竜装のサバイバルウォーズ
カツオなハヤさん
第1話 人と竜の咆哮
2068年10月3日──その日、人類の歴史に一つの出来事が刻まれた。だがそれはヒトを由来とするものではないし、星を起源とするものでも無かった。何故ならそれは、遥か宙の彼方からやって来たのだから。
その日、多くの人達が点を見上げて、指を差し何かを話し合っていた。大気が汚れ、煌めく星々の輝きが小さいのも相まって、彼らの見つめる光はより一層強さを増していく。
「──きれい」
誰かが、そう呟く。その瞬間、全てが灰燼に包まれた。放たれた
SeREF─Self-Replicating Extraterrestrial Life Form、
日に日に後退する人類の生存圏、そして疲弊していく兵士達。頼みの綱だった
「これは、一体……」
大勢の兵士が、学者達がソレを見つめていた。
そこはかつて、日本と呼ばれた国を統べたとされる古い古い王の墓…と古墳と呼ばれる場所だった。エジプトにあったとされるピラミッド─既にシェレフにより跡形もなく解体されている─を思わせる遺跡だが、その中でただ一点周囲とは何もかもが噛み合わないものがあった。
それは、機械だった。張り巡らされた道管が、配線が、淡く輝くタッチパネルの輝きがそれを目の当たりにする者達を迎え入れていた。だが、彼らにあった驚きの由来は、機械では無い。問題なのは、その機械が取り囲む液体が満たされたケースの、中に居るものだった。ソレのことは、その場にいる者達全員知っていた。幼子の頃、ソレが描かれた本がボロボロになるまで読み耽って親に叱られる…そんな経験をした者たちは少なくない。
「何故、恐竜が…?」
恐竜。遥か昔、6550万年前に絶滅した筈の生物が、不釣り合いな機械が繋がれた、液体に満ちたケースに囚われていたという事実を目の当たりにしたからこそ、彼らは総じて驚いていたのだ。だがそれは、更なる恐怖の始まりに過ぎなかった。
『b)jvepsoeg?ea)(ei_(?e……ふむ、失礼。君達の言語を習得するのに少々手間取った、申し訳ないが君達の用いる英語を使わせてもらおう。初めまして、今代の霊長よ』
「し、し、しゃ、しゃべ…」
液体の中にいるにも関わらず、人間のような声帯も持たない恐竜が流暢な英語を話す恐竜を前にし、最早動揺を隠すことすら出来なかった。響めく人々を見て、恐竜は静かにため息を吐きながら問いかける。
『ふむ、君達はあの小さな動物達が進化した者達のようだが……先ずは話をしよう、構わないね?』
その問いに、1人の兵士が力無く頷く。それは話を聞きたいから、という理由では無かった。最早理解の埒外にあるこの状況、どうすればいいか分からなくなったが故の行動だったが、ケース内の恐竜はその返答を喜ばしく思ったのか笑みを浮かべ─少なくとも本竜はそう思い、目の当たりにした人達は威嚇されたかのように身体が強張ってしまった─話を続ける。
『さて、私が君達に話すことは3つある。まず君達がシェレフと呼ぶモノ、アレは我々を滅ぼしたモノと相違無いということ。そして、私には…正確には我々はアレを殺す術を持ち合わせている』
その言葉を聞いた者達は総じて困惑の感情を浮かべた。恐竜を滅ぼした?シェレフが?では何故人類─哺乳類が地上を支配出来たのだ?そんな疑問が脳裏に浮かぶが、眼前の恐竜はそれを気にすることなく言葉を続ける。
『だが我々は滅んだ。故に、力を貸して欲しい。
『私は賢王、かつてこの機械を、ディノ・サピエンス達の文明発展を助けた、単なる発明家だ』
──それから、36年後。
「隊長、前方10km地点にシェレフの一団を確認。総数、2500と推測!」
「よろしい、各員に伝達。
「「「応ッ!!!」」」
ある平野にて、複数の小型ジープに乗る人間の軍団とそれ目掛けて突撃する巨大な甲殻類じみた怪物達の群れが居た。双方共に土煙を上げながら、互いに近づきそして──激しい火花と怒号を伴って激突した。もしその激突が起きた時代が36年前なら正に自殺行為と捉えられても仕方ない。だが、今は違う──!
「「「
『『『任せろォォッ!!!』』』
抜き放たれる直剣、弓、銃、槍─多くの武装と共に虚空から出現する鋼を纏った恐竜達。人と共に恐竜が戦うというファンタジーを思わせる戦場に、彼らの咆哮が轟いていく。
これは人と竜が手を取り合い、共に異星存在と戦う生存闘争の物語。
竜装のサバイバルウォーズ カツオなハヤさん @hayataro0818
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