとう。またルアーナに何かされるんじゃないかと、不安になってきて、頼ってもいいかな?」
「もちろんだよ、今から行こう。もう準備はしてあるから!」
「へ?」
(さっきこの人もう準備はしてあるって言わなかった。)
「何か家に取りに行かないといけないものある?あと今日が最後になるけど」
「あるに決まってるでしょ!私の服とかも持ってこなくちゃ。なんで?解決したら戻ってくるでしょ!」
「服も全部とりあえず揃ってるけど、最後に行っとこうか。君の住んでたとか知りたいしね」
「う、うん」
(服も揃ってるんだ。サイズは、あ、けど私の体型は全部が平均的だし見た目でわかるか。まぁ、深く考えないでおこう.....)
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