第50話 闇の魔法師

「なんだ、ペトロニウスが来たのか。」


アスタロトが言う。


「以前バーベキューした時にもいた人。」


パエリが覚えていたみたいだ。


「ごめんなさいね。お邪魔しちゃって。こいつら主のターゲットになっていたのよ。」


「囮みたいになってしまってすまないね。おかげで一網打尽にできるよ。」


ペトロニウス・グローヴズがはにかみながら言う。


「主は対人恐怖症っぽいところがあるから気にしないで。」


ペトロニウスに付き従っているような3人のお姉さんの中の1人が言う。


このお姉さん達頭に丸いネズミの耳があるし、細い尻尾がある。


それにしても何故尻尾を見てムールが反応しないんだろう。


だってこの尻尾毛が生えてなくてモフモフ出来ないじゃん。


お姉さん達にとって良かったのかどうなのか。


お姉さん達はチェリ、ツッピ、テト。


この三人の使い魔達はペトロニウスが人化させたネズミで獣人族ではない。


馬車の周囲では大勢の盗賊達が逃げ惑っている。


大量のネズミが盗賊達に覆い被さっている。


完全に取り囲まれて逃げ場を失い

盗賊達がネズミに齧られて行く様子はちょっとエグいかも。


ペトロニウス・グローヴズは多分この世界での最強の魔法師。


ちょっと厨二病に病んでいる。


陰で暗躍する魔法使いがかっこいいと思っているんだけど、有名になってしまっている。


どうやら承認欲求を完全には抑えられてはいないようだ。


「ペトロニウス、顔色が悪いよ。」


なんだか青い顔をしてグラグラしている。


ネズ耳のチエリがペトロニウスを見て言う。


「あら、また始まっちゃった。主は血を見ると気分が悪くなっちゃうのよ。」


ペトロニウスは転移魔法陣に展開してさっさと帰ってしまった。


「その内改めて説明に来るわ。じゃ。」


と言って3人のネズ耳のお姉さんも転移して行った。


一面を真っ黒に覆っていたネズミ達がいなくなると馬車を取り囲んでいた盗賊達も跡形もなく消えてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る