最高の味噌汁
翠乃
最高の味噌汁【一話完結】
中村は母の遺言書を見て悶々としていた。そこに書かれていたのは日付と数字だけであった。全くわからない。まるで何かの暗号のようだった。
そこで、友人の平井に相談した。この謎を解くカギがあるかもしれないと、平井は中村の家に行った。そして、それ以外の遺書を片っ端から見通した。
すると、遺書の中に日記があった。ごく普通の五年日記だった。味噌汁の具が書かれていること以外は。中村の母は毎日味噌汁を作っていた。そして、具は何がいいかという母の言葉を聞くのは、中村にとっては日常だった。
平井はこの日記と遺言書を照らし合わせてみることにした。
遺言書には、二つ日付が書かれていた。
一つ目の日付は、二〇二三年の九月二五日。その後に書かれている数字は、二四五と一二三八。日記でその日付の欄を見ると、味噌汁の具は、「小松菜」「豆腐」「シイタケ」と書かれている。
二つ目の日付は、二〇二一年の二月二八日。その後に書かれている数字は、一四。日付でその日付の欄を見ると、味噌汁の具は、「アサリ」「人参」「大根」のようだ。
平井は漢字と片仮名を平仮名に直した。
すると、一つ目のカギは「こまつなとうふしいたけ」になる。これの二、四、五番目を組み合わせると「まなと」に、一、二、三、八番目を組み合わせると「こまつし」になった。
二つ目のカギは「あさりにんじんだいこん」。これの一、四番目を組み合わせると「あに」になる。
つまり、遺言書の意味は「小松市にマナトという兄がいる」と。
『明日作る 味噌汁の具 何がいい? 健康祈る 母の味』ー淡雪
最高の味噌汁 翠乃 @tsumi93
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