熱い夜
「というわけで、俺はそんなに優しい人ってわけじゃない。俺は最低な詐欺師で、卑怯者で、言ってみりゃあ人殺しだ。聞かなきゃ良かったぐらいに思っているかもしれないけどな」
最後は自虐的な響きで言った。梨乃ちゃんは、固い表情のまま俺を見ている。もしかしたら本当に引かれて今日でサヨナラのパターンかもしれない。
だけど、ここまで来たら乗りかかった船だ。本業に関係あろうがなかろうが、本当に助けなきゃいけない女の子は助ける。たとえ、それで自分の身が危うくなったとしても。
「……ごいです」
「ん?」
「すごいです、童夢さん。そんなに重たい過去を背負って生きているなんて」
梨乃ちゃんは感動しきりといった表情で言った。このコも自分で言っていたように駄目な男に引っかかるタイプなのかもしれない。
「いや、すごくはないだろ。散々ひどいことをやって刺されて、反省しただけの話だからね?」
「そんなことないです。あたしの知り合いもクズ過ぎて刺されましたけど、本当のクズは刺されてもクズのままですから」
刺された知り合いって、どんな知り合いなんだろうな。……まあ、いいか。掘り下げても藪蛇になる予感しかしないので放っておこう。
そんな俺の思考はつゆ知らず、梨乃ちゃんは続ける。
「だから、そんな童夢さんが……好きです。ごめんなさい。真理ちゃんが童夢さんを好きなのは知っていたし、童夢さんも真理ちゃんに気持ちが傾きかけていたのは知っていました。だけど、もう自分の気持ちを偽るのはやめようって、あたしも思ったんです」
答える前に、梨乃ちゃんが抱きついて来る。
「梨乃ちゃん……」
どうすることも出来ず、その小さい背中を抱きしめる。正面にある弾力のある感触。肉付きの良い梨乃ちゃんの胸が、俺の体にこれでもかと押し付けられていた。
「……」
まずいな。こんなことをされたら、いくら理性を保っていても体は反応する。思った以上に肉感のある梨乃ちゃんの双乳は、俺の下半身に熱をもたらしていた。
「好きです」
下半身に気を取られていると、瞬く間に梨乃ちゃんから唇を奪われた。
これでもかというほど強く押し付けられた唇。すぐさま舌がねじ込まれてくる。そのまま床へとテイクダウン。リミッターが外れたのか、想像以上に積極的だった。
口の中で暴れ回る梨乃ちゃんの舌。ぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てる。
もう下半身は半勃ちどころではなかった、しっかりと固くなって、上に乗った梨乃ちゃんの下腹部付近に当たっている。
「好きです。童夢さん、好き、好き、好き♡」
そう言いながら、梨乃ちゃんはキスの雨を降らせる。
これだけ熱い想いをひた隠しにするのはさぞ大変だっただろう。だからこそ今爆発しているんだろうが。
俺も梨乃ちゃんに協力して、舌と舌を絡め合う。深夜のアパートにいやらしい水の音が響く。
「童夢さん、もうあたし我慢出来ない……!」
梨乃ちゃんは俺の服を脱がしはじめた。ベルトを抜いて、ズボンのチャックを下ろす。もはや言い訳のしようがないほどに固くなったそれ。二人でそれを見つめ合って、数秒の沈黙が流れる。
梨乃ちゃんは熱くなったそれを口に含んだ。
「う」
有無を言わさず、梨乃ちゃんは頭を上下させる。
「あ……」
あっという間に熱いものがほとばしる。梨乃ちゃんはそれを口で受け止めた。
「悪い。出ちゃった」
それは、もう少し堪えるべきところであっさりと果ててしまったことについての謝罪だった。しばらくしていなかったせいで、色々と鈍っていたか。
