月待紫雲のゆるレビュー

召喚勇者～現代日本から、何かワケアリの中年男を勇者として呼び出して～

『召喚勇者～現代日本から、何かワケアリの中年男を勇者として呼び出して～』

ＸＸ様の作品

https://kakuyomu.jp/works/16818093074222877446

若くして随一の宮廷魔術師となったヒロインとなんか訳ありぽい召喚された勇者の話。

前置き

この作者様結構色々な作品を書かれていらっしゃいます。個人的なおすすめは『巨乳が国家によって管理される国にいます。』。タイトルに反して設定や恋愛描写がしっかりしていたので読んでしまったという作品。わりと全体的に堅実。

今回の作品は第一章までを参考にしていきます。

1 タイトル＆キャッチコピー

タイトル：ふんわり

『召喚勇者～現代日本から、何かワケアリの中年男を勇者として呼び出して～』

ふんわりとしたのは視点ですかね。

現代日本という認識があるのは中年男なんですよね。異世界人からすると銃とか未知な存在ぽかったので現代日本という概念がはっきりしているわけではないのです。

訳ありの中年男を勇者として呼び出したのは異世界人からの視点なんですよ。つまりサブタイトル部分に中年男の視点と異世界人の視点が混ざっているわけですね。

「いや神視点でしょ、タイトルだし」と思われる方もいるでしょう。この作品が基本3人称神視点で進行していくのならこのタイトルでもいい感じだったかもしれませんが1人称視点なので、まぁ作品内とタイトルに関係性自体はなくてもいいのですが、このタイトルの場合は登場人物、まぁメインが異世界人のヒロイン?ぽいのでそのキャラの視点に合わせたタイトルのほうがすっきりまとまりが出るかなといった印象でした。

極端な例を上げますが、学園モノのラブコメのタイトルがギャルぽい言葉選びなのと硬派な言葉選びなのとではどちらがキャッチーに思えますかという話でございます。

「この男子、なんか訳あり!?」みたいな文言がついているのと「この男、訳あり」と説明されているのでは作品の重さの印象とか変わるのではないでしょうか?

まぁ私にタイトルセンスないんですけど（ブーメラン直刺し）

キャッチコピー：端的

『宮廷魔術師の若い娘と、中年勇者の魔王討伐』

どんな話かは容易に想像できますよね。言葉の並びでファンタジーとすぐにわかりますし。

2 あらすじ

あらすじ︰淡白

情報最低限といった感じ。あっさり目でございますね。

3 ストーリー

ストーリー︰堅実

スロースタートぽい雰囲気は感じますし、設定やストーリー展開から堅実さが感じられるのですが、こう癖を感じないというか淡白さが目立ってしまう印象がありますね。設定が満遍なくしっかりしているのですが謎の中年男も異世界召喚モノに慣れているとあまり意外さがないというか、スローテンポのテンプレモノ感があってスピード感のあるテンプレモノと違った味を感じにくい。『巨乳が国家によって管理される国にいます。』も堅実な展開や設定はあるのですがこちらはそもそも世界観がぶっとんでいるので堅実さとのバランスが取れていたり題材が題材なので癖を感じて個性的でよかったのですがこちらは薄味気味。

1章で離脱してしまう人がいたらそこら辺を感じてなのかなという予想。

4 キャラ

キャラ：真面目

ヒロインは可愛いなと思えるのですが全体的に魅力が強いかと言われるとうーん……といった感じ。中年男のキャラは好きな人には好きなのかもしれないのですが個人的にはもっと謎が少なくてロマンにあふれてる方が好きですかね。

5 世界観

世界観：堅実

ざっくり言ってしまうと弱点がないと言いましょうか。骨組みがしっかりしているご様子。この作者様の最大の特徴ですかね、世界観周りがしっかりしていますし、ストーリー上違和感なく説明がされていくので、物語自体は受け入れやすい。

6 文章

文章：サラサラ

読みやすく特に引っかかりもないですね。身についた文章技術がかなり自然に馴染んでいるのではと思うところ。

7 まとめ

全体的にしっかりまとまりすぎていて遊びがないという表現をすれば伝わるでしょうか。堅実なストーリーや設定好きには刺さりますがテンプレ作品でありながらテンプレ作品好きには響きづらい作品なのではと感じました。

ファンタジー好きではありますが同作者の作品としては『巨乳が国家によって管理される国にいます。』の方が好みでしたね。完成度自体は高いのですが、web小説という視点だけで見るともうちょっとはっちゃけてほしかった、と思わなくもないですね。

うーんわかる、わかりますけど……と思ってしまう小説の難しさ。