第40話 閃光王子 六
テレビ初の世界共通ニュース放送ではヴェイン公国の領主グリード・ヴェインが国の今後についての記者会見の様子を放送していた。
「石油の所有権に伴い軍事的な衝突が懸念されています。フェルトの治安維持のために現在軍を展開し、油田の安全を確保している所です」
アランがカメラの前に現れた。
「国有化に伴いまず油田の安全を確保する必要がある。これ以上緊張が高まるようなら我々も軍を派遣し、場合によってはファルブル家の助力も仰ぐつもりです」
アランとグリードが握手をしてフェルト国とヴェイン公国が協力する姿勢をメディアに見せた所で放送は終了した。
グリードはアランに微笑んだ。
「我々がしっかりと油田を守る。心配しなくても大丈夫だ」
「ありがとうございます。とても心強いです」
夜、寝室にいたアルベルトに電話がかかってきた。
「この前クロガネで王子に会ったよ。面白い奴だな」
「アサヒか」
「久しぶりだな」
「最近はどうしてる?」
「まあ色々あってな。元気にやってるよ。油田の話は聞いたか?」
「ああ。私も行くつもりだよ」
「アランに頼まれたのか? もう民間人のお前が首を突っ込むような話じゃないぜ。もっとも金にはなるがね」
「フェルトのためさ。別にそういう事じゃない」
「まあお前ならそう言うと思ったがな。利権に目が眩んだ連中がゴロゴロいる。何をしてくるか分からないぞ」
「そういう事なら一緒に来てくれないか? 君がいると心強い」
「悪いが手一杯だ。暗黒時代の悪しき遺産って奴を処分しなけりゃいけなくてね」
しばらく沈黙が続いた。やがてアサヒが口を開いた。
「まあいいさ、別にとやかく言うつもりはない。ただ忠告はした。サソリから何かあったらその時は連絡を入れるよ」
「すまない」
「じゃあな。お互い生きてればまた会おう」
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