第17話

 ボクとステラは話し合った。


 どうすれば魔族と争わず、説得することができ共存の道へ進めるかについて。


 結果的に言えば—――お花をあげる説得を試みる、ということだ。


 これはボクから提案した。


「いくら魔族と言えど、ボクたち人間と同じく感情があるんだから、きっとお花に心打たれるはず」


 と、そう言った。


 しかし、ステラは反対なようで、


「そんな方法では説得はできません、魔族に慈悲の心なんて無いのですから」


って、言ったんだ。

 

 それをボクは思わず納得してしまった。


 ステラの言う通り、魔族に慈悲の心があれば、こんなことにはなっていない、と。


 だからボクは—――


「……もし、お花をあげて説得できなかったら……その時は—――実力行使に出るよ」


 ステラを納得させるために、そう言った。


 味方を納得させられない方法では、上手くいく訳ないからだ。


 中途半端な妥協案をここで作って、それを魔族に提示したとしても、説得なんかできやしない。


 なら、自分の気持ちを殺してでも—――ボクは前に進む。


 望む世界と未来を—――創るために。


 もちろん、ステラは驚愕する。


 数時間とはいえ、ボクが争いを好まず、暴力を嫌うという性格だと、大まかに把握されているからだ。


 その証拠として、ステラはおそるおそる確認する。


「……本当によろしいのですか? だってセンカ様は……魔族を殺したくないと……」


「誤解してるようだけど、ボクは『殺す』とは言ってないよ? あくまでも実力行使に出るだけで、殺すつもりはない。少しばかり—――枯れてもらうだけだ」


 言葉にするだけで……心が痛い。


「ステラ……どうかな? これなら、お花をあげて拒絶されたとしても、可能性はあると思うんだけど……」


「……はい。それなら恐らく説得することも可能だと思います。魔族が力で負かされたのならば、負けた相手が人間とはいえ屈するはずですから。大丈夫でしょう」


 どうやら納得してくれたみたいだ。ボクはほっと胸を撫で下ろす。


 実際にゲームで『勇者』が魔族を倒したときに、その死に際のセリフで人間の力を認めてたからね。


 ステラが納得したのは、魔族が力を重んじ敬意を払ってることを知ってるからだろう。


「じゃあ、この方針で進めよう」


「はい」


「となると……説得するのに必要なお花たちは……。ステラ、アネモネ以外のも育ててるお花ってある?」




〜あとがき〜


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