あふれるイロ

伊南

セカイの色

 世界は色に溢れている。


 透き通るような空の青や、どこまでも深い海の蒼。

 命の息吹を感じる緑色に、力強くどっしりとした茶。

 猛々しく燃えるような赤、柔らかくも眩しい黄。

 清廉な佇まいの白、全てを包みこんでくれる黒。

 その他にも上げればキリがないくらい、多種多様な色がこの世界にはある。


 そんな世界に身を置くぼくらも様々な色を持つ。

 明るい色、落ち着いた色、柔らかい色、激しい色、優しい色、多種多様な色がある。

 似たような色があったとしても同じ色はひとつもない。


 誰とも違う、自分だけの色。

 それがぼくらの色。


 ぼくらの色は不思議なもので、触れ合う事で混ざり合う。

 基本は変わらなくとも、触れ合い、影響を受け、混ざり合う事で色が変わる。


 生まれた瞬間はきっとみんな真っ白。

 でも、その瞬間から色んなものに触れて自分だけの色を作っていく。


 それはグラデーションのようにゆっくりだったり、劇的に変化する場合もある。決して変わらない色を持った人もいるだろう。

 しかし、世界にあるたくさんの色はいつだってぼくらの近くにある。

 人の関わり、絵や、文字や、音楽など。

 ぼくらが感じるもの、目に入るもの全て、様々な色がある。ぼくらはそれらに触れて、受け入れて、色を作るのだ。


 誰とも違う、自分だけの色。

 貴方だけの、唯一無二の色。


 これを見ている貴方の色は何色だろうか。

 きっとひとことで表せる色ではないのだろう。

 混ざりあったぼくらの色は見る角度でいかようにも変わる。それこそ万華鏡のように、くるくると。


 自分の色は見えにくくて、他者の色ほど鮮やかに見えるかもしれないけど。

 比較なんてしなくていい。

 自分の色を卑下する必要なんてない。

 貴方の色が素敵だって判っている人は必ずいるから。

 他者の色と同じように、貴方の色も素敵なのだと判ってほしい。


 だから自信を持って、なんて軽々しい言葉は言えないけれど。

 それでも。

 貴方の色は素敵だよ、と。

 ここから貴方に伝えたいと思うのです。

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あふれるイロ 伊南 @inan-hawk

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