梨乃ちゃんはティッシュを箱ごと引き寄せると、口の中に溜まった粘液を吐き出した。今までに見せたことのない妖艶な笑み。女の顔になっていた。
「まだ終わりじゃないですよ」
そう言うと、梨乃ちゃんは一時的に戦闘不能となったそれを舌先でなぞりはじめた。絶妙な力加減で、みるみるそれは大きくなっていく。
「う……」
受けてばかりの俺。マグロか。だが、女遊びについてブランクが空いたせいか、こちらから動くことが出来ない。完全に梨乃ちゃんにされるがままだった。
再び反応する体。ついさっき果てたばかりなのに、もう元気になっている。
「あたしを、楽しませて下さいね」
梨乃ちゃんはポロシャツを脱ぎ捨て、その勢いでブラも外した。かなりの大きさをした乳房が虚空で跳ね、その勢いで揺れていた。
まさか同じ職場にこんな爆乳が潜んでいたとは。妙な感慨を抱く俺をよそに、梨乃ちゃんは部屋着のショートパンツとショーツも脱ぎ捨てると、瞬く間に生まれたままの姿となった。
「挿れちゃいますね」
俺の返事を待たずに、梨乃ちゃんはあっという間に放漫な肉体をかぶせてくる。
先端が肉の圧力を抜けて、その先へと突き進んでいく。
「ひぅ……」
梨乃ちゃんが小さく声を漏らす。いくぶん脂肪のついた肉体。それがこれ以上ないほど快適な肉圧で俺を包み込んでいく。
ズブズブと、彼女の中へと入っていく感覚。何もしていないのに、すでに十分過ぎるほど濡れていた。彼女もよほど求めていたのかもしれない。
奥まで入ると、梨乃ちゃんと目を合わせる。目だけで合図する彼女、そのまま豊満な体を上下させた。
「あっ、うっ、はぅう……」
自分で体を揺らしながら喘ぐ梨乃ちゃん。先ほどの舌使いといい、素人には思えなかった。
だが、そんなことはどうでもいい。あまりにも完璧な肉圧のせいで、俺は早くも二度目の絶頂を迎えようとしていた。
「あ、梨乃ちゃん。このままじゃ中に……」
そう言うと、梨乃ちゃんは無言で腰の振りをさらに早くした。
先ほど絶頂を迎えたばかりで、二度目は長く持たない。
押し寄せる快楽。脳内に流れる大量の快感物質。揺れる豊満すぎる肉体。耐えられるはずがなかった。
「梨乃ちゃん、ダメだ……!」
「いいの、童夢さん。あたしの中に出して!」
――俺は良くねえよ。
決して言えない本音。だが、体というやつは正直だ。
目の前で爆乳を揺らされながら、ゴムも付けずに二十代前半の女が喘いでいるのだ。これを耐えられる男がいるんだったら表彰してやりたい。
つまるところ、俺はあっという間に果ててしまった。
「う♡ふぅ♡はあ……♡」
「あああ」
何度も波打つ肉体。彼女に搾り取られる感覚。一発出すごとに、梨乃ちゃんが嬉しそうに妖艶な笑みを浮かべている。
もはやシャワーで流してどうこうというレベルではない。
全てを搾り取られると、一気に眠くなった。これは本気でイかされたようだった。
「気持ち良かったですね♡」
そう言って、梨乃ちゃんがキスしてくる。俺はただマグロのようにそれを受けていた。
ほとんど動いていないのに、呼吸は荒く、強烈な眠気で意識は遠のいていく。普段はこんな風になることは決してないのに、なぜここまで強烈な眠気が襲ってくるのか。
いや、そんなことはどうでもいい。俺はこれ以上にないほど、梨乃ちゃんの中にありったけの遺伝子を撃ち込んでしまった。
「眠いの?」
いたずらっぽく笑う梨乃ちゃん。瞼が閉じていく。
「ああ。それより……」
……梨乃ちゃん。君の中には、俺の遺伝子が大量に……。
その続きを言おうとして、俺の意識は途切れた。
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