セルロイドの空

榊琉那@屋根の上の猫部

『セルロイドの空』はスルメ曲?

『あの日貴方が教えてくれた歌達よありがとう』

https://kakuyomu.jp/works/16818093073696395397

の第1話でも少し書いていたのですが、

もう一寸、詳しく書こうと思ったので、補足的な意味で

書いてみようと思います。


今から30数年前に発売されたにも関わらず、

今なお、多くの人の心に残っている

(日本のプログレのファンの人口自体少ないのだが)

ページェントの名盤『螺鈿幻想』。

久しぶりにCDを取り出して聴いてみたら、改めてその魅力に

夢中になっています。いいものはいいんです。


日本とヨーロッパの音楽が絶妙に絡み合い、独特な音に昇華。

時にはオカルティックに、時には心を打つ、癖になりそうな独特な詩。

ジャケットのイラストは重さを感じて、これは好みが分かれるかも。

そんな世界ですが、ファンからは好意的に受け入れられ、

インディーズとしてはヒットをします。


そんなアルバムですが、1曲だけ毛色の違う曲があります。

他の曲は永井博子(大木理沙)さんが歌っているのですが、

この曲だけギターの中嶋一晃さんが歌っています。

ページェント以前から歌い続けてきた「セルロイドの空」という曲です。


曲のテーマは、『幼い日の想い出』。

棒切れやおもちゃのピストル、(自分が遊んだ時代なら銀玉鉄砲か)

そんなものでも夢中になって遊んでいた幼い日々。

セルロイドの色めがねを掛けたなら、違う色の世界になる。

空き地を見つけたら探検をしに行き、日が暮れるまで遊んだ日々。

誰もが心の奥に残っている思い出、それを綴って歌にしたもの。


しかしながら、『螺鈿幻想』の世界には似合わず、そこだけ浮いているイメージ。

プログレの世界では絶対歌われないタイプの歌、

それでもプログレに囚われないグループになりたいという思いから、

迷った挙句に収録する事に。当然ながら賛否両論。


正直言って中嶋さんのボーカルは、永井さんのボーカルと比較したら、

かなり劣るのは正直な感想。しかしながら、この曲だけは自分で歌う、

その強い信念は譲れなかった。



最初は自分も拒否反応を示しました。このアルバムにこの曲は要らないと。

でも何回も聴くうちに、この曲の良さがわかってきたような気がします。

ボーカルには未だに抵抗はあるけれど、間奏のキーボードとかいい感じだし。

勿論、泣きのギターは健在です。

そしてフィナーレの部分、迷子になって途方に暮れていて、

もう泣きそうになった時に探しに来た母親の姿を見つけるシーン、

やっぱりいいなと。心に残る歌詞ですね。


そしてこの曲が好きになって自分に受け入れられるようになるきっかけが、

ライブで体験した事だったりします。

ページェントが解散してかなりの年月が経ってから結成されたグループ、『夜来香』

そのライブの終盤で演奏された、この「セルロイドの空」。

不覚にも涙が出そうになった記憶があります。ライブで聴くとこんなに違うのかと。

まるでセルロイドのめがねを掛けて世界が違う色に見えたような、

そんな感覚があったのかもしれません。



ページェント『セルロイドの空』(アルバム『螺鈿幻想』より)

https://www.youtube.com/watch?v=upz7Qf_He-0


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