第31話 今後の方針

「一度、冒険者ギルドに行ってみようかな」


「え?ギルド長に会いに行くの?」


「まさか、ここ辞めるなんて言わないですよね?」


夕方の閉店した後店内で、ぼくはアリスとシルビアに言った。ただ、冒険者ギルドがどんなものか気になっているだけなんだけど。


「まだ、どうするかは決めていないよ。ちょっとギルドを見てみたいのと、話しを聞きたくなっただけ」


「そうなんだ」


「お店閉めないで下さいね。せっかく働き口見つけたのに・・」


もちろんお店を閉店するとかは考えていない。


「そっか。じゃあ私も一緒に行くわ」


「今度の休みに一緒に行こうか。じゃあ、シルビア今日はお疲れ様」


シルビアをお店から出して、店を閉める。ぼくとアリスはテナントの二階に住んでいるので、中にある階段から二階の自宅へ向かう。


「しかし、急にどうしたんだろうね」


リビングでぼくとアリスは座っていた。まさか三人打ち合わせてから来たわけでもないだろうに、タイミングが合い過ぎだ。


「王城から帰ってきたタイミングを見計らって来たのかな?だから同じ日になったとか」


「それにしても重なり過ぎよ」


「だよね~」


まあ、村の件は無いな。いかにも利用するって感じだったし。それを言うなら大聖堂もそうか。何か囲い込むって感じが嫌な感じなんだよな。それとアリスの知り合いっていうのも個人的に嫌だ。イケメンだったし。絶対にモテるだろあいつ。


「グリーン?怖い顔になってるよ。何考えてるの?」


ああ、ヤバイヤバイ・・気を付けないと。ぼくは嘘が付けないタイプみたいだからな。


「ああ、ごめん。なんでもないよ」


内心ひやひやしながら、言い訳をした。嫉妬でムカムカしているなんてアリスに言えるわけない。


「そっか。ご飯作るね」


「いつもありがとう」


アリスは特に気にする様子でもなく、台所へと向かった。もう教会じゃないのだから、ぼくの分のご飯を作らなくてもいいのだけど。



テーブルでアリスと夕食を食べていた。丸いパンに温かいスープ、スープには大きめの根菜が入っている。焼いた肉も皿に盛られていた。


「以前と同じものを食べているはずなんだけど、最近はとっても美味しく感じるのはなんでだろう」


素朴な疑問が口からこぼれた。


「何か言った?」


「「いつも美味しいご飯作ってくれてありがとう」って言ったんだよ」


「どうしたの?いつにも増して変ね。誉めても何も出ないわよ」


アリスはクスクスと笑っていた。



*****



夜、私は自分の部屋で寝巻に着替えていた。グリーンって会った時から穏やかな人だなって思っていたんだけど・・・。最近はそうでもないみたい。怒ったりする事もするんだな。まあ、人間だし当たり前なんだろうけど。


「大神官アース様が来てから、機嫌が悪くなったみたいなのよね・・どうしてかな。嫉妬とか・・まさかね」


「あの人も、幼い頃は良いお兄ちゃんだったんだけどなぁ・・何でこんな風になったんだか」


昔の事を思い出す。アース様は私の事が好きらしい。シスターだった頃は、はっきり嫌と言えなかった。立場上、クビになってしまってもおかしくなかったから。


「うん。きっぱり断っておこう。後々面倒になると厄介だし。念の為、グリーンに一緒に行ってもらおうかな」


私は大聖堂へ行ってアース様に会うことにした。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る