二 漢文帝

仁孝臨天下 巍々冠百王 

漢廷事賢母 湯藥必親嘗

                  

仁孝じんかう天下に臨む 巍々ぎぎとして百王はくわうに冠たり 

漢廷賢母につかふ 湯藥たうやく必ずみづかむ 


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 文帝は漢の高祖〔劉 邦〕皇子みこで、幼名おさななをばこうと申し上げた。御母薄太后はくたいごうに孝養を尽くされ、毎々薬膳をまいらする時など御親おんみづから先に召し上がって翫味どくみ遊ばされた。兄弟けいだいも数多くましますけれど、此帝このみかどほど仁義を行い孝心の深き御方は他に無かった。斯有かあるが故に陳平ちんぺい周勃しゅうぼつなど臣下等しんかたちは王に推戴して、爾来、漢の文帝と申し上げたのである。

 にしても孝道は、上は一人いちじんより下は万民に至るまで皆々為すべきことと知りつつ、躬自みみづから実践して心一途に思い定めることのかたきものを、かたじけなくも四百余州しひゃくよしゅうの天子の御躬おんみながらにくお振舞いになるとは、まことたっとき御志と云えよう。然有さあればこそ世も善くおさまり、民もやすらかに暮らしたのだと云う。

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