無垢の視線


まだ何も知らぬ

幼子だから

この世の全てが

興味深く、美しく見えて


たくさんの愛にくるまれて

大切に大切に守られてきたから

人の醜さを、

疑うことを知らぬ


無垢でいとけない

愛されるべき生きもの


それでも

無垢であるからこそ

ものを知らぬからこそ


そのむき出しの本能は

幾重にも纏う

きらびやかな衣の奥に隠された

浅ましき本心を

嗅ぎつけ、見透かす


それが何であるのかさえ知らぬ癖に

必死に隠した私の醜さを

いとも簡単に見つけてみせる


そしてその無垢な瞳で問うのだ

それはなにか、と

こたえが返ってくるものと

疑いもせずに





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