第30話 デジタルな神様

 《本書は仮想科学小説(シム・フィクション)集・第3弾です。》

 《1994年秋〜1995年春にかけて書いた作品群です。》

 《尚、全ての作品は『週刊ファミ通』というゲーム雑誌に掲載されたものであることを……》

 と、渡辺浩弐さんは書いている(『デジタルな神様』幻冬舎文庫)。

 僕には、幻冬舎文庫に入って行く「1999年のゲーム・キッズ」という小説集シリーズを愉しみにしていた時期がある。この『デジタルな神様』の場合にも、三四篇の極く短い小説が収録されている。

 どんなお話があるかと問われても覚えていないのだが、一つだけ強烈に記憶に残っているお話がある。

 それは「3Dの少女」(文庫本では3枚で収まっている)である。

 《〝3Dブロマイド〟があれば、そのデータからアイドルの立体モデルを起こせる〝3Dプリンター〟というものだ。 》 

 短い小説であることもあり引用はこれで止しておくが、どうだろうか。この文章の部分だけの意味で言えば、もしかしたら現在ではもう可能になっているかも知れない設定ではないだろうか。

 週刊誌の《グラビア》が好きだった僕は、たぶんこれを読んだ時、隠し持っていた自分の慾望を引き剥がして見せられたような感じ、ショックを受けた。だから、記憶に残っているのだろう。

 それから、いま思うことは、「1999年のゲーム・キッズ」シリーズを読んでいた影響が、こうやって文章を書いている僕に残っているかも知れないということだ。

 短いお話なら書けることがあるというのは、このシリーズを読んでいたからかなあと、今日、先ほど思った。

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